カンボジア経済

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国連開発計画 新型コロナとウクライナ侵略のカンボジアへの経済・社会的影響評価

2022年12月08日 | 経済
 11月23日、国連開発計画(UNDP)は、「新型コロナとウクライナ侵略のカンボジアへの経済・社会的影響評価2022年(2022 Economic and Social Impact Assessment of COVID-19 and War in Ukraine on Cambodia)」を発表しました。この評価は、カンボジア経済財政省、社会問題省等と協力して実施されたものです。評価に当っては、一般均衡モデル(CGE)を使用しています。
 評価結果としては、新型コロナとウクライナ侵略の影響を受けて、カンボジアの2022年のGDP成長率予測は、ロシアのウクライナ侵略前の予測の5.4%から4.9%に下がっているとしています。また、貧困率については、侵略前の予測の15.0%から15.2%に若干上昇しています。それでも、カンボジア政府による社会政策の効果により、本来の15.7%に比べて上昇幅を0.5%ポイント抑えられたと分析しています。これは、約8万5000人が貧困に陥ることを防いだことを意味しています。失業率予測は、侵略前の1.12%から1.25%に上昇しました。失業率もカンボジア政府によるによる対策がなければ、1.45%まで上昇していた可能性があるとしています。
 UNDPでは、カンボジアは、新型コロナから順調に回復しつつあるものの、ロシアのウクライナ侵略等の外部要因による不確実性の上昇により、回復の速度が鈍っているとしています。また、カンボジアの社会経済の耐久性構築に焦点を当てることにより、将来的なショックに備える必要があると指摘しています。具体的には、人材開発への投資促進、社会保障の充実、エネルギーのグリーン化振興、エネルギー安全保証強化、包括的デジタル化の加速等を提言しました。
 カンボジア経済財政省は、この評価は、政府の新型コロナや外的ショックへの対応の策定や予算編成に役立つものであるとしています。また、社会問題省では、社会保障システムの充実は、新型コロナやロシアのウクライナ侵略等の影響から国民を守る中心的役割を担っていると指摘しています。
 こうした分析・評価は、外的要因等による経済へのショックに対する効果的な対応策の策定等に大変役立つものであり、今後も地道なデータ分析と、その結果の政策への反映が継続的に実施されることが期待されます。
(写真は、UNDPの発表より)

UNDPの発表(英文です)
https://www.undp.org/cambodia/press-releases/undp-launches-2022-economic-and-social-impact-assessment-covid-19-and-war-ukraine-cambodia


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