ワールドカップの組み分けが決定してはや3週間以上が経過した。
日本では1次リーグの“大予想”が一段落といったところ。それにしても楽観的な予想がどうしてこうも蔓延するのだろう….. 早々と日本のワールドカップが3試合で終わられてはマスコミもネタに困るところ。従って“オランダ戦でさえ勝機あり”とオランダ人が聞いたら嘲笑さえされないジョークとも取られない予想が湧いてくるのだろう…
ベスト4どころか優勝も狙えるEngland ではこの組み合わせをどう見ているのだろう…
高地での対策 England need a head for heights
ワールドカップの組み分けが決まった時 Bookmaker 達はEngland へオッズを一斉に切り下げたが John Terry 主将がワールドカップトロフィーを持ち上げるチャンスは南アフリカの高地にいかに早く順応できるかに懸っている。
England の初戦は6月12日。海抜 1,403m のRustenburg にある Royal Bafokeng Stadium でアメリカ戦が行われる。 そして現地でのベースキャンプ地が重要でまだ Fabio Capello 監督は最終決定を行っていない。彼には二つのオプションがある。 Rustenburg にある新たに建てられる設備か Pretoria 大学構内にある最新設備の揃ったところか。それらは共に海抜 1,200 m のところに存在し高地に順化する為には完璧な場所である。
だが Capello はまだ決定を急いではいない。昨夏彼はアシスタントの Franco Baldini をBritish Lions が高地での準備をどうやっているか調べる為に南アフリカに派遣した。遠征期間中と後に帰国してから England のメディカルチームの代表はこの高度での練習と試合の効果に就いての報告を聞く為に Lions の選手達と会った。
Lions の遠征に同行したArsenal のチームドクターであるGary O’Driscoll はこう語っている。 “選手達はこの高度での試合に慣れるのに10日から14日を要しある選手はもう少し日数を要した。我々は海抜レベルにまで降りる前の2週間を高地で過ごし、その効果は2週間から3週間で無くなってしまう。"
Capello 監督にとって幸運なのはその2週間から3週間の高地で過ごした“恩恵”の間に1次リーグの残りの2試合をこなした後に次の決勝トーナメントに進出出来るする事だ。 アメリカ戦を高地で戦った後に残りの Group C の2試合、6日後の Algeria 戦は Cape Town で6月23日のSlovenia 戦は Port Elizabeth と共に海抜レベルの都市で行われる。もし England がBookmaker の予想通りに Group C を首位で勝ち抜けば決勝トーナメントの初戦は再び高地での“恩恵”にあやかれる Rustenburg に戻ってくる事となる。
南アフリカ入りする前のキャンプ地としてオーストリアの Irdning が採用される事はほぼ確実視されておりここは Capello 自身が以前 Real Madrid の監督時代に使ったキャンプ地でもある。 O’Driscoll は England が現地入りする前に必要な事がここで全て得られると信じている。
“普通のラグビー選手は1試合で9km から10km程度走る。しかしサッカー選手は例えより持続的にそしてあまり爆発的で無いにしろストライカーやディフェンダーは11kmは走る。しかしながら England の中盤の選手は15kmは走るだろう。そしてそれはEngland のコーチングスタッフはすぐにどの選手が高地への順応に最も時間が懸るかを掌握せねばならない。"
O’Driscoll は高地から海抜レベルに降りてくる方がその反対よりもずっと容易だと信じている。 それは大会前の Pre-tournament で対戦予定の優勝候補スペインそしてワールドカップスペシャリストのドイツ戦で解る事だろう。
O’Driscoll の仲間でディフェンスコーチの Shaun Edwards は “薄い空気の中で8日間過ごすその効果は驚くべきものだ。まさに誰かがスイッチを入れた様になる。トレーニングはもちろん容易ではないが一旦順応すればそんなに難しくは無い。"
しかしながら Edwards は適切な準備を怠った時の事を警告する。南アフリカに遠征した New Zealand All Blacks の選手達は現地入り後24時間以内か8日間の順応期間を要してかのいずれかの条件で試合に臨む。
高地トレーニングの恩恵はアメリカ代表のLandon Donovan にも持っていないものではない。 その LA Galaxy の中盤選手は Rustenburg での Group C の開幕戦で England にとっては盗賊団の首領になりうるかもしれない。 Premiership で最も高地にある競技場は West Bromwich Albion のホームで海抜168mに過ぎない。だが Donovan は 海抜 1,500 m のところにあるMLS Colorado Rapids の ホームで試合をした経験を持つ。
