書名 「帝国を魅せる剣闘士-血と汗のローマ社会史」
著者 本村凌二 出版社 山川出版社 出版年 2011
あとがきで著者が映画「グラディエイター」に先を越されたと書いていたが、まさにあの映画の世界をローマ史研究の第一人者が検証したのが本書である。いきなり剣闘士の回想がでてきたのに、ちょっととまどってしまった。なんの説明もなくいきなりだったので、もしかしたら創作なのかとも勘ぐって読んでいた。まるで映画の世界をそのまま再現するような迫力ある回想であった。これは本当の回想であったことがあとがきで明らかにされるのだが、この回想の出所とか資料的価値とかについて専門書なのだから説明があった方が良かったのではないかと思う。
社会史とサブタイトルにうたっているように、ローマが栄えていた時代の一世紀ぐらいから疲弊していく三世紀までの移り変わりのなかで、剣闘士たちが戦いで死んだ割合を見ていくのが、本書の一番の読み所になっていると思う。疲弊がはじまる三世紀にはほとんどの敗者が殺害されてしまうというなかにローマの別な面からの社会史が見えてくる。
恥ずかしい話しなのだが、この本を読んではっと目が覚めたような気がしたのは、ローマを象徴する「パンとサーカス」のサーカスは、サーカス場とかサーカスそのものを言っているのではなく、馬に曳かれた戦車が走る楕円形の競争路(キクルス)を意味するということであった。
著者 本村凌二 出版社 山川出版社 出版年 2011
あとがきで著者が映画「グラディエイター」に先を越されたと書いていたが、まさにあの映画の世界をローマ史研究の第一人者が検証したのが本書である。いきなり剣闘士の回想がでてきたのに、ちょっととまどってしまった。なんの説明もなくいきなりだったので、もしかしたら創作なのかとも勘ぐって読んでいた。まるで映画の世界をそのまま再現するような迫力ある回想であった。これは本当の回想であったことがあとがきで明らかにされるのだが、この回想の出所とか資料的価値とかについて専門書なのだから説明があった方が良かったのではないかと思う。
社会史とサブタイトルにうたっているように、ローマが栄えていた時代の一世紀ぐらいから疲弊していく三世紀までの移り変わりのなかで、剣闘士たちが戦いで死んだ割合を見ていくのが、本書の一番の読み所になっていると思う。疲弊がはじまる三世紀にはほとんどの敗者が殺害されてしまうというなかにローマの別な面からの社会史が見えてくる。
恥ずかしい話しなのだが、この本を読んではっと目が覚めたような気がしたのは、ローマを象徴する「パンとサーカス」のサーカスは、サーカス場とかサーカスそのものを言っているのではなく、馬に曳かれた戦車が走る楕円形の競争路(キクルス)を意味するということであった。