終了直前、怒涛の攻撃で奇跡の同点劇を演じ、PK戦に持ち込んだ大阪代表の関西大学付属第一高等学校。しかしPK戦はファインセーブを連発する青森山田高校GK櫛引君の前にゴールネットが遠い。4人目を終わって2人のPKが止められ 2-3 とリードを許していた。
そして青森山田5人目赤坂君がボールをセットする。彼が決めれば関大一高の敗退が決まる。しかし長い助走から赤坂君が撃ったボールはゴールポストに当たりそのまま左に外れて行った。関大一高応援団から大歓声が上がる。私も拳を握った。
しかし次に蹴る梅鉢君が外せば青森山田の決勝進出となる。だが決めれば反対にこのPK戦で関大一高が優位に立てると思った。
梅鉢君がアップになる。ちょっと不安そうな表情。気になったなぁ…目がゴールの左側を何度か見る。こっちに蹴るのかなぁ…. 前の横川君は右側に蹴って決めた。しかし最初の小島君と2番目の久保君は左に蹴って止められている。PKはまず入るものと素人は思うのだけどこういう舞台では難しいだろうなぁ…梅鉢君が助走から蹴った方向は左側。すると櫛引君がまたもドンピシャのタイミングで右側に横っ跳びでライナーの弾道をブロック。この瞬間青森山田高校の決勝進出が決まり、大阪勢36年振りの決勝進出の夢が潰えた。
しかし大阪出身の私は本当に久し振りに地元高校がここまで躍進してくれて例年以上に大会を大いに楽しめた。関大一高サッカー部そして関係者に本当に感謝しなければならない。
1月5日 関西大第一 4-1 藤枝明誠
関大一高が勝って大阪代表校が全国高校サッカー選手権大会で準決勝に進出するのは私が中学生の時以来32何年振りになるのかぁ…試合前にこう思った。
32年前、病院に入院中だった私は北陽高校が準決勝で東京代表の帝京高校と激戦を演じていた試合を当時入院中だった私は病室のベッドの上で他の入院患者さん達と共にテレビ観戦していた。
北陽は優勝した帝京高校に 0-2 で敗れた。帝京には後に日本ユース代表、そして日本代表にも入った宮内聡がおり、同様にユース代表とフル代表にも選ばれた浦和レッズでもプレーした名取篤が1年生で出場していた。余談だがとんねるずの木梨憲武氏も当時帝京サッカー部1年生だったらしい。
北陽高校には後に読売クラブに入団したGK 中村和哉がいたと思う。野球では何度も全国優勝しているのに何故かサッカーで勝てない大阪代表校…毎年比較的早く姿を消していたなぁ….
今大会、大阪代表は関西大学第一高等学校。私の高校時代は偏差値の高い男子校と云うのが印象。付属中学から入学した友人もいた。大学時代、関西では屈指の長距離選手が関西大学にいて彼は付属の関大一高出身だった。しかしサッカーの強豪と云う印象は無かった。だが今大会で出場は既に3回目。時代は流れているんだなぁ…と思った。
首都圏開催になって以来、大阪勢は特に関東勢には弱かった。1979年度大会から4大会中3大会、初戦で神奈川県代表の旭高校と当たり1敗( 1981年度 清風 )2PK負( 1979年度北陽、1982年度摂津 ) 。北陽高校は帝京高校に5連敗 ( 1977, 1984, 1985, 1987,1994 ) 我が故郷から参戦した高槻南高校は浦和市立 ( 1983 ) 古河一 ( 1986 ) に連敗。だが1993年度に2回戦で強豪市立船橋を“アウェー”でPK戦の末に降した時は非常に嬉しかった。
関大一高も神奈川県代表の逗葉高校と田中達也を擁した帝京高校の関東勢に連敗中だった。しかし今大会は2回戦で茨城県の鹿島高校、3回戦では優勝候補の千葉県、八千代高校の関東勢を連破しての準々決勝進出。関大一高が大阪代表の存在感を見せてくれて嬉しかった。
続く準決勝進出を賭けた対戦相手は静岡県代表の藤枝明誠高校。静岡県代表と云うよりも藤枝と言えば一昨年の大会で準優勝を果たし、かつては中山雅史が在籍した藤枝東高校が有名。
1973年度、大阪代表の北陽高校が藤枝東高校を破り全国優勝を果たしたが、この試合は藤枝東高のゴールがオフサイドで取り消されれた判定が疑惑の判定と言われ大会後物議を醸した。
http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/59b0b663e5f1131c5ce40325ab94aa63
それ以来、大阪勢が全国大会で好成績を納められないのは藤枝東の呪い、と私は勝手に決め付けている。
藤枝明誠は2回戦で強豪国見高校を 4-1 と圧倒している。サッカー処の静岡代表。しかも藤枝から、そして国見を破っている…..大阪代表の快進撃もここまでか….と試合前には勝手に悲観的な思いしか描いていなかった……
前半 関大一高先制!!
