五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ ヤングキングアワーズ 感想

2016年04月06日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

2016年5月号

 

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら
 今月の『ナポレオン -覇道進撃-』感想はこちら
 今月の『ドリフターズ』感想はこちら

 表紙は、今月号で最終回を迎えた『スピリットサークル -魂環-』
 運命の“宿敵”である2人を、ルンとイーストがくっつける構図が、面白い。
 過去から現在、そして未来にまで至る戦いの結末や、いかに?
 
 

 『鬼を飼う』(吉川景都 先生)

 今回は、「夜叉」のお仕事風景。

 「ききみみ」の世話をする後藤くんですが、その中で、妙な物を発見。
 一方、奇獣商では、藤太ムカデの脚がなくなったとかで、四王天さんが困り中。
 俵藤太の逸話に出てくるものというのは、なかなかいわくありげ。

 その脚が逃げ出したらしく、その結果、どこかで大ムカデが出る可能性があるとか。
 それにしては落ち着いているな~という態度が、妙だったり(^^;

 そして、その大ムカデが、警保局に出て大騒ぎに・・・といった感じでしたけど、
 奇獣を倒すのではなく、捕えるために奮戦する「夜叉」の面々が、面白かった!
 後藤くんも活躍していてよかったし、四王天さんの落ち着きの理由にも納得でした。

 

 『MUJIN』(岡田屋鉄蔵 先生)

 講武所へ通う八郎さん。

 そこにいる人々から、「小さい」「白い」「細い」「病弱」と言われてます。
 まずは、小山助三郎さんに案内されることになりますが、小山さん、
 八郎さんの純粋な視線に照れていたのは笑!

 しかし、講武所の現実は、旗本の子弟たちが暇つぶしや、役を得るために通う
 というもので、八郎さんにとっては物足りない環境・・・と思いきや?

 まさかの山岡鉄太郎登場で、盛り上がってまいりましたよ!
 剣豪として名高い山岡殿との稽古は白熱して、山岡殿だけでなく、八郎さんの
 凄さも見せつけてくれる流れで、引き込まれましたね~。

 

 『師匠シリーズ』(原作:ウニ 先生/漫画:片山愁 先生)

 将棋にかかわる不思議・・・

 師匠は将棋が得意ということで、うにくんが勝負を挑んでいましたが、
 ことごとく敗北という結果に(´▽`;) そこで師匠が話したのは、亡霊との対局。

 祖父さまが指していた手紙将棋の話は、年にたった2手だけという特異なもので、
 その背景にある戦争と、戦後の手紙のやりとりから、生まれた必然が切ない雰囲気。

 そして、勝負がつかないままに他界した祖父さまの代わりに、師匠が指した将棋は、
 まさに“亡霊”と指しているもので、それがたまらなかったですね・・・
 こんな“亡霊”もいるのだと。

 

 『聖骸の魔女』(田中ほさな 先生)

 コミックス3巻は、5月30日発売! そんな今回、魔女との決戦・・・?

 アマラに斬られる二コラくんでしたが、なんとか反撃。
 しかも、彼女が人間であると告げているのですが、では、魔女ではない?

 その後、民たちに迫られ、混乱するアマラでしたが、いきなり倒れてしまい、
 そこからの展開が謎めいていて、驚かされましたね。

 アマラは人間ではなかった。 しかし、彼女を焚き付けた者がいる?
 そして現れる真打の存在・・・ まあ予想はしてましたけど、ここからどうなる!
 と引き込まれますが、6・7月号はお休みとのことで、残念。

 

 『リュウマのガゴウ』(宮下裕樹 先生)

 神洲倭の軍勢から逃げる民衆。

 しかし、神洲倭の兵の精強さは尋常ではなく、ぐんぐん迫ってきます。
 そこへ立ちはだかるリュウマの頼もしいこと。
 そして、ミズガルズ軍もやって来て、神洲倭は撤退。

 それでも、オリビアという拠点を手に入れられたことは大きく、
 撤退しても大したことではないのでしょうね。
 
 その後、ちょっとした再会を経て、リュウマたちが語るのは、オリビア奪回策?
 それにしても、ブレア卿の「好奇心」は、とんでもない事態へつながっていて、
 一体どうする気なのだか・・・ ミツハさん可哀想に(^^;

 

 『それでも町は廻っている』(石黒正数 先生)

 4月30日、コミックス15巻発売! そんな今回、歩鳥の過去生が・・・?

