ヤングキングアワーズ 2016年5月号より
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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ドリフターズ (平野耕太 先生)
豊久、“演説”す!
黒王軍に追われ、オルテへと逃げ込んできた人々に、
信長さん曰く「薩摩劇場」状態で、いきなり厳しい言葉を放ち始める豊久。
国を追われたなら、さっさと戻って取り返せばよいのに、なぜそうしないのか?
といったことを言われ、あっけにとられる人々。 そりゃそうだ(´▽`;)
そんな様子を見て、暴動の危険性を感じ取るサンジェルミ伯。
しかし、そこからの豊久の口上が素晴らしかった!
ここは、すでに死地であるがゆえに退く場所はなく、死ぬ以外の道はなし。
意志なき者に貸す力はなし。
が、故郷を取り返すという想いあるならば、共に行くことは、やぶさかでなし。
起ち上がる意志。
豊久の言葉を聞いた人々の中から、奮い立った者たちが次々と現れます。
彼の厳しい(同時に頼もしい)言葉に、むしろ好感を持った様子。
これまでの動揺を嘘のように鎮めてゆく、覚悟を決めた表情の数々。
武人でない者たちにまで、そうした意志が伝播していたのは、凄まじいですね。
それだけ、豊久の言葉に力があったということなのでしょう。
ゆえに、暴動は起きず、むしろ非難民の結束と覚悟が固まっていたのは、さすが。
これまで、ただ救いを求めていた人々に、意志の火を灯すなんて、
なかなかできることではありませんから。
そうとわかれば、対策を練るのは信長さん。
避難民の士気が高まったことで、これを軍に組み込むことを考えています。
兵士、指揮官、素人に分け、編成をおこなうということですが、
それには、老若男女は無関係というから面白い。
サンジェルミ伯は驚いているものの、運動戦ではないため、防陣においては、
女子供でも役に立つと、信長さんは考えている様子。
そして、その背景に、本願寺や雑賀の戦いでの経験が活きているのは、納得。
戦国時代は、村同士の戦いなどでも、村民全体で参加していたそうですし。
また、もう1つ面白かったのは、人間・エルフ・ドワーフを一緒にしない点。
存亡の危機において、互いに反目し合うはずもない、なんて周囲は言うものの、
信長さんは、軋轢ある者同士のことを、そこまで信用していないから、さすが。
歴史上、滅亡の危機を前に、内紛や政治闘争で弱体化する国・勢力なんて、
枚挙にいとまがありませんからね・・・ 多種族であれば、なおさらかと。
決戦の場は・・・
信長さんが想定する、黒王軍との衝突の地。
サンジェルミ伯によれば、かつて関所のあった場所らしく、
守るとなれば、絶好の地のようです。
そして、そこへ帰って来た豊久が、その地図を見るや、
何かに思いを馳せるような素振りだったのは、興味深い。
そう、この場所は、あの場所に似ている。
豊久は、死すべき場所で死ねなかったがゆえに、死に場所を探している
のではないか? なんて話を以前しましたけども、これはまさに絶好の地。
1人、何かに納得するような表情をみせる豊久。
彼の胸中に去来するのは、やはり自らの死に場所のことなのでしょうかね。
だとすれば、不吉な話ではありますが、それを覆す展開を見せてほしい所。
それにしても、多聞さんと邂逅した菅野&スキピオ組は、どうなったのか。
この戦いに間に合うのでしょうかね? 彼らが援軍となるのかどうか・・・
そして、廃城がどうからんでくるのか? 諸々気になりつつ、今後も楽しみです!