アメリカン フックド・ラグ
アメリカのフォークアート美術館で恒例年一回行われる“ラグ・デイ”
は今年で4回目になります。社会現象を起こした程、沢山つくられた
アメリカの2大クラフト、フックド・ラグをもっと知ってほしいというプロモ
ーションです。ハイテック時代の現在、鈎針と芯地とウールがあれば
キルトと同じく誰でも出来るアメリカのローテック代表クラフトです。
作れるならば何か作って見たいと誰でもが願います。
でも、「才能がない。絵も描けない。不器用で駄目。作っても役にも立
たないし、必要もない。笑われてしまう。お金もかかるし忙しい。そん
なもの作るより寝ていたほうが益し」など、作りたくない理由は山ほど
あります。
しかし、「ラグとはこれだ!是を見たその日から・・・」というのが美術
館でのラグ・プロモーションです。
ゲイル ホートンとリー コーガンLee Korgan(フォークアート美術館)
あいにくの土砂降りの雨でしたが、ゲイル ホートン(Gail Horton)
の“ラグが語る物語”と題して彼女が作ったラグの物語、成長、家族、
近所の環境など彼女の暮らしを綴るラグ物語のスライドレクチャーで
した。
彼女は「画家でしたが、画家は描く環境が必要です。絵の具やキ
ャンバスを持ちあるかなければならない。場所も必要です。ムードに
もよります。なるべく孤独でなければならないなど。しかしラグ作りほ
ど簡単で、膝の上で材料の袋一つ持ち歩くだけど何処でもいつでも
出来る。友人と話しながら、テレビを見ながらでも作れる。この理由が
19世紀の女性たちがせっせとリサイクルウールで自分らしさを発揮
しました。これほど面白いミディアムはありません」
とゲイル ホートンはスライドを説明しながら自分史を説明しました。
面白くない文章を読むよりもはるかに面白く、すべての思い出は写真
からデザインをおこしたものでした。おじいさんが耕すロングアイランド
の農地は今はもう埋め立てられてありません。それは歴史の1ページ
でもあり、表現はアイデア次第だとまた考えを新たにさせられました。
家族の肖像が母親の手作りだと思うだけでも子供たちばかりでなく
見る人の心を暖めてくれます。
人物表現で新世界を開拓しているロズリン ログズドン
Roslyn Logsdon作 右下は貴山ひろみ作
ラグはキルトとは違います。正確に作る規則がないのです。
気が楽でアイデア次第です。同じ写真やデザインを練習のため写し
てもパンケーキ作りと違い、全員違うものが出来ます。
そこが個性となり、人に語りかけます。たとえお気の毒のような下手
くそでも、あなたのクリエイションは充分に人を感動させ得るのです。
そこがいい。3枚作れば作り方は卒業です。後はリズムを得ればあ
なた次第です。作り出す事の楽しさを知った人生は楽しいです。
ぜひ作ってみてください。無から作り出す素晴らしさ。ラグ万歳。
参考:
アメリカンラグ材料輸入日本代理店:「ホームスパン」
東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7、1F 電話:03-5738-34310
参考本:
「アメリカンフックド・ラグ」 小林恵著 主婦と生活社 2002年
歴史を含む本格的ラグ作りの手引き本 ホームスパンまで。
お知らせ:
「第3回日米フックドラグ展・ストライプ」ストライプを主題に日米ラグ
50点が展示されます。2009年1月5日より1月25日まで
ギンザ・ミキモト6Fにて開催。ご期待ください。