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外国人材を採用したがるIT・介護業界、共通点は「低賃金・劣等待遇」- 最も劣っているのは経営の質か

2015-08-18 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
経産省が「50年ビジョン」と称して外国人労働者の受け入れ拡大を図っているが、
出生率や女性就労率の引き上げを遅滞させる政策ばかり行っている官庁が
何を言っても説得力に欠ける。

こそこそ実質的な天下りを維持しながらしらを切るという「実績」もあるのだから
雇用政策においても経産省の掲げる標語は全て疑ってかかる必要がある。
建て前で言っていることと裏で行っていることが大きく乖離している可能性が高い。

実際、外国人労働者を受け入れたがる業界は低付加価値・労働集約的・低収益の業界だ。
日本の経済界は「おとなしく安い賃金で働いてくれる労働者」を求めているのであり、
外国人を安くこき使って自分達が楽に儲けることを望んでいるのである。

経産省は高度人材招致の能力においてシンガポール・イギリス・スイスといった国々に劣る。
(具体的な施策を見れば経産省の施策が大きく劣っているのは明白である)
また、外国の高度人材を受け入れ、日本の労働者のQOLを向上させる強力な切り札を使っていない。
それは対内投資優遇策であり、この分野でも経産省は劣等生である。

対内投資優遇は、自らの権力と地位に固執する日本企業の保身経営層にとって最大の脅威だ。
低付加価値の単純労働者ばかり外国から受け入れたがる保守退嬰の劣等経営層を追放すれば、
日本経済の飛躍的な活性化に繋がるである。(が、だからこそ財界はこれを非常に嫌がる)

「グローバル人材育成を能天気に称える安倍首相の軽い言葉に対し、当ウェブログは
 「日本企業は単に「語学が堪能で外国人より従順で使いやすい」人材を求めているだけ」
 だと指摘したが、それを裏付ける報道が出ている」

「日本の電機大手の人事担当者によれば、
 「外国人社員は5年で50%は辞める」そうだ。
 これでは流石に「最近の若者はこらえ性がない」といった類いの低次元の言い訳はできまい。
 まさか「最近の外国人はこらえ性がない」とでも言うのだろうか」

「日本経済の活力を維持したければ、
 まず日本企業自身が外国人を活用できないと話にならない。
 現時点ではその段階でまず失格である」

「企業の言い分など所詮は衆愚的な「組織の論理」に過ぎない。
 真に受けると寧ろ国益を損ないかねない」

「高度人材には逃げられ、単純労働者に関しては負担を社会にツケ回し。
 これまでの「実績」から言えばこうなるのだから、信用する方が間違っている」

「また、日本経済の労働生産性の劣後は、
 無駄な長時間労働を改めない企業経営にも大きな責任がある。
 それが有能な外国人に忌避される要因の一つになっている」

「日本のような人口大国で、外国人労働力受け入れのインパクトが
 どれほど小さいかを理解せずに喋っているのも根本的な問題としてある。
 (日本企業OBの「レガシーコスト」の方が遥かにインパクトが大きい)」

「あの合理的なシンガポールでさえ、高度人材の受け入れは数万にとどまる。
 看護士等特定のスキルを持つ労働者を含めても数十万に過ぎず、
 日本全体の人口と比較すると話にならない」

「どうせまた、リーマンショックの時の日系人労働者と同じく
 景況が悪化したら日本人の雇用を守るために容赦なくクビを切り、
 おまけに尻拭いは日本社会にさせるつもりであろう」

「日本企業によくある、安く使える従順な外国人を望む虫の良さを反省しない限り、
 外国人活用など夢のまた夢である」

と当ウェブログは指摘してきたが、
次元の低い安倍政権は通貨切り下げによる株価操作ばかりに熱心で、
最も重要な対内直接投資に関しては「落第」である。

▽ どうして「先進国」スウェーデンのように投資庁を設立して対内直接投資を促進しないのか

『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』(日本経済新聞出版社)


