Mr.コンティのRising JAPAN

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Waitakere United Football 振興の為に……

2007-12-13 | Weblog

3回目を迎える FIFA Club World Cup 。今回は浦和REDSが出場権を得た事によりこれまでとは比較にならない関心が寄せられ、私自身も非常に楽しみにしていた。
“クラブ世界一を決めるのに何故南米と欧州のチームで覇権を争うのですか?”と言う単純な質問に対しては。
“その他の地域とは力の差があり過ぎるのでもう少し力をつけて出直して来なさい。”と言う返答が単純に返ってきたのは5年も前では無かった。
まぁ今でもそう思う人も少なくない上に、 UEFA Champions League こそ Football Club 世界一を決める大会。と考える人(特に UEFA で働く人達??)は多いだろう。しかし Football の振興と言う意味ではFIFA Club World Cup は意義のある大会と思う関係者も多いはずだ。 CONMEBOL を含めてそしてUEFA 以外は。 

大会初日の12月7日、 New Zealand の Waitakere United がイランの Sepahan に挑んだ。公式入場者数は 24,788 人。昨年 Auckland City FC の初戦は29,912 人、一昨年の Sydney FC の時は28,538人。昨年は岩本、一昨年はキング=カズがゲストプレーヤーとして登場した事を割り引けばこの数字は上々と思う。まぁ今年は国立競技場ではあるが。
Australia の AFC 加入後は今やオセアニア地域は New Zealand とそれ以外と表現できる地域だろう。その New Zealand すら FIFA ランキングは95位。同地域内でそれに続く国は New Caledonia で 119位だ。AFC 加盟国の中ではイランが 32位、オーストラリアが39位。41位に日本、44位が韓国。そして87位のUAEまでの13カ国が New Zealand の上を行き、今度のワールドカップ予選で同組となるバーレーンが98位だ。著名なサッカー解説者によるとオーストラリアの抜けたオセアニア連盟から1チームの出場枠を与える事は大会の権威に関わる事になるらしい。 KIWI の人達が聞くと不機嫌な反応を示されそうなコメントだけど、決して否定はできない。ただ私の持論 “ Football は世界中どこにでも存在する。” と言う観点から見ればオセアニアのチームにも出場権を与える事は大会の意義を感じさせるものと言う見方も出来ると思う。試合前は“悲観的”な見方を払しょくする様なパファーマンスを Waitakere に期待をした。 
しかしふたを開ければ開始2分で2失点。この時点でこの試合に対する興味は半減、いやそれ以下になってしまった。3分のゴール前へのロングスローから Waitakare DF 選手が一旦は跳ね返したそのこぼれ球をエマド=モハメドに蹴り込まれた先制ゴールは仕方ないにしても、1分後にまたもエマド・モハメドに決められた失点は頂けない。左サイドのムジリからのロングフィードをCBのペリーがきちんとクリアー出て来ていれば防げた失点であった。

   

これでこの試合は何点はいるかわからんぞぉぉ、と思うが以降は何とか立て直し前半を何とか2失点で切り抜け、気を取り直して臨んだはずの後半開始直後の47分、ゴールキックをハジサフィが落とした所を走り込んだアルハイルがミドルシュート。それをGKイーディンがファンブルしてゴールを許し簡単に追加点を与えてしまった。格上のチームと戦う時は戦術云々よりもまずミスをしないこと。だれかが言っていたのを思い出した。この大会に向けて上のレベルのチームと練習試合を組むなど、大会前の準備はどうだったのだろう?セミプロチームの事情を考えればそれも厳しいのかもしれない。 同じニュージーランドの Wellington Phoenix に練習試合を申し込めばよかったのに。ニュージーランド代表監督を兼任する Ricky=Herbart 氏は受け入れてくれると思うけど。
しかしこれに目を醒ましたのがそれともセパハンがスローダウンしたのか、65分を過ぎたあたりから Waitakere が徐々にボール支配率を上げていく。単純ではあるが相手ゴール前にハイボールを入れて上背とフィジカルの高いエンブレン、ダニー=ヘイに当てると言う戦術がなかなか効果的であった。ダニー=ヘイはかつて Leeds United で4シーズン在籍。しかし度重なる怪我の影響で出場試合は4試合のみ。だがUEFA Champions League にも出場し、 Leeds United が Barcelona を4-0 で破った時のメンバー。   帰国後は A-League の New Zealand Knights そして渡英前に所属していた Perth Glory でもプレーした。 New Zealand 代表、 All Whites としては31試合に出場した。
     
