Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

雨と寒さの中2人の日本人選手の活躍を求めて 1 FC Koeln 1-1 Vfb Stuttgart

2012-05-06 | EURO Football
もう30分以上並びっぱなしだけど列は一向に短くならない。私の後ろは列がどんどん長くなる。
やがて3人、5人と私の前に並んでいた人達が離脱する。 後ろの親子連れと一体どうしたのか?と話始める。
父親が窓口に向かい様子を伺う。そして戻って来て私に Ausverkauft ( 売り切れ ) と一言。 その少し前に2人以上の並び席は無くなっていた事は解っていた。だけど1人で観戦する私にはそれは問題ではなかったのであるが、売り切れとなると….

思わず雨天の上空を仰いだ…..

6年振りに観戦に来たここKölnの Rhein Energie Stadion。あの時はワールドカップ観戦だった。よく晴れていた。チケットで並ばなかった(当り前か?)のになぁ....

この日は香川の所属する BVB Dortmund の試合を観戦しようか、それともKölnに言って佐藤高徳、岡崎のいる Stuttgart を観に行こうか…と迷っていた。 普通なら Dortmund 戦と思われるのだけど、BVB Dortmund の web site を見るとこの試合のチケットはもう Ausverkauft となっていた。優勝の掛かった試合であるから場外のダフ屋からチケットを購入するのも難しいだろうし買えても価格が高いか…そしてキックオフ時間は午後6時半。Köln対 Stuttgart 戦は午後3時半。
この試合を観戦して Dusseldorf に帰っても午後8時45分キックオフの El Clasico , FC Barcelona vs Real Madrid のテレビ観戦が可能と胸算用しKölnに向かったのだった。
それにこの試合前で16位だったKölnは残留争いの真っただ中。5位であったStuttgartは3試合を残してChampions League 出場圏内に4位Mönchengladbach とは勝点7差でまだチャンスはあった。シーズン終盤ではあるが両チーム共に“消化試合”では無い試合。
なのに無情の Ausverkauft とは…..

そこに1人の男性がチケットを1枚ひらひらさせながら列に寄って来た。私はすかさず彼の後を追い、1枚だけチケットあるのか?と訊くと彼も1枚しか無いので€43.00 の席を€40.00 で売りたいと言うのですぐに商談成立。キックオフ5分前、滑り込みで入場券いや“入場権”を確保した。
するとそのすぐ横にチケットを2枚見せびらかしている人がいたので2枚持っているのか?と訊くとそうだと答えた。私はすぐに列に戻り後ろにいた親子連れを探したけど男の子だけが立っていたので“ Ihre vater はどこだ?チケットを見つけたぞ。”と訊くと既に父親も他の人と交渉中であった。そこに行くと“商談が成立”したらしく無事に観戦できる事となっていた。お互いに Wir sind gluckrich !! と言って握手をして別れた。
そして列に並んでいた他の2人組にさっき私に2枚のチケットを見せていた男性の方を指さし、“あの男性が2枚チケットを売りたがっている。”と話した。彼らは商談が成立したのかなぁ…….

競技場に入り着席すると周囲はStuttgartサポーターが多くさっきチケットを売ってくれた男性も近くにいてStuttgartのマフラーをしていた。 “ Sakai !! Okazaki !! Stuttgart !! “ と言って握手をすると周囲の人達からも握手を求められた。 隣の男性からはビールの差し入れが来そうだったけど寒いので断ると腕時計を見せ、”もう Summer Time だぞ。“と言われた。 だけどドイツ人だけでなく欧州のサッカーファンはもっと寒い時でも冷えたビールを飲みながら良く観戦できるなぁ….といつも思うのだけど。

この試合の私の注目は何と言ってもStuttgartの右SB酒井高徳。今や Die Bundesliga でプレーする日本人選手では香川に次いで細貝と並んで確実に“現場観戦”出来る、レギュラーポジションを確保している選手。
サイドバックのタレント不足のドイツではドイツ人の母親を持つ佐藤の“帰化運動”まで地元紙で紹介された。
本人はまずロンドン五輪に興味があるらしいが。 2010年ワールドカップ南アフリカ大会ではバックアップメンバーに入っていたと息子に教えて貰った。 そして日本はサイドバックにはタレントが揃っていると指摘もしていた。
長友、内田、駒野、五輪世代でもレイソルの酒井宏樹…息子よ、もう私はお前に教えを請う様になったのか…..

