カンボジア経済

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カンボジア西部の現状 その1 国道5号線を西へ

2022年12月26日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 まず、プノンペンから国道5号線を西に向かいます。国道5号線は、プノンペンから近郊のプレッククダムまで(約40キロ)は中国の支援で整備されましたが、それ以外の区間は、日本の円借款による支援で改修工事が行われてきました。日本が支援している国道5号線改修事業の対象は、プノンペン近郊のプレッククダムから主要都市のコンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポンを経由してタイ国境のポイペトまでの区間(366㎞)で、これまでの2車線・簡易舗装の道路を4車線化・アスファルトコンクリート化し、主要都市(ウドン、コンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポン)についてはバイパスを建設する計画です。日本政府はこれまでに7件、総額876億1000万円の円借款を供与してこの国道5号線の改修を支援しています。借款の条件は、金利0.01%/年、償還期間40年(10年の据え置き期間を含む)という大変譲許的なものです。
 国道5号線の改修工事は、北、中央、南の3区間に分かれて実施されており、北区間(バッタンバン~シソポン間:84.7km)は、市街を迂回するバイパス建設(バッタンバン:23.1km、シソポン:13.4km)も含めて2022年に完成済です。他の2区間の主要部分の完工は2023年の予定です。今回、視察したところ、今年着工したシソポン~ポイペト区間を除き、来年の完成が見込まれる状況でした。完成済の北区間では、高規格・高品質の道路で快適な走行でした。日本の支援のキーワードは「質の高いインフラ」であり、日系企業による高品質の施工が行われており、完成してもすぐに穴だらけになる中国や韓国の支援とは一線を画すものです。国道5号線では、プノンペン近郊の中国区間は、既に補修工事の跡だらけであり、日本の質の高さが際立ちます。なお、中央・南区間では、工事中の区間で対面交通となっている区間もあり、特に夜間は安全運転に留意する必要があります。
 国道5号線の終点であり、タイとの国境であるポイペト近郊では、タイの支援によって貨物専用の新たなストゥンボット国境施設を建設中です。国境に架かる橋は既に完成していますが、国境の検査施設等はタイ側の入札手続きの遅れ等により、未だに工事中の状況です。ポイペト付近の経済特区や、タイとプノンペンを結ぶ南部経済回廊にとって、新国境建設は通関の改善に必要不可欠であり、早期の完工が望まれます。
 国道5号線は、プノンペンとタイ国境を直結する重要なルートであり、プノンペン周辺に進出している日系企業にとっても、サプライチェーンの一環としてタイとの連結性を確保するために必要不可欠となっています。来年の主要部分の完成により、非常に大きな効果が出るものと期待されます。
(写真は、完成済みのバッタンバン・バイパス)

コンポンチュナンの国道5号線の旧道。昔は全線こんな感じでしたので、大きな発展を感じます。


工事中の区間では、完成済みの部分を使って対面通行となっているところもありますので、ご留意ください。


プノンペン近郊の中国支援区間。早くも大規模補修の跡が数多くみられ、中国企業の低品質施行を防止する強い対応が必要と見られます。


ストゥンボット国境施設の工事現場。大幅に遅れていますが、建屋の建設が進められていました。



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