Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

雨中の“さいたま激戦” 日本単独首位で最終予選へ

2008-06-26 | 夏季五輪
既に88分を過ぎていた。ロスタイムは長めにありそうだから短く見積もって5分は残っていると思ったがピッチの上ではなかなか均衡が破れそうにない。更にスタンドからは “こんなんじゃリベンジにならないわよぉぉぉ・・・・・”という声も漏れて来て焦燥感が募りだす。もうロスタイムに入るかな….と思うとバーレーンゴールに向かって大きくボールが跳ねる。そこに10分程前に投入された巻が飛び込んで行くのが見えた。巻はボールに触れる事が出来なかったがなんとボールはそのままバーレーン GK Mohamed Jaafar の頭を越えてゴールに吸い込まれていった。これまでの欝憤を爆発させるような大歓声がさいたまスタジアム2002を包む。スクリーンには内田が相手クリアーボールをヘディングし、それがそのままゴールインとなったのが映し出された。そして巻の動きには11年前タシュケントでのウズベキスタンとのワールドカップ予選で起死回生の呂比須の同点ゴールを導き出したキングカズの動きを思い出した。隣で先制ゴールを喜んでいる息子を見てその事を説明する…..あれは君がまだ2歳になる直前のことだった……….でもあの時のほうがもっと切羽詰った状態、あそこでああいう動きを演じられるカズはさすがだったなぁ….改めて思った。

6月7日、マスカットでオマーン相手に 1-1 で引き分けた後、6月22日さいたまスタジアムで行われるバーレーンとの最終戦のチケットを買いに行った。ワールドカップ予選の観戦は19年前インドネシア戦以来。その次のワールドカップ予選から日本人のワールドカップに対する興味は激変しワールドカップ予選のチケット入手が困難を極める様になったのだった。そしてこのバーレーン戦は代表の試合では初めて息子と二人親子観戦となる事に。 週刊天気予報は外れこの日は昼前から雨が。雨脚は夜になっても止む事は無かった。入場門でのチェックの厳しさは(と言うよりも時間の掛け方?)は先日のレッズ対ガンバ戦の教訓か?? 日本らしいなぁ….おかげでスタメン発表は競技場の外で聞き(マチャラ監督へのブーイングも外まで聞こえたぞ。) 着席出来た時は選手入場の直前であった。カテゴリー2の29列目の席は屋根の下で雨の心配は無く、“見心地”については “なかなか良いじゃん。” という息子の褒め言葉を賜った。両国選手団入場に続き秋川雅史氏の国家独唱、来賓への選手達の紹介を終えてキックオフとなった。

  


雨はまだ降り続けている。スクリーンのスタメンをメモりフォーメーションの確認をしようとした開始5分、ハーフウェーライン付近から前線へのロングフィードに走り込んだ佐藤寿人にマークに入ったバーレーンDF S. Mohamed Adran が振り切られる直前に佐藤の足を引っかける形となり佐藤が転倒、ウズベキスタン人のイルマトフ主審はすかさずスポットを指さし、俊輔がボールをセットする。息子が携帯でピントを合わせる。俊輔よ4年前ここさいたまで相手は違うがPKを止められた悪夢を払拭してくれ,と思うが右に蹴ったボールはドンピシャのタイミングで GK Jaafar に止められてしまい、さいたまスタジアムに悲鳴が走る。あぁ絶好の先制機だったのに、でももしオマーン戦でPKを蹴ったのが遠藤でなくて俊輔だったらと想像すると少し背筋がぞっとした。 

“上手く撮れたか?”息子に聞くと“撮れたけど失敗したジャン。”と少し残念そう。“そっちも(動画)録れた?”の問いには“録れたけど失敗したジャン。”と答える。まだ余裕があった、というか試合そのものが消化試合なので余裕なのだろう。でも最終予選ではPKは誰が蹴るのだろう??  

前節で既に日本とバーレーンが最終予選進出を決め完全な“消化試合”となってしまったバーレーン戦。バーレーンの来日メンバーが完全な“1軍半以下”構成そして遠征メンバーが少ない事に非難のコメントを寄せるマスコミ達だが予選は終わった訳では無く次のステージを考えれば主力が警告を受けたり怪我でもするリスクを回避する来日メンバー構成は当然のこと。マチャラ監督が1日遅れで合流し試合前に秋葉原で買い物をしていた事まで報道されていた。もう少し早ければ歩行者天国だったのに、いや、あのおぞましい事件に巻き込まれていたかもしれない……..
バーレーンのスタメンにはエースの Aala Hubail, ゲームメーカーの Yusuf Salmeen はいなかった。長身CB Mohamed Adran こそスタメンに入っていたが3月の試合でベンチ入りして途中出場しなかった選手を含めてもこの日のスタメンには5人の“経験者”しかいなかった。 そしてGK S.Mohamed Jaafar を含め先の五輪予選に出場した選手もいた。

