五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ まんがタイムきららミラク Vol.2 感想

2011年05月18日 | ◆4コマ誌⑩ 不定期購読誌

 Vol.1 の感想はこちら

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 先々月創刊されました4コマ誌「まんがタイムきららミラク」。

 その第2号が発売されましたが、今回は前回と同じようなカタチで、

 Vol.1 で紹介できなかった作品をいくつかピックアップしてみます。

 

 

 

●Good night! Angel (柊ゆたか 先生)

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 女子高生・境川ユリは・・・殺し屋!

 なのだけど、その稼業から離れるべく1人暮らしを始め、友達つくろうと奮闘中。

 そこに、ユリの稼業について知っている同業者、転校生の白霜あやめが現れて、

 仕事のパートナーとして付きまとってくるのだから、さあ大変・・・と始まった本作品。

 

 今回は、ユリさんが同級生2人を「むすバーガー」に誘うべく努力してますが、

 今まで友達いなかったユリさんの、2人にアプローチするだけでも一苦労という様子が、

 コミカルだったり微笑ましかったり・・・といった風に面白味となっています。

 この“誘い方”には笑っちゃったけど、それ以上に、あの“誘い方”で理解できた佳奈さんが

 すごく良い人に思えて、さらに笑ってしまいましたよ! もう立派な友達だ~ね。

 

 ユリの裏の顔を知るあやめとの関係は、いわばあやめの一方的な片想いなのだけど、

 そんなことにお構いなくズケズケとユリの懐に踏みこんでくるあやめの行動は、

 警戒心や不安感を覚えさせつつも、それがよい意味での緊張感となって、

 物語のバランスをウマい具合に保っている印象。

 

 これらユリを軸とした2つの流れが、今後どう描かれてゆくのか・・・期待です。

 絵がスッキリしていて読みやすく、かつテンポが良い。

 そこにキャラクター1人1人の個性が、それぞれくっきり感じられる描かれ方で、

 しっかり読める作品に仕上がっていると感じます。

 

 

 

●おきまりラブ (teti 先生)

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 少女マンガ好きの女子高生と、美少女アニメオタクが出逢ってしまったら?

 条件付きのお付き合いをする男女2名のロマンチック・コメディ・・・かな??

 

 石附みのるさんと、今村ゆずるくん。

 お付き合いの条件は、それぞれ体験したいシチュエーションを交互に叶えるというもの。

 今回のシチュは「幼馴染」ということで、朝起こしに来る幼馴染を体験中。

 そこで、ゆずるくんのアニオタ妄想がさく裂、「添い寝」を願い出るとか何たる策士!

 と思ったら、どうも本気の念願らしいとか、純なんだか不純なんだか・・・

 なんて展開で、気をもたせるような「間」の使い方が見事な話だったと感じます。

 

 本作品の面白いところは、男子妄想の赴くままに突進してしまいそうなテーマでありつつも、

 そこに少女マンガ好きのヒロインを配置することで、微量ながらも少女マンガ・テイストを

 感じさせてくる点でしょうか。 少女の望むシチュエーションも面白かったりしますし。

 この「男・女」のバランスは、「お付き合い」を描くうえで、けっこう重要かな・・・と。

 

 そして、ゆずるくんが妄想優先なのに対して、みのるさんは意外と乙女な心境で

 恥らったりムネキュンしたりと、可愛らしい姿を見せてくれるのもよいですね。

 そんな2人の先行きに期待です。

 

 

 

●夜森の国のソラニ (はりかも 先生)

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 何処かの深い深い森へと迷いこんだ、1人の記憶をなくした少女。

 そこで出会った森の管理人・夜森と、不思議な人々。

 ソラニと名付けられた少女の、森での生活が始まります・・・

 

 まず目をひかれるのは、幻想的な雰囲気。

 「目覚めに迷う者が訪れる夜の国 夜森」

 というファンタジー世界の描かれ方は、まさに夢のごとし。

 

 そんな世界の中に記憶をなくした少女が放り込まれている点が、まずミステリアス。

 そして、その少女が「知人に似ている」とそろえて語る森の住人達。

 ゆえに少女は「空似」からソラニと名付けられるのですが、気になるのはその知人の存在。

 さらに世界そのものにも秘密があって、これらがミステリアスな雰囲気を増幅しています。

 

 このように、絵柄の幻想的なこともですが、

 なぜ?どうして?と気にしてしまう要素の色々あることが、魅惑的な作品となっています。

 また、個性的な住人達のかけあいや、夜森の抱えた秘密と心情、ソラニの明るさなどなど、

 多くの面白味を感じられる作品でもあります。

 不思議な森でのソラニと夜森の生活が、今後どのような展開を見せるのか、期待です!

 

 

 

●月曜日の空飛ぶオレンジ。 (あfろ 先生)

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 授業受けたり、スイカ割ったり、もんじゃ食ったり、そんな女子高生の日常・・・

 のはずだけど、なんか変だぞ、この作品!?

 

 とりあえず、妙なギャグ4コマ作品ということでよろしいか・・・?

