「その1」、「その2」、「その3」
細心の注意を払って▲8七歩を着手。この手に2分使い、残り時間は2分となった。
▲8七歩に△8四龍(おそらく最善手)▲6五角成が控室で予想されていた順で、渡辺九段もそう想定して、これで先手が手厚いと考えていたようだ。
ところが、藤井王位は△4六龍と龍を切る!
以下▲同歩△3六角と進む。この龍切りを最善手に挙げたAIもあったようだが、多くのAIは評価値を下げていたと記憶する。
評価値はともかく、この手を指された渡辺九段は動揺。感想戦で、《いきなり、寄せ合いになってしまって…》というような言葉を洩らしていた。
2日目の夜……二人の消費時間は渡辺8時間8分、藤井8時間9分。(本来は持ち時間は8時間だが、千日手成立時に藤井王位の残り時間が50分で、『千日手の持ち時間補正の規約』により、藤井王位の残り時間を1時間にする為、両者に10分足した。(渡辺九段の残り時間も2時間10分→2時間20分)
消費時間は8時間強だが、60秒未満は切り捨てになるので、実際は千日手局に渡辺九段だけで40手、指し直し局には43手指しているので、機械的に1手30秒切り捨てと仮定すると、30秒×86=43分。なので、これを加えると、ここまで9時間近く考えていることになる。
実際は、相手の藤井王位の考慮中もフル稼働ではないにせよ、局面について考えているので、2日目の夜までに18時間将棋に浸かっている。食事や就寝前にも考えているかもしれない。
………千日手局は隙を与えないよう指し続け千日手に持ち込んでいるし、指し直し局は自分の策戦範囲に持ち込んだとはいえ、54手目に防戦一方に打たせたつもりの角に直後の△6四歩で角筋を自陣に利かされたショック。
56手目に藤井王位の残り時間が9分になってから、70手目の△7六同龍まで60秒未満の指し手を続けられ1分も残り時間が減らない……難解な局面をビシビシ指され続ける圧力は相当なモノであろう。実際の形勢は渡辺九段に傾いていったが、渡辺九段の実感としては「あまり前進している気がしなかった」という。
その上、細心の注意を払ったにも拘らず、いきなり寄せ合いの局面に持ち込まれてしまった……かなり優位に立っていた残り時間も「2分対3分」と逆転。残り2分で藤井王位相手に勝ち切らなければならない……実際の評価値は「渡辺大優勢」でも本人は分からない。それどころか、感触としては《ギリギリの寄せ合いに持ち込まれてしまった!こんなはずでは……》
とは言え、流石は渡辺九段!
藤井王位の猛攻に正確に対応
"然しもの”(さしもの)藤井王位も矢が尽きて、△6一歩と自玉に手を戻す(自玉の詰めろを受ける)。
(続く)
細心の注意を払って▲8七歩を着手。この手に2分使い、残り時間は2分となった。
▲8七歩に△8四龍(おそらく最善手)▲6五角成が控室で予想されていた順で、渡辺九段もそう想定して、これで先手が手厚いと考えていたようだ。
ところが、藤井王位は△4六龍と龍を切る!
以下▲同歩△3六角と進む。この龍切りを最善手に挙げたAIもあったようだが、多くのAIは評価値を下げていたと記憶する。
評価値はともかく、この手を指された渡辺九段は動揺。感想戦で、《いきなり、寄せ合いになってしまって…》というような言葉を洩らしていた。
2日目の夜……二人の消費時間は渡辺8時間8分、藤井8時間9分。(本来は持ち時間は8時間だが、千日手成立時に藤井王位の残り時間が50分で、『千日手の持ち時間補正の規約』により、藤井王位の残り時間を1時間にする為、両者に10分足した。(渡辺九段の残り時間も2時間10分→2時間20分)
消費時間は8時間強だが、60秒未満は切り捨てになるので、実際は千日手局に渡辺九段だけで40手、指し直し局には43手指しているので、機械的に1手30秒切り捨てと仮定すると、30秒×86=43分。なので、これを加えると、ここまで9時間近く考えていることになる。
実際は、相手の藤井王位の考慮中もフル稼働ではないにせよ、局面について考えているので、2日目の夜までに18時間将棋に浸かっている。食事や就寝前にも考えているかもしれない。
………千日手局は隙を与えないよう指し続け千日手に持ち込んでいるし、指し直し局は自分の策戦範囲に持ち込んだとはいえ、54手目に防戦一方に打たせたつもりの角に直後の△6四歩で角筋を自陣に利かされたショック。
56手目に藤井王位の残り時間が9分になってから、70手目の△7六同龍まで60秒未満の指し手を続けられ1分も残り時間が減らない……難解な局面をビシビシ指され続ける圧力は相当なモノであろう。実際の形勢は渡辺九段に傾いていったが、渡辺九段の実感としては「あまり前進している気がしなかった」という。
その上、細心の注意を払ったにも拘らず、いきなり寄せ合いの局面に持ち込まれてしまった……かなり優位に立っていた残り時間も「2分対3分」と逆転。残り2分で藤井王位相手に勝ち切らなければならない……実際の評価値は「渡辺大優勢」でも本人は分からない。それどころか、感触としては《ギリギリの寄せ合いに持ち込まれてしまった!こんなはずでは……》
とは言え、流石は渡辺九段!
藤井王位の猛攻に正確に対応
"然しもの”(さしもの)藤井王位も矢が尽きて、△6一歩と自玉に手を戻す(自玉の詰めろを受ける)。
(続く)
この局面、ちょうどわたしが
ネカフェで視聴を諦めた局面です。
「行けるやろ!!行ってしまいな。」
と思った局面でもあります。
まさかねぇ~~~~・・・・。
この後にまだドラマがあるなんて・・・・。
>この局面、ちょうどわたしがネカフェで視聴を諦めた局面です。
第11図の局面でしょうか?
「その1」の記事で、評価値は大優勢でも、残り時間は少ないし、相手が藤井君だし……と《まだわからない》と思っていましたが、さすがに、勝利間近と思っていました。
それでも、99%ではなく90%ぐらいかなと。
「その5」で書くつもりでしたが、リアルタイム時は▲7二銀を打つ手つきや表情は落ち着き払っていました。なのに……