朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

元気バス、三重県玉城町のチャレンジ

2012-02-13 | 国内各地の風物
都会以外の地域で、住民の交通手段をどう確保するのか。高齢化するコミュニティの交流を図るにはどうすればいいか?

そんな課題ソリューションの一例を見学してきました。



三重県伊勢市に隣接する農村地帯の玉城(たまき)町で「元気バス」の実験が始まっています。
オンデマンド・バス(ODB)の実現性を研究するため東京大学の実証実験プロジェクトとして共同研究しています。



現在はマイクロバスが3台、午前9時から午後5時まで、土日を含む毎日走行しています。事前に予約を受けて、効率的なルートを決定していきます。路線バスのような決まったルートはありません。町内のほとんどの住宅地をカバーしています。現在は無料。

ドライバーが見せているものは「スマートフォン」。このデバイスで乗降地点での状況をセンターに報告します。



利用者は事前登録制で約1,000名のリストがあります。年齢制限はないのですが、実際は高齢者が多い。予約は、スマホ(スマートフォン)にセットされたアプリに示されるカラーで色分けされた大きめのボタンで信号を送信するか、あるいは電話にてセンターのオペレータに言葉で希望を伝えます。

実証実験のため40台のスマホが貸与されています。

上の写真のように、約束の住宅地停車ポイントに利用者が歩いてきます。ほとんどの場合、5~10分早く来ていてバスを待っているので早め、早めにバスが運行でき、結果的にほとんど待ってもらうことなく乗車できているとのこと。



実際に乗車体験して、利用者に直接インタビューすることにしました。

皆さん、大変に好評です。
「このバスが始まるまでは、自宅から外出ができなかった」
「電気4輪車を使っているが、溝にははまってしまったり、田に落ちたりしたことがありので自分で運転するのは怖い。このバスは助かる」
「通勤(福祉施設勤務)に毎日利用している」
「このバスがあるので、体操に毎週かよえる」

新聞カラー記事が車内に掲示されています。テレビ取材も多数と聞きました。

こうして社会的にほめてもらうと、担当者や利用者も自信が湧いてより、意欲が高まります。改善努力にも拍車がかかるようです。



これがセンターの予約管理システム画面。3名のオペレータが担当していました。

特記すべきこと。しばらく、その側で通信を聞いていましたが、オペレータの応対がとても親切で利用者個人の状況をよく把握していることが理解できます。

施設長や市役所課長の話を聞いて、「元気バス」成功の秘訣は、実はバスそのものは道具であり、高齢者コミュニティの絆つくりが大切であるとの理解しました。
前日までの予約が原則ですか、当日も融通して受け付けているようでした。



保健福祉会館がハブになっています。運行管理センターもここにあります。

個人個人の予約、実施のデータを全て詳細に集積して、今後の計画検討に生かすそうです。

この日の福祉活動の目玉、体操に参加させてもらいました。我らも一緒にゆっくり中国体操を経験。



目的地の1番は、「保健福祉会館」(隣接して大きな日用品販売店(ホームセンター)があります)2番は、日帰り温泉。3番は、病院。

このバス以前には、「福祉バス」が1日2往復運行されていて、この会館・病院・図書館を無料で結んでいました。現在も運行中。

実証実験の助成金が終了したあとも、これらのノウハウを統合して、いかに低コストで実施できるか、智恵をひねっている模様です。

町長、林生活福祉課長と西野社協センター局長が、キーマンです。彼らのエネルギーと説得力がこの事業を動かしています。それを支援する東大の先生、マスコミ報道、各地の自治体からの視察団の賞賛。そしてなにより利用者の感謝。

∽==>>==
付記
帰り道、林課長さんから「ふるさと納税」の案内を聞きました。この町ではクレジットカードで納税できるのです。それでふるさと納税すると、1万円で、5000円相当の農産物をプレゼントしてくれて、納税額分が確定申告で所得控除されて税金が減るそうです(^_^)





コメント (2)
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