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「真宗貴族」との階級闘争

2016-03-03 | グローバル神道の夢物語
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年 3月 3日(木)10時16分32秒

当初の漠然とした予定では寺院を全廃した薩摩藩を丁寧にやろうと思っていて、富山藩はそのためのつなぎ程度のつもりだったのですが、なんだかずいぶん長く富山藩に付き合うことになってしまいました。
結果だけみれば薩摩藩の方が遥かに厳しい事態だった訳ですが、薩摩藩は浄土真宗との関係が出てこないので、単純といえば単純ですね。
他方、「真宗王国」の富山藩は調べれば調べるほど色んな点でバランスの悪い藩だなと思わざるをえません。
安丸良夫氏の思い出にも出てくるように、富山の仏壇というのは本当に絢爛豪華で、現在でも五百万円くらいは当たり前、一千万円を超えるような仏壇を持つ家庭もけっこうあるそうですね。
しかも、十年おきくらいに分解して奇麗に磨きたてるのだそうで、それにも半端ではない金額がかかります。
背後には高級車ディーラー網にも匹敵する巨大仏壇産業が存在している訳ですね。
そしてもちろん寺院の異常なまでの巨大さ、豪華さも「真宗王国」ならではです。
今は一般家庭も立派になっているからそれほど目立ちませんが、明治維新のころには寺院の立派さが極端に目立ったでしょうね。
「真宗王国」の「真宗貴族」は寺町の豪壮な「邸宅」に住み、富山藩士は加賀藩の監視の下、窮乏する藩財政のあおりを受けて給与は減る一方だった訳ですから住宅事情も貧弱で、林太仲らの心境を思いやると、合寺令はビンボー武士階級の富裕な「真宗貴族」に対する「階級闘争」のような感じもしてきます。
私が安丸良夫氏を「ゾンビ真宗門徒」と考えるのは、別に安丸氏が真宗側の史料に安易に依拠している、などと非難したいからではありませんが、それにしてもマルクス主義の歴史家である以上はもう少し「階級闘争」的視点があってもよいような感じがします。

エマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全Ⅰ・Ⅱ』をきちんと読み込んでおきたいので、次回投稿は少し間隔が空くかもしれません。

>筆綾丸さん
>都成竜馬君
私は将棋も囲碁も不案内なのですが、将棋は既にAIに追い越されつつあり、囲碁も相当危ないと聞きますので、そうした事情は職業として将棋・囲碁を選ぶ人にどんな影響を与えているものなのでしょうか。
この先、完全にAIに負けるような時代になったら、勝ち負けではなく美の世界、勝ち方の美しさを競うような世界に入るのかな、とも妄想してしまいます。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
「26歳ー老いらくの棋士」
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/8242
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