ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

〈そんな食卓はないか〉

2015-03-05 06:33:12 | 日記
中学1年生の男子が殺された事件は、何ともやりきれない事件でした。
笑顔の写真が映るたびに掌を合わせておりました。
殺人容疑で逮捕された3人も、また少年たちということで、胸が痛みます。

児童教育に当っている友人が、
『今の子どもたちね、昔と違って、見た目は可愛いし、私たちの時代のように飢えてもいないでしょう。
でもね、見かけは「幸せな環境社会」を生きてるように見えるけど、本当のところは、
日々、「荒野」を生きているんじゃないかって思うのよ』
そう語ってくれました。

NHKプレミアムドラマ「だから荒野」(桐野夏生 原作)を、観おえたばかりでしたので、
「荒野」という言葉が深く心に刺さるおもいでした。

20年近く前の頃です。
私は、「おはなし ばぁちゃん」として、幼稚園や、小中学校を訪れていました。
幼いもの達は、顔かたち 体つきの違いはあっても、あどけなく愛らしく、長じて、
「反社会的な道」に踏み迷う者など あろうはずがないとの確信さえもっていたものです。

しかし、
〈浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ〉
悲しいことですが、いつの時代でも、どこの国であっても、道を踏み迷う者が
出てきてしまうようです。
子どもの育つ社会的環境を、100%優良に備えたとしても、すべての犯罪が、
この世界から消え去ることは無いのかもしれません。

でも、こんな食卓が整えられていたら、少年たちの犯罪が、少しは減るのではないかと、
私の願望を、祈りと共に紹介したいと思います。

   『食卓』
   一枚板の丈夫な食卓
   ちょうど畳いちまいの大きさで
   厚さにナラの誇りが香るような
   暑い夏の昼下がりには すっぱだかになって
   その上へ肌を寄せまどろみたくなる
   そんな食卓はないか

   ……………中略……………

   家庭には食卓がひとつ あればいい
   古びてはいてもよく磨かれて
   ひとつひとつの傷みまでもあたたかい食卓
   寒い冬の夜更けには 湯気が立ちのぼり
   そこへみんなが戻ってくるような
   そこからみんなが旅立つような
   けっして消えることのない
   いのちのごはんをいただけるような
   人生には
   そんな食卓がひとつ あればいい
   ……………後略……………
             『だいじょうぶだよ』(晴佐久昌英 神父著 より)

そして、この詩は、次のフレーズで終わるのです。

   〈ひとのちからでは支えきれない
    はだかのふたりを
    一枚板の丈夫な食卓が
    美しくささげてくれる夢をみながら〉と。
コメント (2)
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