藤枝明誠のスタメン2日前に行われた3回戦の岐阜工業戦と同じメンバー。
今大会は1回戦からの登場なので6日間で4試合目となるがDF 増田君以外は全選手が4試合連続スタメン。そろそろ疲労が出てくる頃。それが関大一のつけどころか?だが静岡県大会の決勝戦で負傷し、選手権ではまだ出番のない藤枝明誠のエース小川君がようやくベンチ入りを果たす。エースがどこで投入されるか….
3回戦で優勝候補の八千代を破った関大一もメンバーを替えずにこの試合に臨んだ。だが関大一は2回戦からの登場なのでこの試合が3試合目。
開始45秒、藤枝明誠 MFの飯塚君が右からクロスを入れるがこれは2年生GK樫根君がキャッチ。さすが全日本ユースベスト8。関大一はインターハイ大阪府予選ではベスト32で敗れたので選手権の大阪府大会ではシードされずそこから勝上がって来た。だが関大一は特徴である豊富な運動量を生かす。両サイドで相手選手が持つと素早く2人、3人で囲みこんだり、素早い1歩の出だしで藤枝明誠にボールを上手く持たせなかったり繋げさせなくする。 4分には久保綾祐君が左サイドでドリブル突破し入れたクロスにMF濱野君がシュートを放つ。12分41秒には久保開立君の得意のロングスローから放たれたシュートは GK 甲斐君の正面。17分30秒には久保綾佑君がエースらしくドリブルシュートを見せる。テレビ解説によると静岡と大阪の選手権での対戦はこれまで9試合あり静岡の5勝4敗らしいが最後の対決は何と32年前、大阪勢が最後にベスト4に進出した北陽高校が初戦で浜名高校にPK戦で勝利を収めた試合。この30年間の戦績を見て大阪勢が静岡勢と対戦する前に敗れて直接対決が実現しなかったと言えるだろう。
22分藤枝明誠MF 辻君のドリブルを梅鉢君がフォールで止めてFKを与える。そのFKを右に流し藤原君が放ったミドルはわずかにバーの上を越えたがこれが藤枝明誠最初のシュートだった。ここから藤枝明誠はワントップの安東君への寄せが早くなり関大一ゴール前に迫るシーンが続く。 28分には安藤君がヘッドで落としたころを大山君がDF2人の間から放ったシュートはGK樫根君が右に倒れ込んでセーブ。29分には左サイド鈴木君がドリブル突破、三浦君のマークを振り切り入れたクロスは僅かにゴール前の安東君に合わなかった。これが合っていれば周りに2人のフリーの藤枝明誠の選手がいたので決定機となるところであった。
主導権を奪われそうな関大一であったが、30分に待望の先制ゴールが決まる。
濱野君からボールを受けた久保綾佑君がスルーを出し三浦君が撃つがここはGK甲斐君がクリアーしCKに。そのCKを中央から小島君がヘッドで藤枝明誠ゴールに捻じ込んだ。久保綾佑君の動きにDF2人がつられ小島君をフリーにしてしまった。
先制ゴールの興奮が残るなか32分、関大一が追加点を挙げる。久保開立君のロングスローを三浦君がヘッドで藤枝明誠ゴールに押し込んだ。その前に関大一小島君と競った藤枝明誠 DF増田の頭に当たったボールが三浦君の前に弾んだという幸運にも恵まれた。関大一にとっては願っても無い展開となった。
35分藤枝明誠ベンチはMF飯塚君に替えて2年生の松村君を投入する。1回戦の徳島商戦以来の出場だ。それでも関大一は三浦君、梅鉢君が連続でミドルを放つなど主導権を渡さない。中盤で相手ボールをよく奪うシーンが目立つ。だが終了直前、藤枝明誠はFKのチャンスを得る。このFKは相手DFに当たるが、こぼれ球をカウンターに持ち込まれそうになる前に辻君がインターセプトしそのまま約40mの位置から放ったロングシュートが関大一ゴールの右上隅に決まり1点差とした。
そしてそれと同時に、前半終了のホイッスルが鳴った。
リードされているとは言え藤枝明誠にとっては最高の時間帯でのゴール。関大一にとってはリードしているという実感が吹き飛ばされた瞬間だっただろう。
走り勝って 32年ぶりの大阪勢 Semi Finalist !!
