書名「享保十四年、象、江戸へゆく」
著者 和田実 出版社 岩田書院 出版年 2015
象の旅にはかなり興味がある。「脱走山脈」とかロシア映画の「象」とか見ているせいなのかもしれない。自分のサーカス体験の中でもやはり象と一緒の時のことはいまだに鮮烈な印象として残っている。移動、えさ、公演前のリハ、とにかく他の動物とはまったくスケールが違う難題の連続だった。そうそう糞の始末も大変だった。
なのでこの吉宗のたっての希望でベトナムの象が長崎に着いて、そこから江戸まで旅した記録をまとめたこの本を他人ごとのようには読めなかった。自分の経験を重ね合わせて読んでいた。それにしてもよくもこんな細かにみんな記録していたものである。それだけ珍しいということもあったとおもうが、通過する土地土地でいろいろ手配しなくてはならないことがあったということもあるようだ。とにかくみんな問題などおこらないようにということで、細心の注意を払っていたということだ。旅のピークは京都での天皇家の観覧、ふたつの大きな川を船橋をならべて渡ったというあたりだろう。象にすれば旅はある意味、みんな気をつかってくれたから楽だったのかもしれないが、江戸に到着し吉宗の謁見が終わったあとの方が大変だったのではないだろうか。「サーカス学誕生」でも触れたが、民間に払い下げられたあとは、見世物としての使命を終え、やっかいものになってしまったのだから・・・
見世物としての象の宿命を一心にかぶることになった象と言えるかもしれない。
著者 和田実 出版社 岩田書院 出版年 2015
象の旅にはかなり興味がある。「脱走山脈」とかロシア映画の「象」とか見ているせいなのかもしれない。自分のサーカス体験の中でもやはり象と一緒の時のことはいまだに鮮烈な印象として残っている。移動、えさ、公演前のリハ、とにかく他の動物とはまったくスケールが違う難題の連続だった。そうそう糞の始末も大変だった。
なのでこの吉宗のたっての希望でベトナムの象が長崎に着いて、そこから江戸まで旅した記録をまとめたこの本を他人ごとのようには読めなかった。自分の経験を重ね合わせて読んでいた。それにしてもよくもこんな細かにみんな記録していたものである。それだけ珍しいということもあったとおもうが、通過する土地土地でいろいろ手配しなくてはならないことがあったということもあるようだ。とにかくみんな問題などおこらないようにということで、細心の注意を払っていたということだ。旅のピークは京都での天皇家の観覧、ふたつの大きな川を船橋をならべて渡ったというあたりだろう。象にすれば旅はある意味、みんな気をつかってくれたから楽だったのかもしれないが、江戸に到着し吉宗の謁見が終わったあとの方が大変だったのではないだろうか。「サーカス学誕生」でも触れたが、民間に払い下げられたあとは、見世物としての使命を終え、やっかいものになってしまったのだから・・・
見世物としての象の宿命を一心にかぶることになった象と言えるかもしれない。