 バイク通学・ななみさん、ゴーイングマイウェイ眼鏡・ヨシノさん、いつも笑顔のマナカさん、

 そして今回、トビラ中央を飾っています先パイも出てきての、穏やかで騒がしき日々。

 

 「もんじゃもんじゃ」とうるさいのはヨシノさんですけども、

 彼女の奔放なボケっぷりが作品の勢いを作っていますね。

 そこに常識人っぽいななみさんのリアクションが加わって、

 ツッコミになったり、「あきれ」になったり。

 不条理というほどでもないのだけれど、どこかズレた勢いを楽しむ作品という印象。

 

 あと、「日常」をかい離したような不思議な世界っぽいのも魅力で、

 今回あまり出てきませんでしたが、なぜか理科の教師が「ツカぽん」という

 謎の生物なところも面白いです。

 

 また、私が好きなのは、女子高生たちが流れる雲の空の下を行くシーン。

 第1回目もそうだったのですけど、あそこの描き方って、何だか良くないですかね?

 ・・・などなど、よくわからないけど、面白いと感じる作品。 今後期待です!

 

 

 

●スイート マジック シンドローム (CUTEG 先生)

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 甘子さんが手に入れた新商品のおやつ。

 そこから飛び出してきた謎の少女プリンとの共同生活が始まりましたよ・・・な作品。

 

 本作品の魅力は、まずこの愛らしきキャラクターと、彼女たちがつむぎだす甘い空気感。

 朝食のレーズン食パンにバターをたっぷりぬって、ハチミツをたっぷりかけるとか・・・

 何たる甘々! 舌がとろけそうな甘味を感じるこの至高の瞬間!!

 甘子さんとプリンの愛らしさが加わって、その甘さは天井知らずでありました。

 

 今回は、プリンの姉妹たちが登場し、愛らしいキャラクター層にも厚みが出てきましたが、

 4人がテーブル囲んでお茶しているシーンには、これまた甘~く和めるよさがありますね。

 引っ越しが多くて友達をつくれなかった甘子さんが、多くの「友達」と楽しく過ごす風景は、

 微笑ましい安心感をもたらしてくれる気がします。

 

 「可愛らしい」という点でいえば、本誌においても屈指の作品。(私視点)

 なもので、この甘く愛らしい空間にひたりたいのも山山なのですが、

 何やら不安な展開を見せた本作品、今後どうなってしまうのか・・・楽しみです。

 

 

 

前回紹介作品の簡易感想

・リリィ (小波ちま 先生)

 幸子さんがめっちゃいい姉! 妹・久美さんは、リリィの存在になじんじゃってるけども、

 姉が心配しているという構図は良いバランス。 久美さんの天真爛漫さも、明るくて良いし。

 でも久美さん自身より、彼女をはさんだ幸子とリリィの関係の方に目線が行ってしまうな~。

 

・福33三色パンチ (にき 先生)

 共同生活スタートの3人組。 しっかり者と思っていた茜さんも、けっこう「ボケ」担当したり、

 3者3様のボケを楽しめる作品になっていますね。 酒漬けのメロン、食べたいな・・・(ォィ

 まだ始まったばかりですけども、私としては「美術系」という側面にも期待しております。

 

・きしとおひめさま (パイン 先生)

 今回は「変転編」とのことで、毎回「〇〇編」というのがタイトルになるのでしょうか本作品?

 いきなり、つくよさんの学生時代が描かれて、日常4コマみたいな面白さがありますね。

 そして後半は前回からの続きですけど・・・「きし」登場!? あれ?少年が「きし」じゃないの??

 

・Lisa Step! (奄美あまゆ 先生)

 採点するリサ先生の笑顔が花マルですよー! と叫んだのは私だけじゃないはずです(ぇ

 ということで、今回は先生たちの「採点」風景でしたが、やはりこの雰囲気、大好きですね。 

 リサ先生を可愛がる先生たちの好意とか、和めてよろしい楽しさがあります。 期待大!

 

・びぎなーず9 (白滝きのこ 先生)

 野球部創設ということですけども、野球するにはメンバー集め。 そこで、部員募集の巻。

 ということで、新キャラクター続々登場・・・いきなりで覚えきれんですよ! まあ3人ですが。

 前回も語りましたが、少し古風を感じさせる作風がテンポ良くて好き。 今後も楽しみです。

 

 

などなど、手間取りつつも書いてみました。

それにしても、第1号で「もっと自由に4コマを」とあったフレーズが、

この2号では「4コマは豹変する」となっていますけども・・・

これ、毎回変えるの大変じゃないですか? などと余計な心配をしてしまいました。

 

前回にしろ今回にしろ、おそらくは「新しい4コマ漫画の境地を切り拓きたい」という、

そんな意欲のあらわれであると私などは感じますが、それが今後どう動いてゆくのかは、

まだまだ未知数・・・ですかね。

 

「豹変」という言葉を使っているのは、それまでの4コマ漫画の主流が、

いわゆる「萌え」という流れへと変化していったことを意識しているのかも、

そして、今後「萌え」からさらにステージを上げてゆきたいと考えているのかも・・・?

などと考えてみたのですが、少し的外れでしたでしょうか。

 

いずれにせよ、まだ第2号。

これからのミラクに期待しておきたいと思いますし、

期待できるだけのポテンシャルを、この4コマ誌は秘めているだろうと考えております。

そんな感じで、Vol.3 も楽しみです!

 

 

Vol.3感想はこちら。