後半、両軍ベンチは選手交替は無かったが、42分入ったばかりの松村君が下がりスピードで定評のある阿部君が入った。松村君は39分、クリアーボールを顔面に受けそのまま目を痛めてしまったらしぃ。 この交替は藤枝明誠ベンチにとっては誤算だっただろう。この時間で交代枠が1人となってしまった。いつエースの小川君が投入されるのだろう…
こういう展開だと次の1点をどちらが奪うかによって戦局は大きく左右されると思った。立ち上がりこそ藤枝明誠がボールを支配するが43分にスローインから繋いで久保開立君がシュートに持ち込んでからは関大一高の攻勢が続く。 44分には久保綾佑君がロビングボールをCB藤原君と競りながら放ったシュートはGK甲斐君がストップ。48分には久保開立君がドリブルシュートを放つがこれはサイドネットを直撃。55分にはカウンターから左サイドでスルーパスを受けた久保綾佑君が中に入れ梅鉢君が撃つがここはDFがブロック。そのこぼれ球を拾った小島君が中の和田君に送るがその前にDF山本君がヘッドでクリアー。
藤枝明誠は時間が経つにつれ球離れが悪くなるがそれは関大一高の選手の戻りやマークが早くボールの出しどころがなかなか見つからない為。交代出場の阿部君が右サイドを何度も突破するが関大一DF陣の戻りが速く充分なフォローが出来ない。それに足に不安のあるFW安東君の動きに切れが無くなって来た。相当足が痛いんだろうなぁ….. 関大一高より1試合多く戦ったその疲労が徐々にのしかかってくる時間だったのかもしれない。
そして62分、関大一が欲しかった追加点を挙げる。左CKに囮となった横川君が飛び込みそして久保綾佑君がDF2人を引きつけファーサイドにフリーでいた小島君にそのまま渡り頭で押し込んだ。
これで関大一のベスト4が一気に近づいた、と思うも相手は王国静岡県の代表校。まだ18分残っているので次に失点し1点差にされると… そしてベンチに控える小川君がいつ投入されるか気になった…
しかし70分、大山君に替って最後に投入されたのはDF登録の長身の向田君だった。最前線においてターゲットとなるのだろう。しかし中々関大一DF陣を破れない。77分には少し位置を下げた安東君が右サイドからミドルを放つがゴールには至らない。このまま関大一が逃げ切りかと思った78分右サイドからの崩しに最後はエース久保綾佑君が正面から今大会初ゴールを決め、勝利を決定付けた。 73分と74分には連続でシュートを放ちDF八木君、GK甲斐君に止められたエースがついに決めたゴールだった。
藤枝明誠の選手達の落胆は隠せない。時間はまだ残っているが得点差の方が多い。奇跡が起こってもここから追い付く事は考えられない。だが選手達は最後まで必死にボールを負う、中には涙をこらえながら走る選手も。その姿が印象的だった。
そしてホイッスルが鳴った。勝って32年振りの大阪勢ベスト4進出を決めてくれた関大一高には本当に感謝の気持ちで一杯だった。藤枝明誠のエース安東君が倒れこんで立てない。相当脚が痛いのだろう。関大一高の選手何人かが彼に肩を貸す。
素晴らしいシーンだった。感動した。
スタンドには多くの部員や生徒達ら応援団が陣取る。
3年生もたくさんいるんだろうなぁ….と思った。彼らの為にも頑張っているのはどこのチームの選手も同じだ。
そしてチァーガール達の姿も。あぁ男子校だった関大一高も共学になっているのか。俺の母校も男子校から共学になっている。何でもっとはやく共学にならんかったんやろう….( 関係無いか??)
この次は36年振りの決勝進出を果たしてほしいと思った。 準決勝戦に続く……
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初めておじゃましました。
それにしても関大一校のラストの追い込みは鳥肌が立ちました。
テレビ中継で関大一の監督がJRの事故でお亡くなりになった女子生徒の写真を懐に入れていらっしゃることが紹介され、その直後からの素晴らしい攻撃でした。
ほんとうに良い試合でした。お疲れ様です!!