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『週刊ダイヤモンド』6月22日号 - 中国の人口は半減し、低成長に苦しむようになるのは不可避

2024-06-20 | 『週刊ダイヤモンド』より
ダイヤモンドのコンサル特集は良い内容、かなり売れてもいるようだ。
戦略コンサル系から産業再編論、日本批判が出ていた過去とは隔世の観があり、
(彼らの案は結局、日本経済の低迷を変えられなかったからでもあろう!)
企業経営と日本経済の成長とは矢張り別問題だったと改めて確認させられた。

匿名座談会では「コンサルはホワイト」説が出ていて、
確かに変わり身の早い業界だからさもあらんということろだが
但し日系のブラックで有名な某社はさほど変わっていないと聞くが。。
(この特集で案の定、事業拡大・人材獲得に苦労している様が窺われる)


エントリーのサブタイトルは巻頭の木内氏の論考から。
中国経済が斜陽となり、米国経済の繁栄が続くことが人口から予見でき、
人口動態が経済に与える決定的な影響を明らかにしている優れた内容だ。
(日本経済衰退の最大の理由も人口動態なのだが、もはや手遅れに近い。。)

今週のダイヤモンド誌は、25頁でオックスフォード・エコノミクスの長井氏が
インドの中産階級の伸び悩みを伝えており(これは日本企業の出番である!)
良記事が複数あって素晴らしい。

『週刊ダイヤモンド』2024年6/22号 (コンサル大解剖)


ただ佐藤優氏の書評は当たり外れが大きい。
『イランの地下世界』の評はまあ妥当であるが
パレスチナ問題で自分に都合の良い論を称賛しているのは大失点である。
氏には無意識か作為的か不明だが自分のカウンターパートを庇う癖があり、
ロシアやイスラエルを擁護するのもヒューミント・バイアスと言えるだろう。

はっきり言って、氏の言う第二次世界大戦前のユダヤ人の苦境よりも
より強く現在のイスラエルに影響を与えているのは中東戦争であり、
周囲を圧倒的な敵に囲まれて戦って生き残ってきた国だから
自らの軍事力しか頼りにならない、力には力で対抗しなければならないと
固く信じているのである。(これこそ彼の国の右派・極右を支える論理である)

あまつさえ氏は筆が滑ってイスラエル批判を「感情論」と粗雑に片付けているが
イスラエルが弾薬不足になどとどう見ても正確さに欠ける情報を流していた
自らのこれまでの言説が的確だったかをまず省みるべきだったのではないか。
(北朝鮮からロシアに弾薬は送られないと大見得を切っていた己の黒歴史を忘れた?)

国際情勢の分析としては、各国でイスラエル批判が強まる現状を整理している
池上氏の連載が同じ今週号に載っており、氏にとって明らかに不利である。

池上氏の分析も、住民を盾にするハマスの非情な戦略が奏功しており
各国の若者が利用されている点に言及していないのは残念だが、他は優れている。

    ◇     ◇     ◇     ◇

エコノミストは農林中金の大損失発覚とほぼ同時で
或る意味、絶妙にタイムリーである。

債券運用でかなり金融機関ごとの収益差が開いているようだが
米金利上昇局面で米国債をバイ&ホールドしたところがあるようで
理解を絶する意味不明な運用ではないか。。

投資の観点で言えば、巻末の方のメガバンクの株価分析が良い。
(先行する8306を8316が追い上げている様相)
投資家が更なる収益改善に確信が持てていない理由も書いており、
先週の東洋経済よりも遥かに質が高いのではないか。
ここは半頁ほどだがお薦めできる記事だ。


他には42頁も興味深い論考だ。
日本の歯科医数は既に過剰であり
都市部で患者を奪い合っている状況なので
虫歯予防に力が入らず、スウェーデンに残存歯数で劣るとのこと。
(医療界にありがちな経営重視の通弊である。。)

『週刊エコノミスト』2024年6/25号【特集:メガ・地銀・ネット銀】


市岡繁男氏の連載は、ロシアがルーブルと金の兌換開始を宣言すれば
ニクソン・ショックが再来するのではというリスクシナリオだった。
大勢の兵士を失い衰退必至のロシアにそのような余裕はないだろうし
現在の米国は寧ろ世界から投資資金を引き寄せているような状況なので
70年代とはかなり違うと思うが、財政赤字が当時より多いのは確かだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済の保険特集は他社の商品評価という点で面白い。
ただそこは量的に少なくインタビューばかり多いのは減点だろう。

核融合発電については先週書いた通りであろう。
「案の定だが難問山積、企業に甘い東洋経済でも実用化が遠いことを認めている」
といったところで、ベンチャー経営者の強気発言がいかにも寒々しい。


エタノールの記事の方が面白いのではないか。
欧米を追って日本も遅ればせながらSAF確保に動いている。
ただ日本でのコスト高は言う迄もないことで
廃油では到底、量的に足りないのも自明であり
原料の安定確保が重要という論旨は正しい。

ただ世界においてエタノール生産で唯一コスト的に成功しているのは
砂糖黍だけであり、副産物のバガスを活用出来るのが決定的だ。
日本の場合、ASEAN等で砂糖黍からの大量生産ができない限り
十分なSAFの安定確保は不可能に近いのではないか。

『週刊東洋経済』2024年6/22号 (生保・損保の真価)


佐藤優氏の連載は、いよいよ妙なことになってきた。
ロシアと日本の死生観が似ていると言いたいらしく
氏も母が沖縄戦である日本兵に救われたこと、
子に何も言わずに靖国に行っていたことを書いている。
(氏の母は陸軍が人為的に作った招魂社が靖国の源流とすら知らなかった訳だ)
今まで散々、沖縄に思いを寄せているかのように書いてきたのに
戦争を知っている沖縄県民、米軍駐留によって被害を受けてきた沖縄県民は
氏に欺かれたと思うのではないか。しかも死生観を勝手に決めつけられて。

人命軽視する権威主義のロシアと死生観を同一視するなどあり得ないし、
沖縄戦での日本人の死生観を恣意的に決めつけるような氏の言動は
倫理的に間違っており、人間として信用できない。

かつ、戦後日本は「人命は地球より重い」という迷言(?)が政治家から出るような社会だから
死生観もかなり変容したと考えるのが妥当であろうに。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はダイヤモンドに大注目、社外取を前面に出した特集はもしや初なのでは?

▽ 社外取の「報酬額」等のランキングが秀逸、「不祥事企業で高給」「タレント」も相当いるからな。。

『週刊ダイヤモンド』2024年6/29号 社外取締役/株主総会)


▽ 東洋経済は企業買収特集、これだけ外国人に買われると当然ながら旧弊は排除されてゆくだろう。。

『週刊東洋経済』2024年6/29号 (仁義なき企業買収)


▽ エコノミストはべーシックな特集、「悪い円安」によって「物価と賃金の好循環」が妨げられるとの至極当然な正論

『週刊エコノミスト』2024年7/2号【特集:とことんわかる物価・金利・円安】

で、相変わらず対内投資は沈滞という日本経済の現状は安倍・菅コンビの大失敗の証左である。
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