五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

宮廷のみやび

2008年02月17日 | 第2章 五感と体感
上野・国立博物館に行ってきました。
近衛家1000年の名宝の数々をたっぷりと堪能。

茶の湯、歌合せ、書簡、藤原道長の日記、香、活け花、そして私のやっている表装・・・
あらゆるジャンルに興味のある人々が、食い入るように見入っていました。

今大河ドラマで放映している篤姫にも関係があり、去年までの朝日新聞掲載の宿神にも深い繋がりがあり、日本の歴史を一気に勉強してきました。

何といっても、掛け軸の裂地(布)の派手やかなことに驚きました。
明や清の刺繍を好んで使ったため、通常お茶室で拝見するような掛け軸の取り合わせとは、程遠いのです。
中には、清の官服や、バチカンに輸出していた司祭服の刺繍の裂地まであります。

庶民を「草」と言わせた宮中の「みやび」は、現代に住まう私から見ると意外にも田舎くさい世間知らずの成金趣味といえるなぁ、、、と思いながらも、「ひなび」と「侘び寂び」が時を経て混じり合い、徐々に品格というものが生まれてきたのかもしれないと、改めて「うんうん」と頷く私が居ました。

長い歴史と高貴な文化を持つ中国。そして、更に海を渡り、日本にやってきた物。

広い世界の一滴(ひとしずく)を垣間見た宮中の人々の、感動とため息が1000年の時を経て伝わってくるのを感じました。

艶やかな色の重なりと刺繍の美しさは、いつしか近衛家の「好み」となり、家としてのアイデンティティが構築されていくのです。

そろそろ雛祭り。24節季72候によると19日は雨水。「雨水がぬかるみ、樹の芽が芽吹くころ」
その「雨水」の日に雛人形を飾ると縁起が良いと聞きました。

庶民もみやびを愉しむことのできる幸せな時代。この時代に生まれたことに感謝した一日でした。

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