前節 Werder Bremen を 4-1 で粉砕したStuttgartは前節と同じスタメン。
ただシステムは少し替っていたみたいでボスニア人FW Vedad Ibisevic のワントップから2列目右で起用されたオーストリア人FWの Martin Harnik を前線に上げて2トップに。 ボランチだった William Kvist を2列目右に上げてトップ下に起用されていたハンガリー人MF Tamas Hajnal が下がりChrstian Gentner とボランチを組んだ。4バックのDFラインは前節と同じ左SB にイタリア人DF Christian Malinano、CB はドイツ人同士、 Geong Nidermeier と Serdar Tasci 。Die Kicker 誌で 2.5 の高評価を得た酒井はこの日も右SBでスタメン。
Bremen 戦で途中出場で10分間プレーした岡崎はこの日もベンチスタート。試合前にはビブスを着ないで酒井とボール回しなんかしていたからなぁ… まぁワールドカップ予選までに怪我が完治してくれればと思う。



しかしDie Kicker 誌ではStuttgart は2シーズン連続で冬の移籍市場で良い選手を引っ張っている、昨シーズンは岡崎の加入により残留争いを行き残り今シーズンは酒井の加入で Champions League 出場圏射程内にいると途中加入の日本人選手を評価していた。

一方前節 Mönchengladbach に 0-3 と大敗を喫した 1FC Kölnは Die Kicker 誌で評価の低かった スロベニア人 FW Milivoje Novakovic ( 評価 5.0 ) と ポルトガル人 DF Henrique Sereno ( 評価 6.0 ) に替えてクロアチア人 MF Mato Jajala がトップ下に入り、カナダ系ドイツ人DF Kevin McKenna が入りブラジル人DF Pedro Geromel とCBを組んだ。 McKenna は前節 Sereno の負傷で投入され、Jajala は2列目左の Christian Clemenns に替って投入された。 この日は Clemenns はスタメンであったがボランチの位置に入り Martin Lanig と2ボランチに。前節はボランチだった  Sacha Reither は2列目左に上がった。 そしてドイツ代表の Lukas Podolski のワントップの後ろに右からポーランド人MF Slawomir Peszko, Jajal, Reither の3選手が並んだ。シーズン途中にKölnに移って来た注目の鄭大成はベンチに入っていたが出番はあるかな…と思った。
これまで鄭大成はKölnでは5試合途中出場を果たし151分間プレーしていた。



Stuttgartのキックオフで始まった試合、ずっと酒井の動きを追っていた。前節では試合終了直前に左サイドから素晴らしいクロスを上げて Cacau のヘディングでのゴールを演出。  Die Kicker 誌にも“試合は 3-1 で終わるはずであったが左サイドを Gotoku Sakai と Tamas Hajnal で素晴らしい突破を見せ Lukas Schmitz ( Bremen の左SB ) の裏を抜け出し….てなことが書かれていた。 Bremen 戦では Harnik も Die Kicker 誌は1.5 の高評価を与え反対に対峙したJunuzovic, Schmitz らは
5.0 の評価。このKöln戦でも私も前節の再現を願った。 



酒井は積極的に前線に上がって行きその際にはCBの Tasci が右サイドを埋める。しかしこの日はどうも酒井の上がった裏を狙われている様に思った。
Kölnはキックオフ直後こそ Hajnal がトップに入り Podolski と2トップを組むも10分もしない内にトップ下に下がり Podolski のワントップに。それでいて中盤でボールを繋ぐわけでもなくすぐに Podolski にボールを放り込んで来ている様に思えた。  
Podolski にボールが入っても試合前に降っていた雨のせいか何度も脚を滑らせボールが収まらない様子。 
18分、ちょっとひやりとするシーンが。  Tasci からボールを受けた酒井が前線にパスを送ろうとするもそれがインターセプトされ Jajala, Clemmens とボールが渡り一気にStuttgartゴール前に運ばれるが Clemmens のラストパスが中途半端でそのままゴールラインを割った。 周囲の人からは“サカァィィィィ~。”と私に注意を促された。 22分頃になるとKölnは再び Podolski と Hajnal の2トップになりボランチの Lanig とRiether が上がって来て中盤でボールが回る様になる。 24分には Podolski がファールを受け良い位置でFKを得るが Podolski の 蹴ったFKはそのまま直接壁に当たってしまった。

