蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『花乃蕎麦@日本橋・堀留町』さんの甘い「千住ねぎ天」

2016-11-07 18:10:00 | 東京23区(中央区)

東京・大手町での仕事を終え、てくてくと歩いて人形町へ。

向かったのは、女性店主が打った蕎麦をいただくことのできる『生粉打ち・花乃蕎麦』さんで、予定よりも少し遅い時間となってしまったためやや焦りながら最初の自動扉を開け、足元が明るく照らされた小道(?)を数歩進み、席が空いていますように!と祈りながら2つ目の引き戸を開けてみると・・・。

ファミリーレストランのようなベンチシートの4人掛けボックス席が4つと、小上がりの座敷が1卓という、けして広くはないものの、天井が高いということもあってか明るさの感じられるフロアが目の前に広がります。

そして、花番さん(女将さん?)に一人であることを伝えると、明るい笑顔でどうぞどうぞと店内奥の4人掛けテーブル席を案内してくれますが、4つあるテーブル席のうち既に3つが埋まっていて、最後のテーブル席を1人で使わせていただくことに何となく申し訳ないという思いを感じてしまいます。

席に着き、まずはお酒のメニューを開いてみると、日本酒は「生」、「本醸造」、「純米吟醸」、「特別純米」、「大吟醸」が各1銘柄ずつという選び易いメニューで、いつもなら「生」に始まり、おかわりで「純米吟醸」をいただくところではありますが、今回は日頃選ばない「特別本醸造」をまずいただいてみることにします。


料理は、どうしようかな?と迷った末に、時間の掛かりそうな「千住ねぎ天」と括弧書きの「そばの若菜」という言葉が決め手となって「花乃サラダ」をいただくことにします。

しかし、「今日は良いトマトが無かったのでサラダはできない」とのこと。
できない物は仕方が無いので、早くできる料理は何かを尋ねると、日本橋の老舗蒲鉾店「神茂」(かんも)さんの蒲鉾を使用した「板わさ」か「蕎麦味噌」とのことなので、「蕎麦味噌」をお願いすることにします。


まず運ばれてきた静岡県の地酒「特別本醸造・磯自慢」は、やや甘目でしたが、穏やかな味わいと日本酒らしい旨味の感じられる日本酒でした。

また、少々時間を要した花特製の「蕎麦味噌」は、何か具材が練り込まれているのか、所々にしっかりした歯応えの感じられる、甘辛具合も程良い「蕎麦味噌」で、「磯自慢」がついつい進んでしまいます。


時間が掛かるかと思いましたが、それ程待つことも無く運ばれてきた「千住ねぎ天」は、葱の甘味が感じられるふっくらした食感で、岩塩なのかほんのりピンク色に見える塩がテーブルの上に置かれていましたが、塩も天汁も不要な、そのままで十分に美味しい「千住ねぎ天」でした。


料理もお酒も残り少なくなりましたが、まだまだ料理とお酒をいただきたい腹具合だったことから、福井県の地酒「純米吟醸・黒龍」と一緒に、「花特製出し巻き卵」と、どんな料理なんだろうか?と思った「わいんらっきょ」を追加でお願いしますが・・・。

「(らっきょは)漬かっていないのでまだ出せない。あと1週間くらい掛かる」とのこと。
ということで、信州の名産「塩いか」をお願いしたところ、「入荷していない」とのこと。

結局、「花特製出し巻き卵」と「桜エビの素揚げと辛味大根」をいただくことにしましたが、最初にお願いした「花乃サラダ」も無かったし、メニューには書かれているけどできない料理もあるようです。

追加でいただいた「桜エビの素揚げと辛味大根」は、量の多さに驚いてしまいましたが、海老の甘味とカラッとした食感が美味しいです


最後にいただいた「花特製出し巻き卵」は、色ムラも焦げ目も無く、丁寧に心を込めて作られたということが感じられるとても綺麗な姿です。そして、柔らかい食感と甘目の味付けに加え、トロリとした卵独特の生々しさが感じられ、なかなか美味しい旨味タップリの玉子焼でした。


さて、最後の玉子焼で腹八分目を越えてしまいましたが、やはり蕎麦はいただきたいので「せいろ」(二段盛り)をお願いします。

目の前に置かれた二段盛りの蕎麦(大盛りは三段盛り)は、「少々太さにバラツキがあるのかな?」という印象と併せて、「もちろん残さずいただくけど、苦しくなりそう」という感じでしたが、いざいただいてみると、滑らかで喉越しが良く、苦労することも無くツルツルっと一気に食べ切ってしまいました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『生粉打ち・花乃蕎麦』さんは、人当たりの柔らかい一生懸命な接客がなかなか好印象な、美味しい料理をいただきながら、仕事の疲れを癒してくれる温かみと心遣いの感じられる優しいお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。