「素晴らしい日々」さんによる『まんがタイムきららミラク』クロスレビューに参加いたします!
レビューについての詳細は、「素晴らしい日々」企画ページをご参照ください。
(クロスレビューのページはこちら)
今月16日発売されました『まんがタイムきららミラク』。
新たな「きらら系」4コマ誌でありながら、その内容は従来の4コマ誌とは
趣を異にしたものとなっていて、いわゆる「ストーリー4コマ漫画」が中心になっており、
さらに作家陣のほとんどが商業誌初登場らしいなどという話も・・・・・・
そうした新4コマ誌「ミラク」とはどのようなものなのか?
簡単にではありますが、私の思った所などをつらつらと書いてみたいと存じます。
(やたらと長くなってしまってスミマセン)
【5作品レビュー】
巻頭・巻末作品はレビュー必須ということで、残り3作品をどうしようか正直迷いました。
それだけ良作・期待作が豊富だったということで、レビューしたい作品は色々ありましたよ。
●リリィ (小波ちま 先生)
ネットで噂になっていた「悪魔憑きの屋敷」に興味津々な少女・桃名久美。
引きとめる姉と一緒に、屋敷を探検することになったのだが・・・という所から始まる作品。
好奇心旺盛で元気いっぱいな久美と、妹思いで優しい姉のコンビが
不気味な屋敷を探索しながら、ボケをふりまいて序盤は楽しく進行してゆきます。
そんな感じに姉妹の面白おかしな日常を描く話かと思っていたら、
書庫に置かれた謎の本を久美が手にしたことで様子が一変。
しかし、そこでのやりとりも、奇妙なボケがあったり「パンツは紐が好みだ」などという風に、
なかなかに楽しませてくれるわけですが、何やら不穏な雰囲気で次回へ続くとなったため、
「これからどーなってしまうのか?」と、今後の展開が気になる終わり方になっていました。
第1回目では、ここからどういった方向性で話が進むのか今一つ見えなかったのですが、
シリアスとユーモアのバランスがどうなるのか、そのあたりが本作品の「色」を見分ける
ポイントになりそうな気がします。 作風的にはユーモア重視ですかね?
そして、創刊号の表紙を飾った小波ちま先生の絵柄は美麗、
かつマンガ的にも読みやすかった印象でした。
●Lisa Step! (奄美あまゆ 先生)
イギリスからやって来た女教師リサ。
ちょこっと天然入ってる彼女と、同僚教師たちとの日常を描く4コマ・・・かな?
トビラで一目ぼれ状態でした、終わり。 ・・・・・・・嘘ですゴメンナサイ。
物語は、赴任初日のリサ先生が、
日野葵(体育科)、三条千鶴(美術科)、御子神こあ(化学・生物)、小宮美兎(国語科)ら
同僚教師たちと交流を始める展開になっています。
リサ先生は日本が大好きで、さらに日本のことを知りたいと考えて日本にやって来た人。
そんな彼女の誠意を感じさせる雰囲気と、リサ先生を快くむかえ入れる女性教諭たちの
ほのぼのしたやりとりが、「教師」を感じさせない女子トークっぽく楽しいです。
基本、気持ちの良い人たちの集まりなのが、その楽しさを倍増させていますね。
絵柄好き、雰囲気好き。
さほどストレスを感じずに読めるところも好感度高しで、個人的にも期待しております。
●きしとおとひめさま (パイン 先生)
地球を貫くナゾの穴。 それを研究する研究員の女性・つくよ。
何もない穴を調査する「監視所」で暮らしていた彼女に訪れる運命とは・・・・・・
「あるひ ちきゅうにあなが あきました」と始まる本作品。
しかし12年間、何事も起きることなく穴は存在しつづけ、そして日常となっている世界。
そんなSFなのかファンタジーなのかよくわからないミステリアスな状況での、
主人公・つくよと、彼女の周囲の人々の生活が描かれています。
つくよに弟子入り志願な少年や、ほかの研究員たち、そして所長などが登場し、
何も起きない穴の調査などをおこなう話のようですが、ラストではそんな日常が崩壊する
きざしが見えていて、今後どうなるのか気になる終わり方になっています。
それにしても、タイトルの『きしとおひめさま』と「序章編」が意味するものは何なのでしょう?
私としては、ボーっとしたメガネで白衣のつくねさんが「おひめさま」で、
弟子入り志願の少年が「きし」になるのかと考えておるわけですが・・・はてさて?
正直まだよくわからない作品ですが、それゆえに今後への期待が高まっております。
●福33三色パンチ (にき 先生)
女子美大生3人による共同生活4コマ!
天然セーラー服、きつめツインテール、のっぽメガネとそろっております・・・?
美大に入学した3名が、ルームシェア募集にて出会うことから始まる物語。
のっけから「美大には変わり者が多い」ことが描かれていて、
それゆえに3人の個性にも得心がいくという仕掛けになっていますね。
・ 木ノ下コウ : 大学生なのにセーラー服とはこれいかに? 天然というより天才肌?