“1マイルもの高度は私の経験からすこしは影響を及ぼすが Mexico City ほど劇的なものではない。しかし確かにその経験はアドバンテージにはなる。ワールドカップに向けて多くの事がコントロール不可能だ。組み分け、どこでプレーをするか、誰と相対するのか全てこちらでは決められない。しかし自分で決められる事がコントロールしたい事だ。”
その他の南アフリカの高地でコントロールしにくい事象の一つが大会のオフィシャルボールだ。 海抜レベルでは公式球 adidas の Jubilani は他のボールとは変わらないが高地になればなるほど変化が及ぼされる。 adidas 社と 2002年大会以来共に公式球のデザイン等に取り組んでいるof the Loughborough University の Sports Technology Research Group に所属する Andy Harland博士は 高地ではより遠くにより早く飛ぶがカーブやスピンはやや落ちる。 ボールが飛んでいる時、引力を除くとボールに懸る抵抗は空気抵抗のみだ。だから高地では抵抗が低く遠くに早く飛ぶそして低地に比べてブレーキがかかりにくくスピンがかからない為 ” Beckham スタイルのカーブ“の様なカーブがかかりにくい。カーブの数値を表わすのは難しいがスピードと飛距離は約5%は伸びるだろう。"
高地でのワールドカップと言えばメキシコ大会を思い出す。ただ England はメキシコでは1986年大会マラドーナの神の手により準々決勝で敗れるなど良い思い出が無い様だ。初戦のアメリカ戦は海抜 168m の位置に存在するWest Brom の Hawthorns stadium よりも9倍は高い海抜1500m以上の Rustenburg で迎える事となり,決勝戦に進出すれば更に高い海抜 1,750m に位置する Johannesburg で試合をせねばならない。1970年と1986年のメキシコ大会の事がその警告ともなっている。
1970 quarter-final England 2 West Germany 3 aet (Leon, 1,815m)
England はハーフタイムを迎えてAlan Mullery と Martin Peters のゴールで 2-0 リードをしていた。Sir Alf Ramsey 監督は Bobby Charlton を次戦に備えてベンチにひっこめたがとの途端にFranz Beckenbauer が前線にスペースを見つけ出した。病欠の正GKの Gordon Banks にかわって起用された Peter Bonetti は Beckenbauer ロングシュートの失点を喫し更に暑さと高地のなか攻め立てた西ドイツは Uwe Seeler のゴールで同点に追いつき延長戦に入った。 Gerd Miller の決勝ゴールで1966年大会決勝戦の雪辱をされてしまった。
1986 quarter-final Argentina 2 England 1 (Mexico City , 2,240m)
England の注意深い試合の入りは50分にマラドーナによって台無しにされた。 Jorge Valdano とのワンツーで抜け出し GK Peter Silton との空中での競り合いとなった。Silton がパンチで弾き出そうとする前にマラドーナは手でボールをゴールネットの中に捻じ込んだ。この失点を機に反撃に出るもすぐに 2-0 とされてしまう。マラドーナが今度はドリブルで4人のディフェンダーを抜き去り、大会最高のゴールを決めた。残り時間が10分となり Gary Lineker が1点を返したが時は既に遅すぎた。
1970年大会の準々決勝戦はビデオでしか見たことがないが、地元紙の記事は少し誤りがある。2点目となった Peters のゴールは後半4分に記録されたもので、Bobby Charlton がベンチに下がったのは西ドイツが1-2 とした Beckenbauer のゴールの直後。 しかしこの交替が西ドイツにかなり優位に働いたのは事実で、この大会から選手の途中交代が認められ、西ドイツは当時その"新ルール" を実にうまく使っていたらしい。 GK Banks は”モクテスマの復讐”と言われるメキシコの水質からくる腹痛の為にベンチ入りを出来なかった。
1986年大会のマラドーナの神の手は多くの方がご存じだろう。
England get ready for lift -off
組み分け抽選は願っても無い結果となったが Fabi Cpaello はまだ自分の与えられたワールドカップの好運には完全に満足はしていない….. 世界ランク9位の England が今回のシード国の中では最も良い組み分けに恵まれたと言えるだろう。確かに POT 2 からは最も警戒すべき相手アメリカが Group Cに入って来たが….
