人を人たらしめている原基
宮部みゆき『孤宿の人』(新人物往来社、2008年。初出は2005年)を旅の途次に読んだ。先月の「ささらほうさら」で「宮部みゆき」をテーマにnjさんが話しをしたとき、この作品......
昨年の同じ日にアップしているもう一つの記事。作家宮部の「物語る」視点が、ズームダウンして、フィクションの埒外に飛び出した指摘が、物書きの苦しいところを表している。でも、「人を人たらしめている原基」としてみると、作品中の「ほう」の立ち位置から作家・宮部の立ち位置まで時代を経て、私たちはずいぶんと遠くへ来たものだと思う。そして今日、平成という時代を終える。次に元号が来るようには思えない。そういうところまで私たちは来てしまった。