学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

『不均衡という病』

2016-02-06 | グローバル神道の夢物語
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年 2月 6日(土)08時56分2秒

>筆綾丸さん
『シャルリとは誰か?』を半分ほど読んだのですが、私には統計学の知識がない上、フランスの地理にも社会にも疎いので、けっこう苦労しています。
例えば、「第1章 宗教的危機」の、

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カトリシズムの末期的危機

 フランスでは、宗教と人びとの暮らし方が一緒に推移する。宗教の実践は、その大部分が一九六〇年から一九九〇年の間に潰え去った。出生率も低下した。一九五〇年には女性一人当たりの子供が三人だったのだが、それ以降は二人に減った。この変動には、子だくさんのカトリック教徒の家族というものの消失も含まれていた。生まれてくる子供たちの内、婚外子は一九六〇年には五・五%だったが、今日では五五%に達している。フランスは、三〇年、四十年前にはカトリック教会がなお重きを成す国だったが、今では、国民の信仰と暮らしぶりから見て懐疑論者たちの国になっている。
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という記述(p47)を見て、「婚外子は一九六〇年には五・五%だったが、今日では五五%に達している」とは俄かに信じ難かったので、トッドの他の著作に当たってみたところ、『不均衡という病─フランスの変容1980-2010』(藤原書店、2014)に、

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 婚外出生─これで生まれた非嫡出子について、昔は「自然に生まれた」子供と、洒落た呼び方をおしていたようだが─で生まれた子供の数の増加は、もっと目覚しい。最初の兆候は、一九六五年から一九七〇年までの間に、この出生が全出生のうちの五・九%から六・八%へと増加した際に、感じ取れた。それに続いて、規則的な飛躍的上昇が起こる。それはほとんど直線的で、見たところ際限がないようだった。すなわち、一九八〇年には一一%、一九八六年には二〇%、一九九〇年には三〇%、一九九七年には四〇%、二〇〇八年には五〇%、二〇一〇年には五四%。この指標を見ると、伝統的な結婚の時代は終わったと断定することができる。フランスにおいては、多数を占める人間が結婚という法的な枠なしで出生するのであり、自然に生まれた子供〔非嫡出子〕が、社会的基準になりつつあるのである。
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とあり(p24)、さすがにここまで具体的に数字を挙げられると信じざるをえないですね。
『不均衡という病』にはカラフルな地図が100枚以上載っていて、『シャルリとは誰か?』の地図より遥かに見やすく、理解しやすいですね。

『不均衡という病』
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1366&zenid=bf718d1233906a1a610b832b51aa4405
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