キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

新春早々悪い癖が

2008年01月06日 | Weblog
今朝の湘南はまた快晴、雲ひとつ無く風も無く春先を思わせるようなお天気。こういうところで生まれて育ったわけですから、のんびりしちゃって立身出世とか無関係な一生を送る事になるんです。昨日も朝は曇っていたんですが昼から晴れまして、大磯まで一時間散歩して、そこから東海道線に乗って藤沢まで買い物に行きました。青柳を求めて魚屋を見ましたが生憎千葉産の青柳が無く、愛知産でしたので断念、どうも貝類は千葉の産が私には好ましく、今ですと木更津沖で取れるんでしょうが、昔ですと羽田沖か浦安辺りということになり、いわゆる江戸前です。江ノ島沖の朝獲りの鯵が並んでいましたが新しくて見るからに良さそうでした。

魚屋で目的の青柳が買えずがっかりしたかというとそうでもなく、魚は巡り合わせが肝腎で、良いものに出会ったときに迷わず買うのが美味いものをいただくコツです。魚が無いと直ぐに気は古書店に向き、久し振りに店を覗いてみました。ここのところ良いのが無かったのですが、年も改まったせいか、久し振りで棚が変わったせいか、思わず五冊手にしてしまいました。今年は積読は辞めようと心に小さく誓ってはいたのですが、本を目の前にすると駄目ですね、悪癖は年が改まったくらいでは治っていません。

小林信彦「うらなり」小林さんに触発されて猫を読み終わるところで、やはり見てしまった以上求めるのが世間の義理、ついでに昨夜読んでしまい、老人になったうらなり君と山嵐の三十年振りの邂逅を楽しませていただきました。大江健三郎「言い難き嘆きもて」大江さんは高校の頃から親しんでおりましたが、ノーベル賞の頃からは読む気になれず新刊を購入しておりませんでした。最近、年のせいでしょうか、昔親しんだ作家の本が懐かしく感じられ手に取るようになっています。村松友視「雪国あそび」好みの作家が名作雪国を遊ぶのですから買わないわけに行きません。団鬼六「外道の女」団さんの将棋本に魅せられてから、お得意の情緒豊かなSM小説を見かけると買うようにしています。短編集で、昨夜その中の一編「神楽坂物語」を題に誘われて読みましたが、団さんの美意識と人間の駄目さ加減を描いた小説世界を堪能いたしました。細川布久子「パリ発ワイン水先案内」細川さんは伝説の「面白半分」の編集者、開高健にワインの指南を受けてパリに旅立った方、ワイン業者である以上見かけたからには買い求めるのが常識、それでも99年に新刊が出たときは高いなと思って買わなかったんです。反省してます。

古書店に義理を果たした以上、新刊本の書店にも義理を立てるのが大人の見識というもの、有隣堂藤沢店も新年のお客で溢れておりました。実は昨年の暮れ武田百合子さんの「遊覧日記」「犬が星見た」を購入し、年末年始に楽しんでいたのですが、さらに別のを読みたくなり「言葉の食卓」を求めたところ、傍に旦那さまの武田泰淳「十三妹」(これでシイサンメイと読みます)があり、まとめて夫婦で買ってしまいました。

今年も悪癖は治らず、本を買い求めるだけ買い求め、積読は宿痾となり快癒の見通しは立ちそうにありません。これでいっそのこと買い求めた本を読破するだけの能力と勤勉さがあれば良いのですが、先刻よりご承知の通り、今のところ湘南の風土からその様な人物が出たためしはございません。

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