 いや、目次コメントで石黒先生がおっしゃってますし(ぇ
 福沢さんが相談に来たのは「前世の記憶」の話で、前世療法CDで見た夢が、
 リアルすぎて本物かもしれないとのことでしたが・・・

 それについて調べる歩鳥が見た夢は、まさに前世っぽい内容で、
 古代の生活をする歩鳥やタッツンたちが面白かった! 紺先輩の役回りとか(^^;

 そして、歩鳥が突き止めた前世の真相には、正直、驚かされましたね。
 ここまでのことを、きちんと突き止められるなんて、本当、探偵ぽかった。
 ラストのオチも「来世」につながっていたのは、愉快でしたね。

 

 『マーチャンダイス』(大石まさる 先生)

 今回、焦点の当たる住人は、コヘイタ君とフリオ教授。

 器用で人当たりも良いコヘイタ君、フリオ教授の散歩の後をつけていますが、
 途中、骨格を変えてまで女装する本格派で、ただ者ではないと察せられます。

 彼によれば、フリオ教授は「大罪人」らしく、そのために密命を帯びて監視
 しているようなのですが、それが暗殺指令になり、凄まじい戦いになったのは、
 驚きつつも面白すぎでしたね~。

 フリオ教授が抱える過去の重みには切なくなりましたけど、
 それすら吹き飛ばす彼の夢には、爽快感を覚えてしまいましたよ!
 この2人、素晴らしく面白かったので、再登場ありますかね・・・もったいない。
 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

【新連載!】
●野球+プラス! (石田敦子 先生)

 

 野球記者ストーリー!

 石田先生の新作は、またも野球!
 しかも、野球をプレイする側ではないというあたり、徹底しております。

 就職面接に赴く山口由右さん、いきなりボールがぶつかってきて、
 盛大にすっ転んで、スカートを破いてしまっていますが、
 めげずにジャージを借りてゆくあたり、かなりポジティブ(^^;

 面接官には「ないな」なんて思われていますけど、面接のやりとりの中で、
 「ありかも?」と思われるほどに、きちんと受け答えしていたのは、好感触。
 そして当然、カープ女子というのも、石田先生作品らしくて、むしろ爽快です(ぇ

 さらに、最終面接でも、初対面では「ない」と判断されるも、
 紙面の作り方に対して、適切かつ効果的なことを述べていて、印象が一転。
 正直、これには感服でしたし、まったく思いつきもしませんでした。

 そこにあるのは、他の何かとつながる野球への愛とでも言いましょうか、
 生活に重なることで、多くの人に野球をもっと身近に感じてほしいという想い。
 これは素晴らしかったですね。

 そして、きょうだいである亜左さんと賢太郎くんとの関係も、
 なかなか興味深い所で、とくに賢太郎くんの境遇と、彼への想いに、しみじみ。

 ここから、由右さんが、どのように野球とかかわってゆくのか?
 石田先生の新作ということで、当然、大いに期待です!

 

 

【最終回!】
●スピリットサークル -魂環- (水上悟志 先生)

 

 コミックス6巻は、6月10日発売! そして、最終回!!

 最後は、すべてが終わった後の後日談。
 冒頭、何やら奇妙な4人が机を囲んで話をしてますけど、
 これって要するに、監視者のようなものということでしょうかね。

 今回のフルトゥナの企みも、彼らからすれば、ほんの些細なものでしかない。
 なんて感じさせるやりとりに、宇宙の広さを感じさせられます。

 それはともかく、フータとコーコの関係は、コーコがまだフータを許しておらず、
 とはいえ、もはや殺そうとするほどでもないというあたり、恨みの感情も、
 決してないがしろにできるものではないと思わせられます。

 これが、晴々してもう許したなんて話だと、これまでの出来事の重みが
 なくなってしまいますからね・・・ ちょうど良い落としどころだったかと。

 そして、フルトゥナが去り、薄れてゆく過去生の記憶。
 それと重なるように、コーコさんが「過去より今」なんて言葉をかけていたのは、
 未来への希望のように感じられました。

 永きにわたる因縁の和解が、握手という形で表現されていたのは、素晴らしかった。
 それぞれの過去生、そして今・・・ まさに、つながる感覚。

 そこからのコーコさんの行動には、驚きましたけど、大笑゜(*゜´∀`゜)゜
 やるな~! パパさんが赤面していたのは面白すぎでしょ!
 対抗しようとするノノさんも楽しかった。

 過去生の因縁から、殺し合いの運命を背負わされた2人が、和解へ至る物語。
 その過程は気が遠くなるほどに長く、険しい道だったわけですけども、
 安易なやり直しの物語でなかったことは、とても納得のいくものでした。

 2人の運命は、その円環の果てにつながってゆくのか・・・
 本作はこれにて完結ではありますが、彼らの物語は、これからも続く。
 そう感じさせるラストの余韻に浸りつつ、楽しませていただきましたー!

 

 

【特別編】

●アドミラリティ・コードを探せ!! (Ark Performance 先生)

 

 “霧”の謎がいろいろ明らかに・・・?