やや劣勢続きだったStuttgartは28分から酒井が連続して攻撃をお膳立てする。 28分にはナイスクロスを上げるが中では誰も触れず、29分にはもう一度上がったクロスを中に入った Hajnal が折り返し Ibisevic がシュートを放つがDFに当たってゴールには至らなかった。



そしてKölnサポーター達から大歓声が上がる。 この日 Berlin で行われていた 17位Hertha SBC vs 18位1.FC Kaiserslautern のゲームで Kaiserslautern が先制と途中経過がアナウンスされた。最下位Kaiserslautern はこの試合の前迄で勝点20と16位Kölnとは9勝点離されており残り試合数を考えればほぼ16位以上は無理で降格は99%間違いなかった。しかし17位の Hertha Berlin と16位のKölnとの勝点はわずかに1.第32節の結果いかんではKölnが自動降格圏内に陥落してしまう。Kölnサポーター達からすれば最下位の Kaiserslautern の先制は大歓迎と言ったところだった。
この途中経過に勇気付けられたか?その直後からKölnの攻勢が続く。31分には Jajalo が正面からシュート気味にStuttgartゴール前に放り込むが右ポスト前に走り込んだ Clemmens は僅かに届かない。 32分には酒井が上がった後ろに侵入され Jajalo が今度はシュートに持ち込むが弾道弱くGK Sven Ulrich の正面に。 34分には左サイドにボールが流れ酒井と Podolski が競り合いながら追い掛けるがタッチラインの寸前で Podolski がボールを奪い中の Jajalo に入れ再びゴール前に走り込んで受けた Podolski が強烈なショットを放つがDFに当たりCKに。酒井と競った Podolski は最後は酒井を突き飛ばしていたのでファールになってもおかしくないプレーだったけど….. そして前半終了直前、またも私がひやりとするシーンが。 酒井がPA内でクリアーしようとして蹴ったクリアーボールが弱くしかもエリア内で Podolski に拾われシュートを撃たれる。幸運にもシュートはポストの左に外れて行ってくれたがゴールが決まってもおかしくない至近距離だった。またも周囲の人達から サカィィィィィ~と注意された。 これはイエローカードものの注意勧告だろうなぁ….と思った。



日本選手の活躍を期待と言うよりも失点に絡まないでくれよぉ~との思いが強くなるハーフタイムであった。
そしてハーフタイム中に伝えられた途中経過で Kaiserslautern が追加点を挙げてリードを広げたことが知らされ大歓声が上がった。



両軍交替選手無しで始まった後半。開始早々酒井がクロスを入れそこからCKのチャンスを得る。そのCKは得点にはならなかったが前節の様な活躍を期待する。そしてピッチの外でアップを続ける控え選手の中から岡崎はいつ Bruno Labbadia 監督に呼ばれるのかと何度も目を向ける。
しかしその後から主導権を握るのは後半から再び Podolski のワントップに戻したKöln。48分には左SBの Eichner が攻撃参加しシュートを放つが GK Ulrich がナイスセーブを見せる。 
そして49分52秒。  Jajala から中央でボールを受けた Podolski が右サイドにミドルパスを送るとフリーで受けた Peszko がStuttgartゴールに蹴り込みホームのKölnが先制ゴールを決めた。 
GK Ulrich もDF陣も Podolski がシュートを放つと思ったのかもしれない。 Peszko のシュートも見事だったが Podolski のパスもシュートの様に素晴らしい弾道で Peszko に渡ったので誰も Peszko にマークが付けなかった。






先制ゴールを喫したStuttgartは57分2列目左のポジションを Julain Schieber を下げてドイツ代表歴のあるCacau を投入すると早速彼の持ち味であるドリブルが冴え渡る。59分にはドリブルシュートを見せるが GK Rensing がストップ。 そして10分後の69分には Harnik に替って岡崎が投入された。いつの間に呼ばれたんだろう…



これで前線は Ibiservic と Cacau の2トップとなり岡崎は2列目左に入りボランチの Hajnal が中盤まで上がって来る様になった。 65分には Cacau のドリブル突破から右サイドを抜け出した酒井にボールが渡り至近距離からシュートを放ったが GK Rensing が身体を挺してブロック。惜しいチャンスだった….
そして71分攻勢を続けていたStuttgartは Ibisevic のスルーパスに抜け出た Cacau が右側からドリブルシュートをファイサイドに放つとポストの内側に当たってゴールラインを越える同点ゴールを決めた。
周囲の人達が一斉に立ち上がりみなハイタッチをかわす。私にも求められた。



