英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

鎌倉殿の13人 第19話「果たせぬ凱旋」

2022-05-17 17:55:40 | ドラマ・映画
★義経と頼朝の仲たがい(行き違い)を修復しようとする言葉や策―――
①義経のことを相談する頼朝に対して、八重の言葉
「子どもたちからも、よく同じような悩みを打ち明けられる……“仲直りしたいけど、できない”。どうすればよいか“と
 でも、子どもたちは最後は仲直りする。相手を信じる気持ちが勝るから。それが出来ぬのなら、子どもたちの方が利口である」


②義経を“伊予の守”に推挙(大江広元の案)
 受領(その国の筆頭国司のようなもの)になれば、在京義務のある検非違使の任を返上しなければならない(兼任できない)ので、鎌倉に帰ることができる
 しかし、法皇は「義経の功績に報いるには、検非違使と受領のどちらかでは足りない。両方とも贈らなければならない」と詭弁でごまかした
 
③父・義朝を弔う法要を理由に、義経を鎌倉に呼ぶ(阿野全成の案)
 法皇は義経の願いを聞き入れる振りを見せるが、心臓発作を起こした猿芝居で、義経を京に留めた


★「私の何がいけなかったのか?」義経―――「人を信じ過ぎた」(義時の言)
関わった周囲の人物の利己主義に振り回されてしまった
利己主義者その1――後白河法皇(&丹後局)
――勢力を持ちつつある人物に対しては対抗勢力を作り、小競り合いさせることで勢力を削ぐのが常套手段。頼朝と義経が協力するなど以ての外と、あれやこれやと理由をつけて義経を手放さなかった

利己主義者その2――源行家
――根拠のない憶測を語り、義経が頼朝を討つよう誘導

 憶測と言うより、嘘に近い。義経が天下を取ればわが身がそのおこぼれに預かれると考え、義経に頼朝を討たせようとあれこれ嘘を言う
 挙兵した義経の下に兵が集まらないことがわかると、「だから挙兵を止めたのに」と180度の掌返しする呆れた男。
 木曽義仲は嫡男・善高ではなく、行家を人質に出せばよかったのにと思った視聴者が大勢いたはずだ。
 長澤まさみに「彼を味方につけた者は必ず負けるという死神のような男」とナレーションされ、気が晴れた視聴者が多かったはずだ。


☆行家語録
「これ以上頼朝の好きにさせてはならぬ。義仲も果たせなかったが、お主ならできる。鎌倉に攻め入って頼朝の首を取れ。
 頼朝は必ず攻めてくるあれは我らを身内とは思ってはおらぬ」
「鎌倉に入れば、その日のうちに捉えられ、首を刎ねられてしまうぞ。頼朝の邪魔になる奴はどうなった?木曽義仲・善高、甲斐武田の息子の末路を思い出せ。
 己の身を守るためには、一族とて容赦しない」(←正確な言い回しではありません)

利己主義者その3――義経の妻・里
――土佐坊昌俊(元・奈良興福寺の僧)の襲撃を手引き

 里は、静御前を亡き者にしようとして画策したが、行家が鎌倉(頼朝)が送ってきた刺客と断定し、義経挙兵のきっかけとなった

利己主義者その4――静御前
――義経をたぶらかし、義経の妻・里の血迷った行動(土佐坊昌俊を手引きし襲撃)を誘発

 義朝供養に祀られる髑髏が胡散臭いと指摘(あながち外れてはいない)し、義経の迷いをもたらす

★義経迷走の理由の考察―――
①法皇の策略(義経と頼朝を協力させない)を見抜けなかった
 最高権力者に気に入られていると錯覚し、法皇に嫌われたくなかった。法皇の我儘・計略(検非違使任命、兼任可、仮病)も自分が好かれている故と思い込みたかった
②冷静に的確に判断する参謀がいなかった
 傍に、義時や安達盛長や三浦義村や大江広元などがいなかったのが義経の不運
 兄を信じ切れなかったというのも要因だが、《頼朝と法皇のどちらを信じるべきか》《頼朝と法皇のどちらを選択した方が、得策か》など、指し示す者がいれば……

★義経と北条親子との別離のシーン―――
 義経は頼朝討伐の宣旨をもらい挙兵したが、兵が集まらず(無茶な戦いをする義経の下では戦いたくない)、断念、失踪していた。
 頼朝との仲の修復を願って北条親子の下に現れたが、法皇から“義経追討”の宣旨が出ていると知らされ、絶望。
 奥州に帰るという義経に対し、「奥州に戻れば戦の火種となる」と制止。
義経「戦のない世で、私のようなものがどうやって生きればよいのか…」
義時「あれだけ平家を振り回したのです。あれだけの知恵があれば、どこでも生きていけます」
時政「九郎殿は《経験もないのに自信がなかったら、何も出来ぬ》とおっしゃった。
   では、自信をつけるには何が良いか?……経験でござる
   まだまだ、これからじゃっ」


 義時は《義経の知恵は戦以外でも生かすことができる》、時政はかつての義経の言葉を引用し《経験(努力)を積めば、自信になる(結実する)》と励ました。
 北条親子のもとを去る義経の背中に、二人の心が届いたのだろうか?
 結局、義経は奥州に帰るのだが、北条親子の思いは届いたと思いたい



今話はもちろん、頼朝・義経の決別が主題だが、“頼朝討伐”の宣旨の件を脅しのネタにして、義経追討の名目を利用して、西国の実質的支配権を法皇に約束させた。
時政がまた何かやらかすのかと思ったが、なかなかの交渉手腕であった。


 
☆今週の笑い 
①期待の薄い阿野全成
「兄弟のこと(いざこざ)は兄弟に任せるのが一番じゃねえのかなあ…」
この言葉に、阿野全成がズイと歩み寄ろうとするが
「蒲殿はいつ戻ってこられるんだ?」の言葉に
《そっちか…》と踵を返す

「この人、頼りになることだってあります」と実衣が言ったが……あまりの言われよう

②ココリコ田中(九条兼実)
 法皇の前例のない矛盾した命や、掌返しの命に、疑念の思いを滲ませて、復唱する……
 2度聞き直し、同じ命を3度も言わせる様は、コントそのもの


第1話「大いなる小競り合い」
第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」
第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」
第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」
第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」
第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」
第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」
第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」
第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」
第18話「壇ノ浦で舞った男」

【ストーリー】番組サイトより
鎌倉入りを許されず京で悲嘆にくれる義経(菅田将暉)。義時(小栗旬)は大江広元(栗原英雄)に知恵を借り、源頼朝(大泉洋)と義経との関係修復を模索するが、後白河法皇(西田敏行)はそれを許さない。愚痴をもらす頼朝に対し苦言を呈す八重(新垣結衣)。この状況を政子(小池栄子)が憂う中、京では義経をめぐって里(三浦透子)と静(石橋静河)が対立。さらに源行家(杉本哲太)が義経に近づいて頼朝への疑心をあおり……

脚本:三谷幸喜

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