キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

カレーに古いブルゴーニュ

2009年04月30日 | Weblog
先日、阿刀田高の短編集「甘い闇」を読んでおりましたら、奥さんが亭主の帰りを待ってカレーライスを作り、ワインを抜いて待っている場面に遭遇いたしました。

もう15年も前になりますが、ブルゴーニュのネゴシアンで働いていた男が独立して、私をレストランで接待をする余裕も無く、インド人の奥さんがカレーを作って、ボーヌの街外れに借りたアパートで我々の帰りを待っていてくれました。晩飯にワインは何を開けようかと、アパートの部屋とセットになっている地下セラーに私を招きいれ、プライベートのストックを見せてくれました。当時の私にはカレーに合わせるワインのアイデアなどまったく無く、彼が選んだ1970年代のブルゴーニュの赤を部屋に持ち帰りました。

インド人の奥さんの作品ですのでカレーはコンチネンタルカレーではなく、インドカレーの系統でしたが、クスクスが入っていました。先ずはカレーの前に熟成したピノ・ノワールの繊細さを楽しみ、いよいよカレーに合わせましたが、充分熟成したときに現れるココアの風味が思いの外カレーの風味にマッチして、中々いける組み合わせであった事を記憶しております。

「甘い闇」は男と女の怪しい儚い関係を描いた小説集なんですが、若し奥さんが準備していたワインが古いブルゴーニュであったとしたら、この夫婦の関係は続いていった事でしょうね。
コメント
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