11月17日。ある英国紙に下記の様な見出しが躍った。
NOW GET US TO THE FINALS ! ( さぁ今度は我々のファイナルだ。)
イスラエルが終了間際のゴールでロシアを 2-1 で降し、 England が21日の最終戦、ホームでのクロアチア戦に勝利すれば来年開催される EURO 2008 への出場権を得るところまで生き返って来たのだ。10月17日 Moscow のLuzhniki Stadium で行われたロシア戦ではルーニーのゴールで先制しながら69分に ルーニーが Zyrianov を引き倒してPKを献上。これをPavlynchenko に決められ、4分後に Zhirkov のパスを受けた Bereztsuki がPAのすぐ外ゴール正面やや左側からミドルを放つ。一旦は GK Robinson が弾くもこぼれ球を詰めていた Pavlynchenko が押し込んで逆転。短時間内でゴールを重ねるのはヒディングマジックか?
この敗戦により ロシアが勝点21となり勝点23の England には及ばないものの、試合を2つ残しており、しかも対戦相手がイスラエルとアンドラと格下な事から England は最終戦のクロアチア戦で勝っても来年の EURO 出場は絶望的との予測が容易に立てられた。
それでもイスラエルは昨年10月7日、Moscow の Dynamo Stadium でロシアに 1-1で引き分けており、 McClaren 監督は“テルアビブでイスラエルに勝つ事は容易では無い。彼ら(イスラエル代表)のプライドに期待する”とのコメントを残した。 England は今年9月8日にウェンブリーでイスラエルを 3-0 で破っているが3月24日はテルアビブで 0-0 と引き分けている。
かつては AFC に所属し、1970年メキシコワールドカップそしてモントリオール五輪にアジア代表で出場しているイスラエル。もしイスラエルがそのままAFCに所属していればアジアの勢力図は大きく変わっていただろう。
大観衆を含んだテルアビブの Ramat Gan Stadiumの後押しを受けてイスラエルは開始10分 Barak Itzhaki の針穴を通すようなスルーパスが前線の Elyaniv Barba に通ると、そのまま持ち込んで放たれたショットはロシアGK Vladimir Gablov を破って先制ゴールを挙げた。 この先制点に England 中が沸いた事だろう。
しかし61分、ロシアは Kostantin Zylianov がゴール前中央、PAの直前でボールを受けると左の Andrei Arshavin にはたく。 Arshavin はされに左から走りこんで来たDiniyar Bilyaletdinov に送り、 Bilyaletdinov のショットはイスラエルゴールの右上隅に突き刺さり同点とする。だがこのまま終わってもロシアは勝点で England に届かない。ロシアも勝利が欲しいとことろであった。だがMcClaren 監督の言うプロフェッショナリズムを見せたのはイスラエル。 ロスタイムも2分が過ぎ、引き分けが濃厚となった時間に先制ゴールを挙げた Balba から絶妙のスルーパスがフリーのOmer Golan に通り、 Golan はそのまま持ち込んでシュート決めてイスラエルが土壇場でリードを奪い返した。
大騒ぎの Rmat Gan Stadium。その直後も右から上げられたクロスに Albarman がジャンピングボレーで合わせるがこれはGK Gabarov がファインセーブで追加点を阻んだ。そしてタイムアップ。 この試合でロシアは England に勝点で追い付けず、England は最終戦、ホームでのクロアチア戦で勝てば EURO2008 に進出出来る所まで生き返った。この試合を Watfold にある代表チームのホテルで家族と共に生中継のテレビ観戦をしていた McClaren 監督はイスラエルのプロフェッショナリズムを称賛すると共に、崖っぷちからの生還を喜ぶコメントが地元紙に躍った。そして試合終了10分前から洗面所にこもり試合を見られなかった事が新聞に掲載される。そして彼の息子の歓声が聞こえ、試合が終わったと思った事も。
共産主義国家の名にふさわしく?まだまだロシアのプロフェッショナリズムはイスラエルより経験は浅かったのか??
