mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

構造とアルゴリズム

2023-12-09 09:11:18 | 日記
 えっ、誰か来てるみたい、とカミサンが起ち上がる。玄関を開けてみると、宅急便の配達であった。ドアホンが鳴らなくなっていたのだ。我が家のドアホンは家電(いえでん)を兼ねていてリビングの出入り箇処にある。しばらく前から、その電話の繋がりに雑音が混じり聞き取りにくくなっていたので、隣の和室に新たに電話機を置いて、そちらもジリジリと鳴るから、ま、さほどの不都合はなかった。だが、玄関とのドアホンが鳴らなくなると、これは困る。
 思えばこのドアホン、32年も据え付けたまんま。壊れても不思議はない。取り替えなくちゃあと思ったものの、どこへ頼めばいいのか、わからない。同じ団地に住んでいた知り合いが、そういえばドアホンを画像付きの新しいものに取り替えていたことを思い出し、どこへ頼んだのか、メールで問い合わせた。
 そんなこと、よく覚えていましたねと言葉を添えてすぐに返信があった。彼は、家電量販店でドアホンを買ってきて、自分で取り替えたらしい。配線も自分でいじったと事もなげに記していた。そういえばこの方は、器械いじりが得意。スマホや新規に発売されるいろいろな機器類を器用に使いこなしている。そうか、やってみるか。
 家電量販店へ行くと、ドアホンのいろんなメーカーがありさまざまな種類があると分かる。電気工事が必要なら、それはこのお店が9900円で引き受けているとも書いてあり、一安心。さて、どれにするか。
 みると「無線接続」というのがある。玄関口の子機と室内の親機とを無線で結んでいるなら、電気工事が要らない。ああ、これなら自分で取り替えることができる。そう思って、買って帰ってきた。説明書きを読む。子機の方は単3電池4個を入れて2年保つようだ。親機は常には充電器に置いて、持ち運びもできる。
 ところが、これまでのドアホンを外す時に、困った。これ、どうやってくっ付いてんの?
 新しいドアホンの組み立て方、電池の入れ方のトリセツを見ていなければ、オロオロしたに違いない。ドライバー一本でこれの操作ができると分かっていたから、ネジを探した。焦げ茶色にくすんでいたプラスティックのドアホンの表面に二つネジがあるとわかったのは、どこかにあると子細に表面や側面を探したから。もし前もってそういう思い込みをしていなければ、見つけられなかったろう。蓋を開けてみると、フムフム、こうやってくっ付いてんのかと歴然。それを外す。と、壁に穴を開けるとか木のネジ受け台がついているとかでもなく、金具の受け口が設えられている。それにうまく、新規のこれが収まるだろうか。
 先ず古いドアホンの配線を外す。外した電線をそのままにしておくワケにはいかないから、一つひとつ先端を絶縁テープでくるんで、それらが接触しないようにして、新規無線子機を取り付ける。やったあ、うまい具合に新規の取り付けネジ穴とステンレスの古い受け口がうまく合った。統一規格でもあるのだろうか。
 こうして子機の取り付けが完了し、はたしてうまく通じるか子機からピンポ~ンと鳴らす。親機のカミサンが「見えてるよ」と返事をして、工事は完了した。良かった。業者に頼むことなく、つまり、9900円を節約することもできた。
 電気工事が必要という手間暇を省くことができ、無線時代の恩恵に浴した。なにより、自分でできたというのが、うれしかった。アナログ世代が、不自由をかこつデジタル時代に、自前で片付けることができたのは、取り付けの「構造」がわかったこと、その取り外しと取り付けの手順、つまりアルゴリズムが「トリセツ」で明快だったこと。まだ、この歳でトリセツが読み取れるってことが自慢になるとは思えないが、ぼちぼちこういうことがメンドクサクなっている。そのメンドクサイなあに、まだちょっと余地があるってことだろう。ありがたいことだ。
 ただ、子機の電池取り替えが2年後ってことを、どうやったら忘れないでいられるだろう。そんなつまらないことを気にしながら、ドアホンの第一利用者は誰になるかと思っていた。友人から野菜の宅配便が届いた。
 やあ、ありがたい。いや、うれしい。