風月庵だより

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天井桟敷の人々

2006-04-18 00:00:00 | Weblog
4月18日(火)晴れ 黄砂飛ぶ鼻炎ひどし【天井桟敷の人々】

なんとなくテレビをつけたら丸山明宏さんが寺山修司(1935~1983)について語っていた。学生時代、劇団天井桟敷の人たちと遊んでいたことを突然思い出した。このブログをお読み下さる人たちは何歳ぐらいの方々なのであろうか。ほとんど一方通行なので分からないのであるが、1967年頃青春時代を送った人のなかには、劇団天井桟敷をご存じの方もいらっしゃるのではなかろうか。寺山修司が一世を風靡していた頃である。

劇団員のなかに、いつも左目に眼帯をしている女の子がいた。眼帯はトレードマークのようであり、レースの眼帯やら、花模様の美しい眼帯やら取り替えて楽しんでいたようで、本当に目が悪いのかは分からなかった。その眼帯を寝るときも決して取りはしなかった。。青目海という芸名の劇団員であった。他の人もいたが今思い出せる名は彼女の名だけである。時々新宿で出会って一緒に遊んだ。若い時にはいろいろな出会いがあった。

寺山修司のような天才的な劇作家のもとに、なんだかわいわいと人が集まっていて、かつての新宿アートシアターで芝居がかかるときには、そのあたり一帯が熱気に包まれていた。すっかり遠い日のできごとである。昔を振り返ると老化が始まるというが、今の自分の境遇と寺での修行の日々などを振り返ると、学生時代の日々はあまりに隔世の感がある。

その時はその時で面白いと思うが、やはり僧侶としての今の生き方を揺るぎなく面白いと思っている。どちらがよいと比較できるものではないが、今このようにあることに疑問はない。

今日は一日室町時代の禅僧の語録を繙いて研究した。地道な研究が次の世代に繋がる小さな灯火になるだろう。人類が出現してから五百万年、釈尊の教えもわずか二千五百年前にともされ始めた火にすぎない。それなのに已に真のことが見えなくなっている。いや、見えないのはこの私である。人のことではない。この私自身ができる限り学んで理解して、生命の不思議に触れて、灯火をつないでいきたい。私は私であって、私ではない。

*寺山修司著『書を捨てよ街に出よう』

*『毛皮のマリー』の丸山明宏(三輪明宏)さんは妖艶な美しさであった。

*備考『天井桟敷の人々』は1945年フランス映画。主演ジャン=ルイ・バロー、監督マルセル・カルネ、脚本ジャック・プレヴェル

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