ロシアの最終戦はアウェーゲームとは言え弱小のアンドラ。誰が考えてもロシアが勝点3を稼ぐ事は容易な事。しかし England は最終戦のクロアチア戦で引き分けさえすれば予選通過が決まる。この状況を地元マスコミは2001年のワールドカップ予選のホームでのギリシア戦を引き合いに出す。最終戦、試合はロスタイムに入っても 1-2 とリードを許していたが、終了直前、あのベッカムのFKが直接ギリシアゴールに決まり、フィンランドと引き分けたドイツを抑えて本大会出場を決めたのだった。
終了間際 不可解な判定で….Scotland
しかし同日の英国紙には Scotland の EURO 敗退が決まった試合も報道された。 “ Last-gap agony as Scotland dream dies ( 最後の息絶えつつ Scotland の夢潰える ) “ 私がワールドカップに興味を持ちだした1970年代中頃、英国4協会と言えば西ドイツ、アルゼンチン両大会の欧州予選で消えた England よりも Scotland だった。しかしワールドカップでは1998年フランス大会以来、EURO では 1996年 England 大会以来、Scotland はメジャーな大会(といっても欧州選手権とワールドカップなんだけど)は地区予選で敗退している。今もしワールドカップで同じ組となっても日本はいい勝負をするのではないか?本当に隔世の思いだ。
今回の欧州選手権はワールドカップの優勝国イタリアと準優勝国フランスが同居する厳しいグループだったが2006年10月6日地元 Hampden Park に迎えたフランスを G.Caldwel のヘッドで1-0 で破るなど3連勝のスタート。その後ウクライナ、イタリアにアウェーで敗れたものの、9月12日 Parc des Princes で再びフランスを McFadden のゴールで1-0で葬る。フランス代表ドメネク監督の“ラグビーのワールドカップのおかげでピッチが荒れていた。”と言う言い訳にならない言い訳が虚しいパリをあとにし10月13日、今度はウクライナをホームの Hampden Park で破り勝点を24に伸ばし、イタリア(勝点23)フランス(勝点22)を抑えてトップをキープ。4日後、アウェーで Georgia を降せば久々の Major Championships が目前に迫ると事であった。しかしここでまさかの 0-2 の完敗。それでも最終戦のイタリアをホームで破れば EURO が決まるところであった。
11月17日。雨の中のHanmpden Park に立ったアズーリ達はスタメン11人中ワールドカップ決勝戦のスタメンだったのは約半分の6人。もう1年5カ月前なのか。まだ1年5カ月前何のなのか….. 雨の中試合は開始直後、イタリアの Luca Toni が先制ゴールを決める。 Zambrotta のスローインをPA内で受けた Di Natale が そのまま低い弾道で入れたクロスにフォーレンチーナの Toni が合わせたもの。しかし Di Natale のクロスも見事に Scotland DF陣の間を抜けて行った。
しかし気を取り直して Scotland は勝利を目指す。Hutton のヘッドは数センチ外れ、 Di Natale のゴールインはオフサイドの判定に救われた。そして前半終了直前のDavid Weir のシュートはGK Buffon を破ったがゴール前に戻った Pirlo がヘッドでクリアー。そして65分 50,301 人の殆どを占める大観衆が怒涛の歓声を上げる。 Hutton の粘りからFKを得て、McFadden の入れたボールを McClloch がシュート。 GK Buffon が弾いたがそのこぼれ球を詰めていた Barry Fergason が押し込んで同点ゴールが生まれた。 Fergason はよくオフサイドにならないポジションを確保した。
その後交替出場の Kenney Miller が入れたクロスに McFadden が合わせる絶好のチャンスが、そして誰もが逆転ゴールと思ったシュートはゴールネットを揺らせられなかった。そしてロスタイムに入った91分、もう引き分けかと思われたその時 Scotland 中が悲劇で覆われる。それまでMVP級の活躍を見せていたAlan Hutton が Giorgio Chiellini に倒された様に見えたがスペイン人の Gonzalez 主審はイタリアに FKを与える。そしてPirlo が入れたFKに Panucci がヘッドで合わせイタリアが追加点を奪い勝負を決めてしまった。
そしてこの試合で全日程を終了した Scotland の勝点は24 のままでイタリア勝点26, フランス勝点25で両国を下回り、またも涙をのむことになった。
試合後 Scotland McLeish 監督は“審判の事で問題は起こしたくは無い。”と前置きした後で“ Hutton が倒されているのになぜイタリアにFKが与えられるのか?”と怒りは隠せない様だ。そして“我々が寒さに耐えている試合開始直後にイタリアは見事な立ち上がりを見せた。しかし我々は今夜やるだけの事はやったつもりだった。それは壮大な努力とファン達の支持だった。そして今日の選手達はこの日のパフォーマンスから多くの感動を与えた。そして我々は多くの事を学んだ。”とのコメントを残した。8日後南アフリカ Durban で行われたワールドカップ予選組分けで Scotland は Group 9 にオランダ、ノルウェー、アイスランド、マケドニアと共に組み入れられた。欧州の神がもう一度 Scotland にチャンスを与えたのだろうか?
だが11月28日の英国紙でScotland 代表監督の座を続投が確実と言われていた McLeish 氏が Birmingham City との契約に合意し代表監督を辞任すると発表した報道が。2年後南アフリカでタータンチェックの Scotland サポーターを何人見られるのだろうか???
英国紙 International Express の採点は下記の通り。
Scotland: Gordon, Hutton 6, Weir, McManus 6, Naysmith 6 , Brown 6 (Miller 74, 6 ), Fletcher 6 , Hartley 6, Ferguson 7, McCulloch 6 (Boyd 90), McFadden 7 . Subs Not Used: McGregor, Alexander, Caldwell, Pearson, Robson.
Italy: Buffon 6, Panucci 6, Cannavaro, Barzagli 7, Zambrotta 7, Camoranesi 6 (Chiellini 83), Gattuso 8 (De Rossi 87), Pirlo 7, Ambrosini 6, Di Natale 7 (Iaquinta 68, 6), Toni 7 . Subs Not Used: Amelia, Oddo, Perrotta, Gilardino.
21日 もし England がクロアチアに敗れてしまえば来年のEUROは英国勢が全滅となってしまう….. 続く
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます