蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『本むら庵@荻窪』さんの柔らかい「つぶ貝しぐれ煮」

2015-05-05 11:00:00 | 東京23区(杉並区)

ゴールデンウィークも残り2日となった5月5日こどもの日。
国分寺に出掛ける所用があったことから、JR中央線・荻窪駅と西荻窪駅との丁度中間にある、大正13年創業の老舗蕎麦屋『御免蕎麦司・本むら庵』さんに立ち寄ってみることにしました。

お店には、荻窪駅からスマホの地図を頼りに徒歩で向かいますが、進んでも進んでも住宅街で、「本当にこんな住宅街の中に老舗のお蕎麦屋さんがあるんだろうか・・・。」と思っていると、老舗の佇まいが感じられるお店が目の前に突然現れます。

そして、開店前ではありますが既に年配の男女3人組のお客さんが開店を待っていて、「へぇ~、さすがだ!。」なんて思いながら付近を見渡してみると、お店の隣に広々とした専用の駐車場があり、こんなに大きな駐車場が必要なほど混雑するんだろうか?と少々驚きです。


さて、開店時間となり、花番さんの丁寧な案内を受けて窓際の4人掛けテーブル席に着きます。
正直、混雑することが簡単に予想できることから「2人掛けテーブル席で良いのに・・・。」と思いましたが、2人掛けテーブル席は用意されていないようなので、申し訳なく思いながら広々とした4人掛けテーブル席を使わせていただくことにします。

席に着いて早速メニューを広げますが、メニューは冊子になっている通常のメニューと季節のおすすめ品が書かれたメニューとがあり、あれこれ検討した結果、無濾過・限定醸造生ビール「白穂乃香」と一緒に「つぶ貝しぐれ煮」と「磯揚」をお願いすることにします。


いただいた「白穂乃香」は、記憶によると初めていただくビールで、苦味は感じられず、華やかできめの細かいまろやかさとサッパリした爽やかな後味が美味しいビールでした。


最初に運ばれてきた北海道厚岸産のつぶ貝を使用した「つぶ貝しぐれ煮」は、柔らかく煮込まれているものの貝ならではのコリコリとした歯応えで、やや甘い味付けかな?と思いますが、噛めば噛むほど旨味の広がる何とも言えない美味しい一品でした。


美味しいビールと料理をいただきながら何気なく店内を眺めていると、途切れること無く続々とお客さんがやってきて、お座敷を含めてアッと言う間にほとんどの席が埋まってしまったようです。

そんな様子を眺めながら、休日の昼時に蕎麦前はまずかったかな?なんて少々気まずい思いを感じていると「磯揚」が運ばれてきます。

「磯揚」は、メニューの説明書きを引用させていただくならば「海老入り、蕎麦のり巻素揚げ」で、予想していたよりも細く小さい海苔巻きでしたが、海老のプリプリ感がなかなか良い感じの一品でした。


さて、「磯揚」がまだまだ残っていて店内は混雑していますが、もう少し蕎麦前をいただきたいと思い、ビールが無くなったタイミングで剣菱・樽酒(冷酒)と「おきつね焼き」を追加でお願いします。

料理とお酒を追加したところで窓の外に目を向けると、先ほどからずっと中庭の手入れをしている若い男性の姿があります。最初は、ただの庭の手入れかな?なんて思いながらぼんやり眺めていましたが、既に長い時間行われていて、それも、よく見るとピンセットのような道具を使用して行っています。

これも修行の一つ(?)なのかもしれませんが、緑豊かな中庭の中から抜いて良い草だけをピンセットで一つ一つ丁寧に抜いていく作業ってとても大変な作業で、そんな大変な作業を行っている店員さんの目の前で昼からお酒なんかいただいてしまい・・・と、申し訳ない思いが更に膨らんでしまいます。

でもまぁ、そうは言いながらも美味しい料理とお酒をいただいてしまうんですけどね。すみません。


ということで、粗塩とともに運ばれてきた剣菱を早速いただいてみると、冷え具合も良く、ほんのり香る樽香も申し分無く実に旨いです。


そんな剣菱の旨さに浸っていると、鴨肉を油揚げに詰め込んで焼いた「おきつね焼き」が運ばれてきます。
いただいた「おきつね焼き」は、柚子の香りがとても良いアクセントになっている鴨らしい味わいとパリッと焼けた油揚げのこんがり感がなかなか美味しく、剣菱がスイスイと進んでしまいます。


腹具合も満たされてきたところで「せいろ」をいただきましたが、ほんのり甘味の感じられる蕎麦で、まろやかな旨味の蕎麦汁に付けて美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『御免蕎麦司・本むら庵』さんは、広々とゆったりしたフロアと、遠方から車で訪れることを可能とする広々とした駐車場を備えているお蕎麦屋さんで、何人いるのか数えられない程多くの花番さんがキビキビとそつ無く動き回っている、活気と賑わいの感じられるお蕎麦屋さんでした。

そしてその花番さん達、大勢のお客さんを相手に忙しいはずなのにバタバタとすることも無く常に落ち着いていて、お店の中にも外にも席を待つお客さんが溢れている状況にも関わらず、蕎麦前の追加注文にも嫌な顔一つ見せない丁寧な接客で、「忙しい時にお酒なんかいただいて申し訳無い。」と思いながらも心地良い一時を過ごすことが出来ました。

ごちそうさまでした。

ちなみに、こんなに大きな駐車場が必要なほど混雑するんだろうか?と思ったお店の隣にある駐車場ですが、帰る時は満車で、誘導してくれるおじさんまでいるという驚きの状況でした。