mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

季節の微細な変化が読み取れる里山

2019-04-04 11:35:39 | 日記
 
 昨日(4/3)、北筑波の愛宕山―難台山―吾国山を縦走した。常磐線の岩間駅から歩き始め、水戸線の福原駅に到着するロングコース。じつは昨年の4/2に(2週間後の)下見に歩いている。昨年の本番は、雨のため中止。そこで今年は、満開であったカタクリをお見せしようと実施日を早めたわけ。
 日頃、常磐線には縁がない。武蔵野線から乗り換える案内に従って行くと、「柏行」がすぐに入ってくる。予定の電車より1本早い。柏について「快速ホーム」へ降りると、すぐに「勝田行」が来る。勝田ってどこにあるの? これが岩間に止まるかどうか、わからない。ちょうど通勤時間帯とあって乗り換え客でごった返している。駅員に尋ね、乗る。混んでいたのは土浦まで。ああ、霞ケ浦の西の端の方にいるのだなと地図を想いうかべる。岩間には、予定より10分早く到着する。
 昨年は、この駅で降りたのは私一人だった。だが今年はたくさんの人が降りる。駅舎はまだ新しい。北西側にかたちの良い山が見えている。愛宕山。なにしろ、「県立愛宕吾国公園」と指定されている起点である。北筑波山嶺と名づけられている山並みの最高峰・難台山552mは、愛宕山301mと吾国山518mの「中間にある山」と記されて、不遇である。今日は、岩間駅からその連峰を縦走して、福原駅に下るルート。ところがこのルートが、目下笠間市が売り出しているモデル・ハイキングルートらしく、標識がつけられ、丁寧な歩行時間が記され、なんの不安もなく歩けるコースになっていた。
 予定の電車で、今日参加の方々が降りてくる。空気は冷たいが、快晴の陽ざしが当たって心地よい。用意を整えて出発。8時45分過ぎ。岩間駅から愛宕山を目指す。街中の道路に「←愛宕山」の標識がつけられている。プリントアウトした国土地理院地図を参照し、あわせてスマホの地図とGPSをみながらすすむ。通りには「愛宕山桜まつり」の幟が建てられている。サクラはまだ3分咲きか。昨年はハナモモも彩のある花をつけてにぎやかであったが、今年はまだ静かなたたずまいだ。25分ほどで登山道入り口に着く。「笠間・吾国愛宕ハイキングマップ」という大きな掲示が、今日歩こうとしているルートをイラストにしている。私が見たガイドブックでは「このルートを全部通して歩くのはきつすぎる」とあったが、これをみると、なかなか親しまれた里山の風情である。コブシや花の似たハクモクレン、レンギョウやユキヤナギが咲いて彩を添えている。
 msさんが「わたし皆さんについて行けるかしら」と冗談のように言う。「だったら先頭を歩いてください」と話すと「えっ、わたしのペースでいいんですか?」といって、先頭に立つ。落ち葉の降り積もった登山道を上る。背の高い松が並んでいるわりには、明るい。陽ざしが入り込んでいる。車道に出くわす。駐車場もある。昨年は、「サクラが満開。散りはじめている」と記している。日当たりのよいここでも今年はまだ、五分か六分咲きだ。登山ルートは直登していて、雨の後などは滑り易そう。
 50分で愛宕神社にのぼる急峻な石段の下に着く。登っていると、小さな祠と「悪態祭軍荼利様」と記した表示がある。去年、下から登って来た中学生らしい若者に「悪態祭ってお祭りがあるの?」と聞くと、「あります」という。何月頃やるの? ときくが、さあ? とよくは知らないようだ。何だか面白そうだ。帰宅して調べてみると「日本三大奇祭のひとつ」、「悪退祭ともいう」とあるから、庶民の願いを引き受ける祭だったとみえる。私たちのまえに、後ろ姿のお年寄りがすたすたと石段を上っている。空身だから散歩ついでのお参りのようだ。皆さんはその方の後について、結構なスピードで上る。
 愛宕神社は立派な様子をしている。「愛宕山の山頂ってここなの?」と昨年、神主さんに尋ねた。そちらを回ってこの上の社があるところが山頂だよと教えてくれる。回り込むと正面をきっちり閉じた「飯綱神社」の扁額をかけた社がある。愛宕神社を睥睨するように建っているのがなぜだか怪しげであった。今年の方々は、山頂のことを気にしていない。私もすっかり忘れて、上った時より格段に緩やかな石段を下って駐車場の方に降りる。岩間の町が一望できる展望台になる。サクラが遠慮がちに咲いているのが、昨年との違いだ。去年は咲き誇り自慢の街並みを見渡せるぞと、威張っているようだった。出発してから1時間15分。
