蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『いし川@古都・鎌倉』さんの滑らかで優しい「ごま豆腐」

2014-12-06 10:55:00 | 神奈川県(鎌倉市)

先月、訪れることが続いた古都・鎌倉のお蕎麦屋さんですが、訪れてみたいお蕎麦屋さんがもう何軒かあることから、混雑することが予想される天気の良い週末ではありますが、朝から所用で出掛けたついでに再び鎌倉へ足を運んでみることにしました。

訪れたお蕎麦屋さんは、鶴岡八幡宮近くにある『手打ち・いし川』さんで、JR横須賀線・鎌倉駅から観光客で賑わう小町通りを抜け切り、更に観光客の流れに逆らいながら北鎌倉方面に向かって進んだところにある、まるで息を潜めているかのようにそっと静かに佇んでいるお蕎麦屋さんです。

そんな、静かで清潔感の漂うお店に到着したのは開店時間の11時少し前でしたが、既に「営業中」となっていたことから早速お店の扉を開けると、お客さんがいつ来てもよいようにずっと扉の前で立っていたのか、真っ直ぐこちらを向いている奥さんの姿が目の前に現れます。

そして、「いらっしゃいませ、どちらでもどうぞ。」との明るい声と笑顔に迎えられながら、20名程度で満席になってしまうこじんまりとした店内一番奥の4人掛けテーブル席に着きます。

席に着いて差し出されたメニューを眺めると、一品料理はあまり手が掛からないかな?と思われる料理数種類に限られていますが、日本酒については「雪中梅」や「幻の瀧」といったなかなか美味しいお酒が並んでいて、夜営業の無い夕方までの営業ということを踏まえるならば、十分な内容と思います。


さて、お店は人通りも疎らなところにありますが、そうは言っても紅葉シーズンの古都・鎌倉であることからあまりのんびりしているとお店に迷惑が掛かるかと思い、蕎麦前はササッと軽く短時間で終わらせるつもりで、ビールは飲まずに最初から新潟県の地酒「雪中梅」をいただくことにします。

料理とお酒をお願いすると、他にお客さんがいないこともあってか待つことも無く「雪中梅」とお通しの「豆」が運ばれてきて、写真を撮る間も無く、追って「板わさ」と「ごま豆腐」がほぼ同時に運ばれてきます。

ということで、結局、全てが揃ったところで蕎麦前のスタートとなったことから、今日は写真も「蕎麦前一式」としてみました。


まず最初につまんだのは「板わさ」に添えられていた山葵漬けで、控えめな辛味の、穏やかな味わいがなかなか美味しいです。なお、蒲鉾はしっかりした歯応えの感じられる嬉しい厚みの蒲鉾でした。

また、蕎麦汁で作られた(と思う)汁が掛けられた「ごま豆腐」は、小さくしようと思い箸を入れてみたところ、どっしりした重みと箸を押し返してくるような弾力感が感じられましたが、いざいただいてみると、滑らかな口当たりとクリーミーで優しい味わいの、とても美味しい「ごま豆腐」でした。

料理と「雪中梅」が無くなったところで蕎麦をいただくことにします。
蕎麦についても天婦羅が無いなど一品料理同様メニューは限られていますが、これについても何ら問題は無く、メニューの中からオーソドックスな「もり」をお願いします。

そんなに速く出来てしまう?と思ってしまう程待ち時間無く運ばれてきた「もり」は、艶やのある表面の中に星が見える綺麗な蕎麦です。


その蕎麦をまずつまんで一口いただいてみると、「細い!」と明確に感じる細打ちですが、やや硬めのもっちりした歯応えが感じられます。また、蕎麦汁はキリッと引き締まった口当たりではありますが、甘みのあるまろやかな蕎麦汁で、コシのある細麺と一緒に美味しくいただきました。

なお、薬味ですが、ワサビは香りも辛味具合も程良くなかなか美味しいです。そして、ネギはしっかりほぐされているようで、丁寧に仕事をしていることが感じられるネギでした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち・いし川』さんは、同じく鎌倉の鶴岡八幡宮近くにあるお蕎麦屋さん、「段葛・こ寿々」さんで修行を重ねたご主人が2012年春にオープンさせた、綺麗さと清潔感がとても好印象の清々しいお蕎麦屋さんでした。

また、人気のある観光地「古都・鎌倉」にあるお蕎麦屋さんではありますが、観光客を相手にしているお蕎麦屋さんという印象は無く、町中にそっと静かに佇んでいる普通のお蕎麦屋さんという印象で、近くにある観光バスの駐車場から鎌倉の中心部に向かって店の前をゾロゾロと歩いて行く団体さんがやや気になるものの、美味しいお酒をいただきながら静かにそっと憩いの一時を過ごすことの出来るお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。