マイナス成長でも全く反省のない安倍政権と官庁は、
相変わらず劣等生同士でつるんで次元の低い劣等政策を続けている。

「円安と露骨な市場操作で日本企業は浮かれており、
 実力で収益を高めた企業がほんの一握りである実態を忘れている」

「ドル建てで20%以上も労働コストを切り下げて価格競争力をつけたのだから、
 円建てで収益が上がるのは当たり前の話だ。経営努力の結果ではない。
 ウォン安誘導で労せず儲かっていた韓国企業と同じである」

「日本企業ばかりか安倍政権や官庁まで図に乗っており、
 日本が競争力ランキングにおいて寧ろ順位を下げている実態にも気づかない始末だ」

「本来なら、先進的な北欧国と同様に対内投資を優遇するために
 法人減税を含めたあらゆる手段を動員すべきなのである。
 そして、シンガポールと同様にレターを送っても高度人材を受け入れるべきなのだ」

「それでこそ日本経済が成長し、新規雇用が生まれるのである。
 それでこそ日本の劣等経営者が淘汰され、労働者のQOLが向上するのだ。
 特に日本企業より高収益で高効率、ブランディングに巧みな欧州グローバル企業は
 頭を下げても日本に招致すべきなのである。経営者も中間管理職も学ぶところが多いのだから」

「外国人受け入れ政策も、美辞麗句で飾っていながら中身はスカの
 口だけ政策で終わる可能性が極めて高い」

「自民党政権のこれまでの「実績」から容易に判断できるのは、
 日本企業の経営層の地位を脅かさない程度の人材しか日本には来ず、
 差別的な待遇で外国人をこき使う「移民受け入れ」にしかならないということだ。
 現下の外国人実習生の恥ずべき実態を見れば明白である。
 (献金に熱心な経済団体は、この問題でも自浄力が全くないことを自ら証明している)」

成長率の下方修正を見ても自らの誤りを自覚できないのだから、
当ウェブログの指摘した日本の経済界の宿痾は、何も改善しないということになろう。
つまり、来年も成長率低迷は確実である。

 ↓ 参考

経済産業省が次元の低い移民政策を提言、恥ずべき研修生問題は完全無視 - 高度人材が来ないのは当然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f1656ef4054d182f187041b5f9ef8601

日系人使い捨ての財界が移民政策を語る、外国人幹部を増やしてから言うべき - 社会に尻拭いさせる醜態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0f296713f079d22520a733a05fa9e8af

5年で半分が辞める外国人社員、あっさり見捨てられる日本企業 -「優秀な人が集まらない」実態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/12aad41d2655b0b15690f2678187c1a1

▽ 日本企業において最もグローバル化が遅れている分野は、誰がどう見ても人事・人材である

『ガラパゴス化する日本』(吉川尚宏,講談社)