・ 御子柴ゆかり : 小さいので迷子に間違われるツインテール。 でも性格キツめ?
・ 日向茜 : 背が高いメガネさん。 他の2人よりしっかりしてそうだけど弱気。
そんな彼女たちがルームシェアすることになったのは、いわく付の物件だった!?
といった感じで進行してゆきますが、この物件がなんとも情緒ある和風でワッフーな感じ(ぇ
この落ち着く雰囲気が素晴らしく、かなり好きかもしれないです。
そこで生活することになる女子美大生3名。
「美術」というアプローチと、この3人のキャラクターのからみが
どういった楽しませ方をしてくれるのか、期待しております。
●びぎなーず9 (白滝キノコ 先生)
野球少女、野球する!・・・な4コマ?
入学早々、野球部創設をめざし、先生と勝負をすることになったのですが・・・・・・
野球大好き少女・たま。
友人・かなをさそって野球部つくろうと目論みますが、
顧問になってくれそうな篠崎先生と野球勝負をすることになりまして・・・という展開。
これを読んで感じたのは、4コマで野球を描くのは難しいな~ということなのですが、
私はそんなことよりも、白滝キノコ先生の作風にホレこんでしまいまして、
些細なことはどうでもよろしいという気分になってしまった次第であります。
どんなところにホレこんだのかは言葉にしづらいのですけども、
作品のリズム・テンポ、そしてキャラクターの動きでしょうか。
このあたり、「未来」を感じさせる4コマ誌「ミラク」にあって
どこかクラシカルな雰囲気をもった作風であるように私には感じられて、
逆にそれが新鮮といった印象でした。
そうした意味で、本誌の中で異彩を放つように感じられた作品でありますもので、
これはちょっと期待してみたいと考えております。
またこの他にも、
『純粋欲求系リビどる』(眉毛 先生)の少年のリビドーをテーマにした(?)内容や、
『Good night! Angel』(柊ゆたか 先生)の友達欲しいワケあり少女の学園生活、
『月曜日の空飛ぶオレンジ。』(あfろ 先生)の不可思議ワールド体験アワー、
『スイート マジック シンドローム』(CUTEG 先生)の愛らしい空間交友録、
『るーてぃんルーティン』(さがら梨々 先生)のチャットでつながる人間関係
などなど楽しめたり、期待するポイント目白押しであります。
もちろん書ききれないけど、それ以外の作品も面白い!
【雑誌総評】
「ドキドキ☆ビジュアル進化系」とあるミラク。
まさにビジュアル重視な雑誌に仕上がっていますが、
それゆえに私などは、「内容は二の次か?」などと意地悪く考えていたりもしたわけです。
ところがどっこい!
これが内容的にも悪くない・・・いやさ、良作豊富と言っても過言でない、
今後を期待させてくれる作品が見事にそろっているわけですよ。
私はマンガの技術的なことについて詳しい人間ではないので
参考にならないかもしれませぬが、思ったよりも「読める」作品が多かったように感じます。
「絵だけ」という先入観が良い意味で裏切られた、ということですね。
また、「もっと自由に4コマを」ともあることから、
従来の一般的な4コマ漫画(オチがつくネタ形式)の枠にとらわれない
4コマ作品が多いのも特徴。 つまり「ストーリー4コマ漫画」が基本になっています。
これは、最近リニューアルした『まんがタイムラブリー』のコンセプトに近いものですね。
ここから考えられるのは、今後の4コマ漫画に対する人気(読者が望む)傾向が
ストーリー重視へ流れてゆくと、商業誌出版社さんがにらんでいるのではないか?
もしくはすでにそうした流れが大きくなっているのではないか?・・・ということ。
時代は「ストーリー4コマ漫画」の方向へ舵をきりつつあるということでしょうか。
だとすると、この「ミラク」は新時代を切り拓く4コマ誌の1つとなる可能性があります。
そう考えれば、ほぼ商業誌初掲載らしい作家陣をそろえたことにも、
「新時代を切り拓く意欲の表れ」を感じられるというものです。
さて、4コマ漫画の新時代はやってくるのか?
私としてはストーリー4コマだけでなく、従来のネタ重視4コマ漫画も好きですし、
できるかぎり両者が共存する未来を見てみたいものですが・・・
そのカギを握ることになるかもしれない4コマ誌「ミラク」。
この4コマ誌の動向には要注目、そして期待大であります!
最後に、「素晴らしい日々」管理人の八戸さんへ。
twitter上での申し入れに快く応えて頂き、ありがとうございました。
やはり何かしらの企画参加というものは、書くことのモチベーションを上げてくれますし、
そうした意味では、このような機会を与えていただけたことに感謝しております。
以上、拙いレビュー記事ではございますが、
企画の末端にでも加えていただければ幸いです。
Vol.2 感想はこちら。