しかし日本もマナマでの“スタメン出場選手”でこの試合もスタメンだったのは中澤、憲剛そして安田の3人だけ。俊輔、遠藤そして闘莉王抜きの布陣ではアウェーのバーレーン相手で苦戦したのもやむなしか?? 警告を受けた長谷部、駒野がベンチから“外れた”のでこの試合は佐藤寿人、本田圭祐そして内田がスタメン入りを。  立ち上がりのPKを先制点に結びつけられなかったが試合は日本が主導権を握り続ける。15分には俊輔から絶妙のスルーが出るが僅かに玉田が追い付けなかったがやっぱり俊輔はちがうなぁ…PK外したけど。 この日の最前線は玉田が左右に流れ、佐藤が縦に突破して来るので相手DFラインも後手に回り後方から特に内田がよく上がって来る。それにつれてファールを貰いFKの度に闘莉王、中澤が上がって来る。28分、34分には俊輔から内田にスルーが送られ28分は玉田の、34分には中澤に繋いでシュートシーンを演出する。バーレーンは37分にスローインから上げられたクロスに Salman Isa がヘッド、40分には右サイドバックの Faouz Aaish がミドルシュートを放つがゴールに至らず前半のチャンスはその2回のみであった。シュートを放った両選手は共に3月の日本戦に出場した選手達。 45分、日本は2回目の決定機を迎える。ゴール正面で得たFKを遠藤が直接狙うとクロスバーを直撃そのこぼれ球に本田圭祐が詰め寄るも無人のゴールにボールを入れる事が出来ずにまたも絶好機を逸してしまった。

試合内容は押すものの1軍半以下の相手に前半は無得点。後半何とか早い時間に点が入れば、さもなくば守り切られてしまう様な気もした。しかし後半は立ち上がりからバーレーンがやや攻勢に。2列目右サイドの Abdulla Omar が本田圭祐が中に入ったり安田が上がった後ろのスペースを突く様になりそこからボールが前線に。 Omar はアフリカ、チャドからの帰化人選手で3月の日本戦にも同じポジションでスタメン出場を果たしている。あの試合は相対する安田が高い位置で日本は3バックだったので安田と今野の間のスペースに何度か入られていた。52分には Faouz Aaish が左サイドから強烈なミドルを放つがここは楢崎がパンチでクリアー。54分には左から Mohamed Abdula が入れたクロスを Abdul Latif と交錯しながら楢崎がキャッチ。攻撃時には一気に人数を掛けるバーレーンのアプローチは日本とは対照的だ。64分に佐藤が下がり山瀬が投入される。これで本田が前線に上がり左の2列目の本田のいたポジションに山瀬が入る。アタッキングゾーンに人を掛ける方策か?しかしその直後にまたもミドルを撃たれて楢崎が何とか横っ飛びでセーブする。折角本田が前に出て来たのだからもっと人数をかけられないか?と思った68分に俊輔が右から左にドリブルで動き山瀬にスルーを送ると山瀬は走り込んだ玉田に送るが惜しくもバーレーンDFがカット。71分には玉田がミドルを放つが、玉田にはもっと前で相手の裏に飛び出すプレーをして欲しかった。攻撃時に相手のPAエリア内、またはその付近に選手が少ない事。6月初めのバンコックでのタイ戦、そして3年前の北朝鮮戦とショートパスをつなぐ動きにバーレーンDF陣は弱い様に思えた。それは中東ではそういう戦術が少なく、それは気候の為だと言う持論があるのだけど…と息子に説明する。

72分には右サイドバックの Abbas Ayayad が下がり3月のマナマの日本戦ではベンチ入りしていた Rashad Al Allan が中盤に入り4バックから3バックに、そして78分には FW Ismal Abdul Latif が下がり Rashed Slaem が入り着々と守備固めに入る。日本ベンチも74分に安田を下げて今野、79分には本田を下げて巻と3月のバーレーン戦に出た選手を入れ更に闘莉王を前線に張らせるがゴールが遠い。時間は過ぎて帰り支度をする人まで出て来た。雨脚は若干弱くなって来た。これなら帰りは少し楽かな、でも少し寒くなってきたな…..そう考えていたらボールが大きくバーレ-ンゴールに向かって跳ね上がった………

ようやく勝利をものにしたが相変わらずマスコミは決定力不足とチームのヴィジョンや方向性が見えてこないとの論評のオンパレード。しかし予選で最も大事な事は確実に勝点を挙げる事でチームの方向性など我々に解らしめる必要は全くないのだ。我々が解るようでは対戦相手に容易に分析されてしまう。それに世界で決定力不足に悩まない代表チームなどいくつあるのだろう???
確かにセットプレーからの得点が多く、FW陣のゴールが少ないのは気にかかるが勝てばいいのである。

どんな相手でもアジア諸国があいてならば85分がちがちに守って5分攻めて1点をとるサッカーをすれば今の日本なら容易に予選突破が可能かもしれない。少なくとも私が望むのは確実に勝つ試合でチームの方向性などは解らなくてもいいのだ。

帰りの車中で試合の事を息子と話をしながら帰途についた、最終予選、またここに観に来たいね…. 再来年南アフリカに行くのは…… そう言う心配は来年にしようか…… いつまで親子でこう言う話が出来るかな??

   


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