しかしながらもし ドイツとアルゼンチンそしてスペインが下馬評通りにグループ首位で1次リーグを通過すれば決勝戦まで England と当たらない(もっとも England も1位通過せねばならないが。) “順当に進めば”恐らく準決勝ではブラジルとの対戦になるだろう。 Capello が心配するのは各クラブのシーズンスケジュールだ。
5月22日にマドリードの Bernabeu で UEFA Champions League の決勝戦を迎えるが、優勝候補の一つスペインは幸運な組分けにより England よりも4日も遅く初戦を迎える事になる。 4日間は疲れをとり戦術を理解し体調を再調整するには充分な時間だ。それが組分けドローのあった日 Capello が微笑みはしたがにこやかに笑って賛意を表さなかった理由だ。
Capello が言うには“問題はもし Premiership のチームが Champions League の決勝戦に進出した場合だ。 二つの事が言える。 もし勝てば選手達は幸福となりそれは精神的に優位に働く。 しかしもし敗れたら、精神的にも肉体的にも回復するには厳しい。” 万が一 Arsenal が Bernabeu まで進出しても Theo Walcot だけが Capello 構想のメンバーに入りそうであるが、2008年の様に Manchester United と Chelsea の2チームが決勝進出する様な事になればほぼスタメン候補11人全員が Capello の元から離れてしまう。
“England 代表候補の選手達の所属するチームが決勝戦に進出し彼らが happy になり精神的にも回復してくれる事を祈る。 もし敗れてもワールドカップまでの期間は短いのでがっかりしている暇もないだろう。それは弁解ではない。ワールドカップでは全ての試合に勝たねばならないし対戦相手をリスペクトせねばならない。大会前に終わった所属クラブでの結果を引きずっている暇はない。ワールドカップは全く別物だ。1次リーグの最初の試合が最も重要だ。しかし私は8人から9人の England 代表候補選手がもし決勝戦にまで残れば、最低でも4~5日間は休養が必要だと思うがそれでも Premier のチームが決勝戦に進出する事を望んでいる。”
クラブシーズン終了後から南アフリカ出発前には Austria の Irding で合宿を行う事を望んでおり、5月29日には恐らく日本相手に Salzburg で調整試合を行う事を予定している。
そしてRustenburg にある Royal Bafokeng Sports Complex に向かうがそこには Football Association が約20万ポンド掛けて改造された設備が待っている。それはテニスコートを取り除き宿舎とグランドの間の見通しを良くし往来をし易い様に間にあるテニスコートを取り除いたり、練習用のグランドの芝生を改善したりされる。海抜1,200m の地にある Bafokeng のキャンパスは Capello が最も重要視している高地への順応に適したワールドカップのキャンプ地では最も高地にあり、故に現地入りする前はアルプスで合宿を張る。
初戦と Group C を首位で勝ち抜けば Rustenburg で試合を行う事が出来、1次リーグでは Cape Town, Port Elizabeth で試合を行う。 Royal Bafokeng Sports Complex は Pilanesberg 空港の近くに位置しており Cape Town や Port Elizabeth への移動は空路までを陸路を延々と旅する必要が無い。
Capello は Slovenia に就いても熟知している。9月の親善試合で Matjaz Kek 監督率いる Slovenia を Wembly で破っているがその試合から相手を見下してはいけないという警告が発せられている。 Algeria に就いては大会までにプレーオフまでもつれ込んだ Egypt との試合を予定している。
“ 私は Algeria に就いて学ばねばならない。なぜなら彼らを知らないからだ。 予選での彼らのゴールシーンは見たが試合全体は観ていない。 我々は Egypt 戦を考えている。なぜなら Egypt は Algeria と最後に戦った国だからだ。
” 準決勝で当たるかもしれないブラジルに就いては“1次リーグでは同じ組みではないブラジルに就いては今は語りたくない。”とのコメントを残している。
1990年ワールドカップイタリア大会以降、 England は準々決勝戦の見えない壁に跳ね返さ、その気ァンンイトルコ、韓国、クロアチア、スウェーデンそしてブルガリアが準決勝に進出してきたたが今回のドローは Capello に大きなハンマーをその見えない壁を打ち破る為に与えられたと言える。ここ数年間 England が失った勝利へのメンタリティーを彼は浸透させたとも言われている。
英国紙から5月29日には日本との調整試合という予想が見られた。 本当に日本がワールドカップに出られるようになったのだと改めて実感する。
日本はスイスの1800m の高地で約2週間に亘り合宿を張るらしい。
そして6月14日の初戦、カメルーン戦は海抜約 1,500m の Bloemfontein , そして19日は海辺の街 Durban でオランダ戦、1次リーグ最終戦のデンマーク戦は England の初戦と同じ高地のRustenburg で行われる。
この試合会場の順番は日本にとっては不利ではない。高地の気温の低いところでカメルーン、海辺の気温の高いところでオランダ戦。 対戦相手3カ国は主力の所属クラブは欧州ベースの選手ばかりといっても過言ではない。高地への調整が大きく結果を左右するかもしれない。
そして England はベッカムがメンバーに入るのだろうか....
私もベッカムの雄姿をワールドカップで観たいです!!
でもスタメンで起用されるでしょうか... でも是非見たいですね。
世界一正確なキックが見たい!!