カンボジア経済

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コメの最低価格を設定 市場安定化に向けて

2022年12月06日 | 経済
 11月16日、農林水産省は、精米業界の協力を得て、籾(精米前のコメ)について、最低価格を導入しました。バッタンバン州とバンテアイミエンチェイ州における籾の価格下落に対応し、農民から仲買人に販売する際の価格の安定化を図るとしています。最高級の長粒ジャスミン米であるプカー・ラムドル米(Phka Rumduo)の最低価格については、1キログラム当たり1040リエル(約0.25ドル:約35円)としています。
 カンボジアコメ協会では、籾の価格下落は、今年は中国やEUからの発注の遅れで引き起こされたと分析しています。他方、農民側は、農業機械や肥料等の購入のために借り入れたローンを抱えていることが多く、一日でも早く返済のための現金が必要となるため売り急いでいるとしています。
 今年1月18日、EUのカンボジア産のコメに対するセーフガード課税の期限が満了し、再び関税がゼロに戻りました。EUは、カンボジアを含む後発途上国(LDC)に対して、関税を免除する特恵関税制度「EBA」を適用しています。カンボジアは、この制度を活用して、EU向けに縫製品やコメを無税で輸出してきました。これに対し、イタリア・スペイン等のコメ生産者が、自国のコメ生産に影響を及ぼすとして不満を表明し、2019年1月18日からセーフガード課税を行っていました。この課税が完了したため、今年はEU向けの輸出が増えることも期待されていました。
 カンボジアでは、農業協同組合等の制度が不十分であることに加え、農民側のリテラシーの低さや市場価格の情報の不十分さ等もあって、現金で籾を買い集めるタイやベトナムの仲買人に安値で買い取られる例が多いと言われます。こうした中で、カンボジア政府が初めて最低価格を導入したことは、評価されます。しかし、この最低価格がきちんと定着していくか、また、最低価格の決定方式が妥当か等は、今後も課題となっていくと見られ、今後の動向を注視していくことが必要と見られます。
(写真は、プノンペンポスト紙より。精米所を視察する農林大臣)



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