 『蒼き鋼のアルペジオ』は、今月休載!
 ですが、アド探は特別編で、2ページにわたって盛りだくさんの内容です。

 まず4コマ漫画は2本立て。
 神壱号さまが逃亡を図るも、402たちに行動を捕捉されていたのは笑!
 行動範囲の狭さが哀しい(ォィ

 そして、あっさり捕獲された神様ですが、アカシさんによる改造が施され、
 強化されたはいいものの、オチで大笑゜(*゜´∀`゜)゜ 行動力あるなあ(そこ?

 そして、本文の内容は、かなり真面目に“霧”に関するあれこれが、
 よくわかるものだったのではないでしょうか。

 デュアル・コアについての話、「大海戦」後の“霧”の動き、コトノの経験値、
 メンタルモデルの形成などなど、かなり興味深かったです。

 これまでに語られていた話もありますけど、まとめて読むとわかりやすい。
 のですが、まさかのオチには、のけぞってしまいましたよ!

 くそぅ・・・やられた、これまで真面目に読んできた自分は何だったのか。
 そんな無力感にさいなまされる、良いオチでしたッ!!
 コミックス12巻は、4月30日発売です。

 


◆ 今月のドリフ

2016年04月06日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2016年5月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ドリフターズ (平野耕太 先生)

 

 豊久、“演説”す!

 黒王軍に追われ、オルテへと逃げ込んできた人々に、
 信長さん曰く「薩摩劇場」状態で、いきなり厳しい言葉を放ち始める豊久。

 国を追われたなら、さっさと戻って取り返せばよいのに、なぜそうしないのか?
 といったことを言われ、あっけにとられる人々。 そりゃそうだ(´▽`;)

 そんな様子を見て、暴動の危険性を感じ取るサンジェルミ伯。
 しかし、そこからの豊久の口上が素晴らしかった!

 ここは、すでに死地であるがゆえに退く場所はなく、死ぬ以外の道はなし。
 意志なき者に貸す力はなし。
 が、故郷を取り返すという想いあるならば、共に行くことは、やぶさかでなし。

 

 

 

 起ち上がる意志。

 豊久の言葉を聞いた人々の中から、奮い立った者たちが次々と現れます。
 彼の厳しい(同時に頼もしい)言葉に、むしろ好感を持った様子。

 これまでの動揺を嘘のように鎮めてゆく、覚悟を決めた表情の数々。
 武人でない者たちにまで、そうした意志が伝播していたのは、凄まじいですね。
 それだけ、豊久の言葉に力があったということなのでしょう。

 ゆえに、暴動は起きず、むしろ非難民の結束と覚悟が固まっていたのは、さすが。
 これまで、ただ救いを求めていた人々に、意志の火を灯すなんて、
 なかなかできることではありませんから。

 

 

 

 そうとわかれば、対策を練るのは信長さん。

 避難民の士気が高まったことで、これを軍に組み込むことを考えています。
 兵士、指揮官、素人に分け、編成をおこなうということですが、
 それには、老若男女は無関係というから面白い。

 サンジェルミ伯は驚いているものの、運動戦ではないため、防陣においては、
 女子供でも役に立つと、信長さんは考えている様子。

 そして、その背景に、本願寺や雑賀の戦いでの経験が活きているのは、納得。
 戦国時代は、村同士の戦いなどでも、村民全体で参加していたそうですし。

 また、もう1つ面白かったのは、人間・エルフ・ドワーフを一緒にしない点。
 存亡の危機において、互いに反目し合うはずもない、なんて周囲は言うものの、
 信長さんは、軋轢ある者同士のことを、そこまで信用していないから、さすが。

 歴史上、滅亡の危機を前に、内紛や政治闘争で弱体化する国・勢力なんて、
 枚挙にいとまがありませんからね・・・ 多種族であれば、なおさらかと。

 

 

 

 決戦の場は・・・

 信長さんが想定する、黒王軍との衝突の地。
 サンジェルミ伯によれば、かつて関所のあった場所らしく、
 守るとなれば、絶好の地のようです。

 そして、そこへ帰って来た豊久が、その地図を見るや、
 何かに思いを馳せるような素振りだったのは、興味深い。

 そう、この場所は、あの場所に似ている。
 豊久は、死すべき場所で死ねなかったがゆえに、死に場所を探している
 のではないか? なんて話を以前しましたけども、これはまさに絶好の地。

 1人、何かに納得するような表情をみせる豊久。
 彼の胸中に去来するのは、やはり自らの死に場所のことなのでしょうかね。
 だとすれば、不吉な話ではありますが、それを覆す展開を見せてほしい所。

 それにしても、多聞さんと邂逅した菅野&スキピオ組は、どうなったのか。
 この戦いに間に合うのでしょうかね? 彼らが援軍となるのかどうか・・・
 そして、廃城がどうからんでくるのか? 諸々気になりつつ、今後も楽しみです!
 

◆ ヤングキングアワーズ 感想