五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

浄土への舟

2013年12月05日 | 第2章 五感と体感
紀伊勝浦の那智の大滝に向かう途中に補陀洛山寺があります。
今回、残念ながら立ち寄ることが出来なかったのですが、独特な浄土信仰を実践した拠点の寺です。

平安時代から江戸時代にかけて、この寺の住職が20数名、補陀洛渡海を行い浄土に旅立ったそうです。

つまり、舟の小部屋に住職が入り、入口を外側から釘で打ち付け出られなくするのです。そして舟出します。

梅原猛の「うつぼ舟一巻の翁と河勝」に書かれています。
補陀洛舟、別名うつぼ舟。
海の彼方に浄土があると信じられ、歴代の住職が身体を張って、それを証明していったわけですが、恐怖のあまり逃げ出す住職も居たようです。当たり前のことです。。。

余談ですが、那智の大滝に控えている青岸渡寺の起源は343年と云われています。日本に道教が入り、もともと聖地として崇められていた土地に聖堂が建ち、仏教伝来を経て、現在天台宗の寺院になっていることに、北西に控える高野山とのバランスが、私の妄想を大きくしています。

紫式部の源氏物語に登場する明石の君の父親「明石の入道」は、れっきとした山岳宗教の信仰者であり、自分の死に時を選び、若い従者を引き連れて山に入ります。

海に逝くか山に逝くか。

天の浄土に向かうには、まずは海と山での最後の苦行が必要であることに、自制的な習性を持つ人間の象徴的な考え方でもあるように感じます。
なりふり構わず天を向き、あちらの世界に昇っていけることを信じたほうが楽だなぁ。。。と、凡人の私は思うのです。

自分の死生観を改めて問い掛け続けるにはもってこいの場所である熊野は、ほんとうに深い処なのです。

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12月6日から8日まで 神宮前の「渋谷のIMA」(神宮前6-17-14六英ビル4階)にて「ちいさく表装・作品展」を開催します。今回は各講座の指導員の表装を展示します。いまようの住まいにも馴染む掛け軸をぜひご覧ください。

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