風月庵だより

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成住壊空について

2007-05-05 19:03:53 | Weblog
5月5日(土)晴れ【成住壊空について】

連休もいよいよ明日で終わり。今日の交通渋滞は例年の通りだろう。多くの人々が大移動をするのだから、交通渋滞は自然の成り行きといえよう。さて、先日、成住壊空じょうじゅうえくうとはなんぞや、というご質問をいただいたので、簡単に説明させていただきたい。

成住壊空は四劫しこうといい、仏教の世界観である。三千大千世界は常に成劫じょうこう、住劫、壊劫、空劫の四期を繰り返しているという世界観である。

成劫は世界の成立期、住劫は存続期、壊劫は破壊期、空劫は空漠期ということである。『佛教語大辞典』(中村元著 東京書籍刊)の記載によれば、成劫は器世間きせけん(山河・大地・草木など)と衆生世間しゅじょうせけん(生きものとしての世界)が成立する時期。20小劫に分かれる。

住劫も同じく器世間と衆生世間が安穏に存続していく時期。20小劫に分かれる。壊劫は衆生世間がまず破壊し、次いで器世間も破壊し尽くす時期。20小劫にわかれる。空劫はすべて破壊しおわって完全な無となる時期、20小劫ある。この時期が無限に循環するとされる。

このような教えを待つまでもなく、形有るものは必ず何時かは滅びることを、誰しも判っているのではなかろうか。ただそれが地球規模になると、地球が滅びるということは、にわかには誰しもが信じられないようである。

しかし、地球も形有るものであるから、何時かは滅びるときもくるだろう。その前に人類や他の生物は、滅びるであろう。無限のときのように思えるような長い長い時の後であろうが、そのときは確実にくるであろう。

このままでは、衆生世間(人類および他の生物)は早々に滅びる可能性が高い現実が目の前にあることも事実である。誰しも自分が生きている間は大丈夫だろうと、楽天的に思っているが。成住壊空は真理であっても、地球人類はできる限りの努力をして、地球という器世間を、未来につなげていく責任がそれぞれにあるのではなかろうか。

人間はいつかは必ず死ぬのだから、といって無茶苦茶に自分の肉体を扱っている人は少ないだろう。地球もいつかは滅びるかもしれないが、人間の自分の肉体のように最後まで大事に扱うべきではなかろうか。

イラクで戦いをしたりしている余裕はないし、限られたエネルギーを取り合ったり、環境問題を無視したエネルギー浪費をする余裕も無いはずである。

私はかつて地球人類の滅亡、地球の滅亡を、心の声が絶えず、告げてくることがあり苦しんだことがあった。おそらく自己分裂していたのかもしれない。しかし小川弘貫先生という方の本の中に成住壊空という事が書かれていて、この言葉を目にして、地球人類の滅亡、地球の滅亡は真理である、と分かり、この苦しみから解放されたことがある。

しかし、現在は現実として迫っている、環境破壊に対して、単に真理として安穏としてはいられない思いがある。未来の子ども達の為に。今日は子どもの日である。子どもたちが安心して生きられる世界であるように、願いをこめて、成住壊空について紹介しました。