NHKの「IT技術者不足」特集にネット違和感 「足りないのは安く使えるIT奴隷でしょ?」(careerconnection.jp)
https://news.careerconnection.jp/?p=14365
”7月22日放送の朝の報道番組「おはよう日本」(NHK総合)で紹介された「IT技術者不足」特集が、ネットで思わぬ反響を呼んでいる。
 番組はスマートフォンやネット通販の普及で、IT技術者の需要が高まっていることを紹介。この分野の有効求人倍率は2倍にまでなっているが、各企業は人材採用が追いつかず、IT企業の実に87%が「IT技術者が不足している」と感じているという。
■ベトナム人学生に興奮する社長「日本に呼んじゃおうよ!」
 そんな中、注目を集めているのがベトナム人技術者だ。国内の通信産業で働くベトナム人は2012年は568人だったが、2014年は1061人と倍増しているという。
 番組では、都内のITベンチャー企業の取り組みを紹介。この会社では昨年国内大学から4人採用しようとしたが、1人しか採れなかった。代表の男性は「大企業を志望してその後にベンチャーという構図がある。技術者を採るのが難しくなっている」と明かす。
 そこで代わりに、日本語とITを学んできたベトナム人技術者2人を採用。待遇は日本人とほぼ同じ。入社1年目だが、広告のプログラミングを任されており活躍しているようだ。
 現在、この会社ではベトナム現地での採用活動も実施。代表が学生の面接をして、即日内定を出しているという。
「日本に呼んじゃおうよ! なかなかいないよ、こんなの! めっちゃ仕事できるぞ!」とノリノリの様子だった。ベトナムの大学では実践的なIT教育が行われており、人材市場として世界中のIT企業が注目しているという。勤勉で協調性に富む国民性もあり、日本企業との親和性も高いとのことだ。
■薄給を追求する風潮に「そりゃ僕らの手取りは上がらないよな…」
 番組では、IT技術者の不足は日本だけではなく世界的なもの、としていたが、この特集がネットで話題になると、ツイッターには日本の実態を知る人たちからの冷ややかな声が殺到。一時は「IT技術者」という言葉がYahoo!リアルタイム検索のランキング1位になった。
「IT技術者じゃなくてIT奴隷が足りないんだろ」
「昔は韓国人技術者、ちょっと前は中国人技術者、そして今はベトナムなので、要するに『技術者が足りない』のは『安く働いてくれるヤツがいない』って言葉なのがスケスケなのが凄く残念。そりゃ僕らの手取りは上がらないよな…」
 大手ベンダーならともかく、下請けや孫請けでは激務薄給が珍しくないIT業界。
リクナビNEXTが2012年に25~35歳のITエンジニアを対象に行なった調査では、平均年収は469万円と比較的高いものの、年収に不満があるという人は62%にもなった。実際に、業界で3年間働いていたという人も「辞めて正解だった」と振り返る。長時間労働でも給料は一向に上がらず、「これで新規の人材が入って来るわけがないじゃん」と書いている。「IT技術者が足りないのは使い捨てにされてるから」という声もあった。
■日本人技術者は憮然「待遇良ければ自然と増えますって」
 IT技術者の不足を、介護士不足の問題と絡めて語る人も。求められるスキルと仕事量の割に待遇が悪いという声が聞かれる介護業界は、国内の志望者が減少。東南アジアからの人材を積極的に受け入れることで対応している。
〔中略〕
 番組では取材を担当した記者が、「国内でいかに人材を育成していくかということも大切。中長期的な視点に立った国の戦略も大事になる」と語っていたが、実際に現場で働いているIT技術者からすると、「待遇良ければ自然と増えますって」というのが実感のようだ。

日本企業の差別的な外国人材活用をこの記事が実に的確に伝えている。
このような傲慢で自己中心的、保身的な人材戦略を続けていては、
業界そのものが閉塞しブラック化してゆくのも当然であろう。


「介護は重労働で低賃金」教科書記述に業界反発(読売新聞)
http://dwww.yomiuri.co.jp/national/20150711-OYT1T50065.html
”介護の仕事を「重労働で低賃金」と記述している2社の教科書について、介護業界6団体が今月上旬、「表現が不適切」として出版社に修正を求める要望書を提出した。
 人手不足への危機感から、業界挙げての異例の動きとなった。
 要望書を出したのは、特別養護老人ホームの運営法人でつくる全国老人福祉施設協議会や日本介護福祉士会など。「中学社会 公民 ともに生きる」(教育出版)と高校向けの「最新現代社会」(実教出版)に、不適切な表現があると指摘した。
 「公民」では、本文で「介護の仕事が重労働で低賃金」と記述。「現代社会」では、介護する男性職員の写真に「特別養護老人ホームで非正規社員としてはたらく若者 介護現場は重労働で賃金も高くない」という説明を添えている。”

介護業界でも矢張りよく似たことが起きている。
実際に待遇改善を行ったり、政府に働きかけて給付付き税額控除の適用を求めることを怠り、
ただ教科書の表現に圧力をかけて経営改善を放置する体たらくが、
この業界の特質を実によく表している。

政治活動にばかり熱心で労働者の待遇改善のためには大して努力しない経営層は、
「中抜き」できなくなる給付付き税額控除には猛烈に反対して醜い本音を晒け出すのだろう。
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