Cacauは前節でも投入されてから3分後に上述したように酒井のクロスからヘッドを決めており、何とか負傷から復帰し6月から始まる EURO2012 の選出にアピールをしていると Die Kicker 誌に書かれていた。
しかし同誌には Ibisevic が加入後スタメンポジションを失ったらしく今のチーム事情ではドリブラーの Cacau よりも前線を張る Ibisevic の方が良いらしい。 
だけどこの試合は Cacau が投入されてから流れががらりと変わった。 
同点にされたKölnは79分 Jajalo と Peszko の2人を下げて MF Kevin Pezzoni とアルバニア人FW Odise Roshi を投入する。2列目右に Pezzoni が入り前線を Podolski と Roshi の2トップにした。
するとStuttgart ベンチもCB の Tasci を下げてメキシコ人DF Maza を投入。そして2列目の右に岡崎が左から回って来て右にはボランチの Gentner が入って来た。





岡崎は中盤を縦横に動きボールの出しどころを増やしていたそして Cacau のドリブルも冴え、特に右サイドを酒井と岡崎で突破してくる場面が増えStuttgartの逆転ゴールが期待された。
しかし自動降格圏内への陥落を避けたいKölnも必死、特に CB の Pedro Geromel が何度も身体を張って Cacauをマークする。 前半のセットプレー時には何度かStuttgartゴール前に上がって来ていた。
Pedro Geomel は翌週手に入れた Die Kicker 誌にはこの試合の Spieler des Spiels に選ばれていた。
岡崎も何度か相手PA内に侵入したのだけどシュートに持ち込めない….
そして主審のタイムアップの笛が鳴った。 岡崎がいつまでも悔しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。
この試合の勝点1の意味はKöln、Stuttgart 共に違ったものだろう…



私は周囲の何人ものStuttgartサポーター達と握手をして競技場を後に宿泊先に急いだ…..

ホテルの近くのバーでは Dortmund vs Mönchengladbachの試合が中継されていた。
Dortomund がリードをしていた。
そして El Clasico のテレビ中継はホテルの中で見られるチャンネルでは見る事が出来ず、近くのバーにでも行こうか…と思ったけど急に疲れが出て来た見たいで午後9時過ぎには眠ってしまった…..

翌朝、 Dortmund の優勝と試合を決定付けるゴールを香川が決めた事を地元局のニュースで知った。
こっちにしとけば良かったかなぁ….ちょっと高めに払えば観戦出来たかなぁ….と後悔の念が少し出て来た…

Die Kicker 誌の酒井の評価は4、岡崎は評価無で Cacau は2の高評価。
評価3.0 の Podolski はもう来シーズンから Arsenal への移籍は決まったと報じられていた。そして実際に正式
に発表された。 
Kölnは翌週 SC Freiburg に 1-4 で敗れたが Hertha BSC も Schalke に 0-4 で敗れ“降格争い”は最終節に持
ち越される事となった。 Hertha はHoffenheim , KölnはBayern München が相手だ。
StuttgartはアウェーでBayern München と対戦した。この試合は酒井、岡崎だけでなく前節に続いてBayern Münchenは宇佐美を先発させ日本人選手3人がスタメンに名を連ねた。
Die Kicker 誌にも Premiere : Drei Japaner と日の丸と共に見出しが出てこの事を数行報じていた。
しかし肝心の評価は岡崎、酒井が共に 4.0 宇佐美が4.5 。岡崎は80分にSchieber と、宇佐美は57分に Schweinsteiger と替ってそれぞれベンチに下がった。
試合の翌日から私はドイツを離れた。欧州内にいたけど翌週再びドイツに戻るまでだったけど Die Kicker 誌は手に入らなかった。ネットで見た日本の Web Site では香川の“移籍騒ぎ”が報じられていたがそんな時ほど隣国のドイツで情報を仕入れたいなぁ…..と思った。

それにしても何と言う寒さだろう…..

そして滞在を重ねスイスのチューリッヒに辿り着いた日、Kölnの5回目の降格を知った。 Hertha の入れ替え戦の相手はどこになるのだろう....









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