デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ヤコブソン・セレクション

2015-12-29 17:52:51 | 買った本・読んだ本
書名「ヤコブソン・コレクション」
著者 ロマン・ヤコブソン 翻訳 桑野隆 朝妻恵里子 出版社 平凡社 出版年 2015

言語学者ヤコブソンが築き上げた知の体系は言語学を逸脱して、他の領域に侵入し、壮大なスケールをなしている。そんな知の巨人のエッセンスを新訳によって紹介したのが本書。自分が読んだのは一章の「詩人を浪費した世代」だけなのだが、これを読むだけでもこの本は購入する価値があると思う。自分にしては珍しく読んですぐにまた読み返してしまった。ヤコブソンのマヤコフスキイに対する愛の深さ、そしてマヤコフスキイの詩への共感、彼の死を政治的に利用されてたまるかという強烈な意志に貫かれている。これはマヤコフスキイが亡くなってから一カ月後に一挙に書かれたものである。詩人マヤコフスキイを愛してやまなかったヤコブソンが、追悼するためにぜひ書かなくてはならないという強い思いに全編満ちあふれている。マヤコフスキイの詩のフレーズがまるでそらで次々に浮かび上がってきてるというのがよくわかる。その的確な読みにも驚かされる。引用だけでひとつのマヤコフスキイ論になっている。マヤコフスキイの詩が本質的にもっている叙情性、いつも死と背中合わせにあることが実に説得力をもってここで語られるのである。そしてなによりもマヤコフスキイが本質的に闘ってきたもの、それはブイト(不変の現在を安定させたがること、因循姑息ながらくたで現在をおおうこと、生を窒息させ窮屈で硬直した紋切り型へ変えること)であったこと、マヤコフスキイもロシアアヴァンギャルドもこれを敵にしてしまったがために、彼らは永久革命の道を進まざるを得なかった。マヤコフスキイの詩がヤコブソンの導きにより生き生きと蘇ってくる。マヤコフスキイの詩が読みたくなく一文でもあった。
訳した桑野さんに、この一文しか読めなかったけど、読んで良かったですと失礼な感想を言ったら、これが訳したかったので、そう言ってくれるとうれしいとまで言われてしまった。
とにかくこの一文だけでも読む価値があるのは間違いない。
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大掃除

2015-12-29 16:44:12 | お休み日記
野鳥の池まで走る。ずいぶんたくさんの鳥たちがいた。今年一番多かったかも。
朝飯を食べてから恒例の窓拭き大掃除。お昼すぎに終了。
午後は年賀状書きに専念。15時前には書き終え、ポストに投函しにいく。ついで買い物。今晩から長女が帰ってくるのでビールを買っておく。
帰宅して天皇杯サッカーの準決勝を観戦。宇佐美君ずいぶん調子があがってきたみたいだ。
「河童のコスモロジー」を読了。
漂流民の会のお小遣い帳を記入して、現金と照合。今年はこまめにやっていたので、ぴったし。
娘ふたりが今日は遅くなるというので夕食は奥さんと簡単にすます。上の娘も遅くなるということだったが、帰って来る前に寝てしまう。

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