五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2018年01月14日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年2月号より

 今月の『僕らはみんな河合荘(最終回)』感想はこちら
 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 

 コミックス14巻は、2月発売! そんな今回、ロシア遠征つづき・・・

 ロシア軍の最高司令官・バルクライと将軍・バグラチオンが、言い合いしている冒頭。
 またも撤退を決めた司令官に怒りをぶつけているようですが・・・

 バルクライの方針に憤懣やるかたないバグラチオンは、戦場からさっさと退去。
 敵の攻撃が始まっている中での撤退に、彼の怒りの程を感じますけど、
 このあたり、ロシア軍のバラバラ具合が際立っている印象です。

 そんなロシア軍との戦いであれば、優勢に進むのかと思いきや、
 大陸軍の方にも問題があるようで、なかなか難しいもの・・・
 と感じさせる内容になっていました。

 

 

 

 追い打ちをかけるナポレオン。

 撤退するロシア軍を追撃するよう、ミュラとネイに命じるナポレオンは、意気揚々。
 ここで勝利を得れば、様々な面で助かると考えているのかも。

 自軍の苦境に対して、勝利の報は士気をあげるものになるでしょうし、
 軍事的な勝利は、政治的にも有利な状況を呼び込むでしょうからね。

 なので、この追撃は重要なもの。
 ミュラとネイにロシア軍を追わせ、ジュノーに回り込んで側面を叩かせるという
 ナポレオンの指示は、確実な勝利を得るための戦術のはずでした・・・が?

 

 

 

 ロシア軍を逃したジュノー。

 ネイがジュノー軍を待つものの、ジュノーは動けず。
 意識が朦朧とし始め、倒れてしまったためですが、その原因は薬物中毒。

 はじめ、作戦失敗に憤っていたナポレオンも、ジュノーが傷の痛みをやわらげるため
 薬を常用するようになったと聞いて、その傷のいくつかは自分を守るために負ったもの
 と考え態度を軟化させていていたのは、ジュノーへの友情を感じさせました。

 さらに、ジュノーは精神的にも妻の不倫で不安定になっていたらしく、
 かなり追いつめられていることが印象付けられ、重く突き刺さりますね。

 そうした風に、心身ともにボロボロになったジュノー。
 彼の孤独はいかばかりか・・・

 

 

 

 進退きわまったジュノー。

 公私ともに厳しい状況にあって、今回の作戦失敗。
 完全に追い詰められたジュノーは自害をもくろみ、銃をこめかみへ。

 もはや、ここまでか・・・と思った矢先、ナポレオンからの呼び出しが。
 兵士たちは「軍法会議」「死刑か」などと噂し、不穏な空気が漂います。

 しかし、憔悴したジュノーを待っていたのは、食卓に座るナポレオン。
 かつて貧乏暮らしをしていた頃のことを語り、その時のやりとりについて
 思い出を掘り起こすように話をしていたのが、たまらなく切なかったですね。

 ジュノーの好意によって得た喜びと感謝。
 それをジュノーに味わわせたかったというナポレオンの言葉が、響きます。

 そして、「ランヌのように俺を置いて行く気か?」と声をかけていたのが、
 これまた、たまりませんでしたよ・・・

 ジュノーがいなくなれば、友人と呼べる存在をまた失ってしまうことになる。
 そこに、ナポレオンの孤独の深まりを感じてしまいます。

 だからこそ、マルボさんから見れば、ナポレオンのジュノーへの対応は、
 「ヤキが回った」という評価になるのでしょうね。
 個人としては良くとも、指揮官としてはダメという。

 また、これからジュノーの身に起きることを考えますと、
 どうしようもない気分になってしまうというか、本格的に辛い・・・
 ジュノーがナポレオンの言葉に涙しているのを見てしまうと、なおさらです。

 

 

 

 帰ってきたクトゥーゾフ。

 撤退ばかりのバルクライに業を煮やしたロシア首脳部。
 皇帝アレクサンドル1世は、バルクライのことを気に入っているものの、
 他の人々が続投を許さない空気になっていて、さすがに抑えきれない様子。

 そこで選ばれた後任が、クトゥーゾフ将軍。
 アレクサンドル1世陛下は、好ましく思っていない人物ですが、人々の評判は良好。
 そんな彼の対ナポレオン作戦は、どのようなものか気になる所ですが・・・

 バルクライを嫌っていたバグラチオンに対して、クトゥーゾフが
 「バルクライは名将だった」と述べていたのは興味深い。

 「あんな腰抜け」とけなすバグラチオンも、腰抜けだからこそ逃げ回って
 大陸軍に損耗を強いることが出来たという説明に、言葉を失っていたのが愉快です。

 確かに、50万もいたはずの大陸軍が12万程度に減っているのは大きいですし、
 それに比べてロシア軍は逃げ回ったおかげで温存できていることが、何より重要。
 バルクライ名将説にも納得してしまいますね。

 とはいえ、これ以上逃げ回ることは士気にも影響すると考えたクトゥーゾフ。
 決戦の地を選定し、ナポレオンと戦うことを宣言。

 いよいよ本格的にロシア軍との衝突、ボロジノの戦いへと続くことになりそうで、
 どのような戦いとなるのか? 今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想