JR山手線・日暮里駅から徒歩3分程度の所にある『手打蕎麦・とお山』さん。
お店を訪れたのは開店時間の11時半でしたが、地下にあるお店へと向かう階段近くにある内照式の電灯にはほんのりと柔らかい明かりが灯っていて、まるで、人目を避けてそっと隠れ家に潜り込んでいくといった様相です。
そして、階段を下りてお店の扉を開けてみると、「お客さんが来るのをずっとこうして待っていました!」と言わんばかりの姿で女の子の花番さんがこちらを真っ直ぐ見つめて立っています。
その様子に少々驚きながら、案内された2人掛けのテーブル席に着いてメニューを手にしてみると、定番の「一品料理」に加えて日付の入った「おしながき」が用意されていて、お店の雰囲気やメニューの内容から、お蕎麦屋さんというより普通の居酒屋といった感じです。
そんな、馴染みやすい落ち着いた雰囲気に心地も良く、更に天気も良い(地下なので感じませんが)ので春らしい料理をいただこうと思い、まずは、「菜の花おひたし」をいただくことにします。
また、「自家製」という文字に目が止まった「とうふ」が気になったので、おひたしと共に「とうふ」とグラスサイズの生ビールを一緒にお願いします。
最初にいただいた「菜の花おひたし」は、濃い緑色が印象的な一品で、柔らかい食感でありながらしっかりした歯応えも感じられ、添えられている辛子を軽く付けて美味しくいただきました。
次にいただいた自家製「とうふ」は、想像とは異なりカップに入ったひんやり冷えた豆腐で、スパっと切れ味のよい辛口醤油を垂らしていただくと、豆腐の旨味と茗荷の爽やかな風味が絶妙に絡み合った何とも言えない素晴らしい料理となる、とても美味しい自家製豆腐でした。
ビールが無くなったところで日本酒をいただこうと思い、なかなか見事な品揃えの地酒の中からオーソドックスな銘柄ではありますが、山形県の地酒「桜花吟醸・出羽桜」をお願いし、併せて、お店に入った時から最後にいただこうと決めていた「春野菜の天ぷら」をお願いします。
先にいただいた料理がいずれも素晴らしい料理であったことから、大きな期待を抱きながら待っていた「春野菜の天ぷら」は、見た目も豪華なあれこれ盛り込まれた嬉し過ぎる山菜の天婦羅盛り合わせで、中でも蕗の薹の春を感じさせてくれる程良い苦味が心地良く、高い満足感を感じることのできた「春野菜の天ぷら」でした。
入店早々は来店するお客さんも少なく、目立たない隠れ家のようなお店だからなのかな?と思いましたが、お昼近くになると「谷根千」の散策に訪れたお客さんなのか複数人数で訪れる年配女性のお客さんが増え、12時を過ぎるとさすがに満席に近い状態となりました。
そうなるといつまでものんびりしている訳にはいかなくなり、もう少しお酒をいただきたいという思いをグッと抑え、蕎麦をお願いすることにします。
いただいた蕎麦は季節の変わりそば「あおさ切り」で、辛目の蕎麦汁と共にサッパリした味わいを楽しませていただきました。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・とお山』さんは、けして広いとは言えないコンパクトな造りのお蕎麦屋さんでしたが、木の温もりを感じることのできる落ち着いた雰囲気と若い花番さんのしっかりした心温まる接客に居心地の良さが感じられるお蕎麦屋さんでした。
また、料理と日本酒も充実しており、お蕎麦屋さんというよりも、親しみ易い行きつけの居酒屋といった印象を強く感じたお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。