捨てるのは待って! 木綿、絹、麻、ウールをリサイクルしよう.
残り物でもアートを作れる、再生可能はすごい!
ものつくりを教えていて一番難しいのはデザインを各自にまかせることです。サンプルがないとなかなかできません。できないのではなくて視覚的に経験を積んでいないからだと思います。
作品展、コンテストに出すために作る理由は別です。社会現象で無数にできたキルトからキルターたちは自然に学びとっていきました。うまく見せようと思って作るものは大抵の場合感動しません。作為がなく無心で作ったものに人々は感動します。
規則がなく好きなように作ったフックド・ラグはキルトより易しく表現方法もずっとバライエティにとみます。
私たちが今、天候の変化や自然環境の変化に驚いています。
近い将来、自然ファイバーは貴重なものになっていきます。経済も重要な理由でアメリカのコットン産業も今はトウモロコシや大豆畑に変わりました。奴隷の綿摘みがいなくなったこと、その代りに素晴らしいテクノロジーで科学繊維が出来ていることは時代の変化で、私たちもその恩恵を得ています。
しかし、ウールは素晴らしい。シミがついた、虫に喰われた、縮んでしまった、古臭くなった、流行おくれ、などの理由ですぐ捨てていませんか?
残念ながら日本の家には収納庫が少なく取っておきたくてもスペースがありません。外国人が「もったいない」ムーブメントを起こすと日本人はすぐ考え直します。もったいないは物だけではありません。時間ももったいないと思います。何ができるか社会にもっと関心を持ちましょう。
動かせる健康な手もある。デザインをしたことないので ”手創りは私は駄目” ときめつけていませんか?デザインは心の動くままにすればいいのです。写真は19世紀アメリカで作られた残りウールで作ったフックド・ラグです。よく見てください。これなら私も作れると思うでしょう?。
100%ウールでラグを作れば100年は持ちます。
玄関に置けばあなたのステートメントになります。作り終わると誇らしくなり、初めは「踏まないでまたいでねー」と言いたくなると皆さんがいいます。作った人だけがわかる誇らしい感想です。
このたび暮らしの手帖61号に花森安治さんの表紙カバーから作成したラグの展覧会があり、その中から17点を花森さんが生きていらしたら「よくやりました!」と言っていただけるように原画に忠実に作りました。リビングファッションの店、原宿の「かぐれ」で展示し、展示を見た人の多くの感想を一口でまとめると、こんなことが出来るなんて「驚きました」という言葉でした。一番誇らしく思った人は作った人たちでした。企画者にとって、暮らしの手帖の編集者たちも心からやってよかったと思ったことはとても幸せなことでした。
「成功の反対語は失敗でありません。やらないということです」といった身体障害者の先生のおっしゃった言葉を私たちは、心に刻んでいきましょう。
写真のラグをよく見てくださいすべて残りウールで作ったラグです。
6歳ぐらいまで子供は天才だとピカソは言いました。天才でない私たちでもやる気があれば部屋を美しく自分の手で飾り、100年も生き続けることができるのは楽しいですね。
唯一人の男性でラグを作り、3度の日米展に参加いてくださった有吉熙さんがお亡くなりになる前にお手紙をいただきました。
「私は一生企業でものつくりをしてきましたが、引退してからラグを作り自分の手で作ったラグを家族に残していけることに感動しています」と。