デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ルスツ編3 思いがけない千秋楽

2009-08-30 21:55:48 | お仕事日誌
モスクワ帰りの疲れと昨日の飲み疲れか、朝はかなりゆっくり目覚める。それでも張りさんと親分の喝は、しっかりと見る。なにより今日は総選挙の日。間違いなく民主党が政権をとる選挙とはなるのだろうが結果が気になるところ。朝飯を抜く。一回目の公演にサーカス学校の卒業生で、いま札幌で演出を学んでいる高村君が見に来る。公演後舞台裏に案内、おかしかったのは高村君がモスクワのボリショイサーカスで公演していたとき、出演していたマクシーモフファミリーのボーバが、高村君の僕のことを覚えてますかという問いかけに、「ちょっと覚えている」と答えたこと。ボーバらしい答えだよなあ、嘘がつけないし、人のことをいつも思いやるボーバらしい答え。一緒に昼飯を食べ、ルスツの方に紹介する。なんか仕事がくればいいのだが。いよいよルスツでの千秋楽の公演。おふざけもなく、いつものように淡々とそしていつものようにお客さんを夢中に楽しませてくれる。無事千秋楽終了。楽屋裏に行き、いつものように「ザ・カンチャーニエ」の挨拶。そしてすぐに撤収開始。このへんも彼ららしい。プロなんだよ。彼らは。撤収が始まっておよそ1時間半後に終了。
20時から「かかし」で打ち上げ。ここで思いがけない話が、社長が挨拶をしに来るかもしれないという。いままでルスツでサーカスをしてこんなことはなかった。まさかと思ったのだが、本当に21時すぎに社長さんが登場、まずは挨拶。「皆さんがお客さんが少ないときでも一生懸命手を抜かず公演するのを見て感動しました。あなたたちは本当のフロフェショナルです。ここルスツをつくる時、リゾートホテルをつくるということはまったく考えず、ただお客さんの笑顔がみたいと思ってやっていました。みなさんの公演を見て、お客さんの笑顔を見て、自分たちの原点を知ったように思えます。そんなことを教えてくれた皆さんにほんとうにお礼をいいたい」。正直この話を聞いて、自分はめちゃ感動してしまった。これだけ素直な感想を言うトップがいるんだという感動と、トップをこれだけの気持ちにさせた我がメンバーの力、本当に嬉しかった。このあとメンバーが感動していたのは、この社長さんこれで帰るのではなく、メンバーのテーブルにいき、一緒にメンバーと親しく話ながら飲んだこと。いままでいろんな偉いと会ったことはあるが、一緒にテーブルで偉ぶらず対等に酒を飲んでくれた人はなかったと言っていた。自分もこの機会に乗じ、社長の出発点となったクマの調教をどうやったのか聞かせてもらう。まさかこんな風になるとは。22時すぎに一本締めで仲締め。記念写真を撮ってお別れ。これで終わるわけはなく、ワーリャの部屋で二次会。無理やりテレビを見せてもらう。やはり民主の圧勝だった。でもこれだけ極端に勝っていいのかなという気もする。今日はボーバーの誕生日でもある。やはり社長さんが駆けつけてくれたということでみんなのテンションは上がる。最後にみんなにお礼、みんながこれだけ素晴らしい仕事をしてくれたら、今日こうして社長さんとも話すことができた。本当にありがとう。おめえたちは本当にすごい奴だよ。
サーカスを見て泣いたおばあちゃんの話を思い出した。車椅子で見に来たたぶん90歳ぐらいのおばあちゃんが、ルスツサーカスを見て、泣いていた。スタッフさんがどうしたのですと聞いたら、本当に何十年ぶりにサーカスを見たのですよ、まさかまたこうしてサーカスを見れるなんてって涙ぐんだという。正直冥土の土産なんていうことばは失礼かもしれない、でもまぎれもなく、このおばあちゃんはそう思ったから泣いたのではないのだろうか。
もしもルスツでみたこのサーカスが、このおばあちゃんの人生の黄昏を彩ったとしたら・・・
これっていい話じゃないだろうか。

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