 奥へ伸びる車道を避けるように乗越峠へ向かう道がある。kwmさんが教えてくれるからわかるのだが、キブシが花穂を垂れている。一昨日の見沼田んぼで教わったアカシデやイヌシデも穂を垂れている。サクラはまだのようだ。大きな看板を見てまた登山道に入る。こうして「展望台」に向かう。急な傾斜。「濡れてると、たいへんね」とstさんが話す声が聞こえる。雨でも降ると滑って登るのに難儀しそうだ。駐車場から30分、展望台に着く。やぐらが組まれ、周りの木の高さを超えるように設えてある。筑波山も足尾山も加波山も木間越しに見える。昨年展望台に来たときには地元の女の方がベンチにいて、「このオオシマザクラが満開になると、ほんとうに見事なんですよ」と話してくれた。昨年は三分咲きくらいだったが、今年は枝先の花芽も定かでない。去年は3月に大雪が降り、4月に入るころにもまだ肌寒い日がつづいた。にもかかわらず、去年は3月末には桜が満開、この展望台への道も何分咲きかのサクラに囲まれていた。kwmさんがスミレを見つけた。マムシグサも大小取り混ぜて、背を伸ばしつつある。去年との季節の違いは、なんなのか。
 難台山へ向かう。コブシが咲き、スミレが足元を彩る。長袖の山シャツにポケットのたくさんついたベストだけなのだが寒くはない。いい季節になった。木の陰に入ると少しひんやりするのが、心地よい。去年は、大きな倒木があり「通過危険」の迂回を指示する表示があったのも、すっかり取り除かれている。年老いた山でもある。団子石峠につく。出発して2時間余。車道が走っている。団子石を経て431mのピーク・大福山と、上り下りをくり返す。降りてくる人とすれ違う。獅子が鼻石と屏風岩をすぎると10分ほどで難台山の山頂に着いた。出発してちょうど33時間。いいペースだ。お昼をとっていた登山者が、腰掛けていた場所を空けてくれる。大きな地理表示の標石が設置され、ここが石岡市と笠間市の市境だとわかる。旧岩間町は笠間市に吸収されているようだ。そしてこの先、難台山と吾国山をかける道祖神峠辺りを市境にして笠間市と棲み分け、それを連ねて県立自然公園に指定され、笠間市が「ハイキングコース」を設定したと思われる。筑波山が、独特の双耳峰を聳やかしている。その右手前に、重なるように足尾山や加波山が山並みを連ねる。つぎつぎと登山者がやってくる。
 お昼を済ませ、道祖神峠へ向かう。12時13分。目的地点までの行程時間を記した表示板がおかれている。峠まで40分、吾国山までは1時間10分とある。途中でスズラン群生地と道を分け、急な下りに入る。上ってくるグループがある。単独行者もいる。「吾国山のカタクリが見ごろだよ」と話す。私たちが福原駅に抜けると聞いて、「そりゃあ、いいよ。わたしゃ、戻るところ。いやになるよ、この上り」と愚痴をこぼす。道祖神峠のところには洗心館という、閉鎖されたような宿泊施設があり、ツツジが鮮やかな花をつけていた。
 その先の切通しのところから「吾国山登山口」に踏み込むと滑り易そうな上りになる。上から降りてくる何人かの人に出会う。みなさんカタクリを観に上っているようだ。前から来る二人連れを見て、「まるで買い物のついでに立ち寄ったオバサンみたい」と話す。すれ違う時にみると、私たちより若い人であった。失礼しました。ここは急な上り。直登しているとふくらはぎがピンと張って攣りそうになる。だましだましゆっくり歩く。15分余で吾国山の山頂。20メートル四方の石垣を築いた土塁のなかに石組みの土台に乗せた社がある。社は東を向いている。山頂の標識は、その土塁の下に書いておいたよというふうに素っ気なく、手書きで記されている。樹々の合間から見えた山容は円錐形のかたちがいいのだが、まるでこの神社のために盛り上げられた土塁のようにみえた。13時半着。
 そこからほんの少し下ったところの、福原駅への分岐にあるカタクリが見事であった。ブナの木々の間につくられる日影がちょうどよい素地をつくっているとどこかの説明書に書いてあったが、大きく下方へと広がり、大小さまざまな花をつけている。日の当たる処と日陰との差もあって、カタクリを楽しむ期間は、結構長いのかもしれない。下から登ってくる人たちもいた。福原駅へのガイドは整っている。下り道は緩やかで、落ち葉を踏んで心地よい。コースタイムは、北関東道まで1時間半とあったから、3時ころにどこへ着けば、15時35分には間に合うと話すと、先頭のkwrさんは心得たように、ペースを上げる。msさんが遅れじと着いていく。40分ほどでポンと里に出る。まだ水を張っていない田圃が広がり、猪除けの電気柵を張り巡らしてある。いかにも里山の感じだ。先へすすむと麦だろう、青々とした苗が育っている。振り返ると、その向こうにいま下ってきた難台山と吾国山への稜線がなだらかに連なる。去年は、山肌にヤマザクラの桜色がところどころに彩を添えていたが、今年は未だしであった。
 北関東道をくぐったのは30分も早い。駅に着いたのは14時50分。コースタイム1時間50分のところを1時間20分で歩いている。さすがkwrさん。目標が見えると、行動が素早く的確。わずかな季節の違いを感じられただけで、私は満足であった。電車が来るまで、駅近のお店で手に入れたビールを飲み、誰かが持ち込んだワインを味わって、のんびりと無事の下山を言祝いだ。いい山であった。
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