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徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

ねじの回転・・・パート2

2006年04月20日 | 音楽・映画・本
本屋さんに行くと2冊「ねじの回転」というタイトルの本を見つける事ができます。1冊は最近といっても去年だったかに出た恩田睦さんの小説。そして、もう1冊は私が卒論でやったアメリカ人でありながらイギリスを愛した作家ヘンリー・ジェイムスの小説「ねじの回転」(Turn of the Screw)であります。

私は恩田さんの「ライオンハート」という小説が好きで、彼女の小説はまた読みたいと思っていたところに「ねじの回転」というタイトルの小説が出て、ますます彼女に興味が湧きました。でも、まだ読んでないんですが・・・でも絶対に読むつもりです。

そしてヘンリー・ジェイムスの方の「ねじの回転」は卒論の「鳩の翼」を分析するうえでとりあえず、ジェイムス作品をできるだけ読んだわけですが、その中にありました。でも、この小説は一風変わっているんです。

それはちょっと心霊現象っぽい内容の小説だからです。でも、これをオカルト小説として読んだら大変ですよ。やはり文学作品ですから、奥が深い・・・

物語はある家庭教師からの手紙で始まります。何人かの手に渡ってある人のところにやってきた手記にはある恐ろしい出来事が綴られていました。大きな屋敷に父と住む2人の子供達。その家庭教師としてやってきた若い女性。その彼女が目に見えない恐ろしいものと遭遇し、子ども達を守ろうと奮闘します。しかしながら、実際は誰もそんなものを見たことがない。でも、彼女にはその恐ろしいものがわかるんです。

まあ、随分前に読んだのではっきりと覚えてませんが、とにかく「恐さ」の演出がすごくうまいのがジェイムスさん。

「いるの?いないの?」

最終的にはその人の手に渡ってきた手記よりその若い家庭教師は亡き人になってしまっていることがわかるのですが、それがどういうことなのか、すごく謎の残る小説なんです。

その小説の批評も2つに分かれて、「そんな心霊的なものはなく、その若い家庭教師の精神的な病によるもの」とするのと「本当にその恐ろしいものは存在した」というもの。

私はどちら側に立ったのかは忘れましたが、そんな事抜きにしてラストの方がすごく迫力があるんですよ。子どもを守ろうとする家庭教師と目に見えないものとの戦い。

私はこれは1つの象徴的な本だと思うのです。ジェイムスは実際に幽霊達がいるとして設定していると思うけど、実は彼が表現したかったのは人間の心理というもの。何かを守るということは実はとても繊細であり、自分の臆病さも隠さねばならない状況になり、そのためにふつうの状態の人には見えないものまで見えてしまう。そういうことを言いたかったのではないかな・・・と今になって思うわけです。

よく「守ってあげる」という言葉を耳にします。でも、守るというのはやはり命がけでなくてはいけないと思うのです。

ここを見て下さっている方には今「守ってあげたい」と思える人は何人いますか?もし、一人でもいれば、それはとても幸せな事だと思います。そして、そう思える人が今はいない人でも、いつか必ずそういう人と出会えると思います。

そして思うのです。あらゆる人が地球を回転させている大切なねじなんじゃないか・・・と。



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