                     ニール=エンブレンも Wolverhampton Wanderers, Crystal Palace 等に所属した189cm の England のユーティリティープレーヤーで昨シーズンまで2シーズンA-League の New Zealand Knights に所属した。
そして73分、ベンジャミン=トトリがあわやのシュートを放って観客を沸かせる。 トトリからダレン=ベーズリーにボールが渡り、ペナルティエリア付近のエンブレンへ、エンブレンが胸に当ててボールを落とした所に走り込んだトトリが地を這うようなスピードあふれるミドルシュートを放つ。おしくもそのショットは数十センチ右に外れた。ベンジャミン=トトリはソロモン諸島代表のFW 選手。かれも母国の Football 振興の為にこの大会で存在価値を示そうとする選手だ。 
  


このプレーによって判官贔屓の観衆の心を一気に掴む。そして1分後。ゴールマウスに入れられたべーズリーのFKはセパハン DF ジャバ=ムシリの背中にあたり、そのこぼれ球が追うダニー=ヘイ、セパハンDFモーゼン=ベンガー、そしてGKのモハメド=サバリの誰にも触れられずゴールネットに吸い込まれ、オセアニアサッカー史に歴史を刻むゴールが生まれる。このシーンがこの日一番歓声が上がったシーンだった。2分後の76分、今度はセパハンがチャンスを迎える。スルーパスを受けたこの日2得点のエマド=モハメドがミドルを放つがGK イーディがファインセーブ。後半開始早々には自らのミスで3点目を献上したが今度は見事なプレーであった。更にWaitakere への声援が大きくなる中、78分には波状攻撃を見せエンブレンのヘッドはGKサバリにキャッチされるが、その後サバリが遅延行為を取られて間接FKを得る。ダニー=ヘイが少し横に流し走り込んだエンブレンの強烈なショットは壁に跳ね返されるがそのこぼれ球を再びダニー=ヘイがゴール前に入れたところをセパハンDFがクリアー。そのクリアボールを走り込んだジョナサン=ペリーがダイレクトで撃つがサバリがナイスセーブを披露。このペリーは昨年来日した Auckland City FC からの移籍選手。他にも主将であった MF Neil Sykes, FW Paul Seaman そして63分から投入された Jason Hayne が昨年まで Auckland City FC で岩本輝夫の同僚であった。また DF Matt Cunneen もかつては Auckland City FC に在籍した。85分にはトトリが左サイドをべンガーを振り切ってクロスを入れるがエンブレンが頭で合わせる前にジャバ=ムジリに体を上手く入れられてシュートが撃てない。 その直後にDFグレハム=ピアースに替って注目のソロモン諸島代表のFWコミンス=メナピが投入される。もう少し長い時間観たかったけど。前線を一人増やしベーズリーが最終ラインに入る。87分には更にトトリが魅せる。左サイドのメナピから入れられたクロスをエウンブレンがバックヘッドですらした所をトトリが膝でワントラップしてシュートを放つが僅かにゴール枠を外れる。セパハンベンチはここでエマド=モハメドを下げてベロを入れて守備を固める。エマド=モハメドの大会初のハットトリック達成は成らなかったがその前に逃げ切りか… 勝敗にかかわらずあと1点を目指し、観客を味方につけた Waitakere は91分にシーマンを下げてFWのダニエル=コプリブチッチを入れる。なんどかゴール前にハイボールを入れてセパハンゴールに迫るが結局タイムアップ。ひたむきな 兆戦を続けた Waitakere に暖かい拍手が送られた。 この試合をテレビで視たニュージーランドのサッカー少年達に後半の Waitakere のプレーはどう映っただろう。9月のラグビーワールドカップで、悲劇的な敗退を喫した All Blacks 。その遠縁となるのはサッカーをはじめとする他のスポーツの振興。ワールドカップ後、五輪候補選手から All Blacks 候補を発掘していくと言うラグビー協会のコメントを地元紙で目にした。 弱い All Blacks は見たくはないけど、All Whites だって1982年スペイン大会以来のワールドカップ出場を本格的に目指す日はいつなのだろうか….. 12月15日、Club World Cup の決勝戦の前日に Waitakere は Otago United をホームに迎えて NZFC League の今季6試合目に臨む。 彼らの日本での経験が地元のサッカー少年達に引き継がれていくことだろう…



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2 コメント

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Unknown (中東の太鼓)
2007-12-15 00:56:44
オセアニア枠と開催国枠は撤廃して
その分UEFA杯王者とコパ・スダメリカーナ杯の王者を入れたほうがもう少しはましな大会になると思う
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出場枠 (Mr.コンティ)
2007-12-15 15:47:49
中東の太鼓様

オセアニア枠はともかく開催国枠については議論の余地はあると思います。コパ・スダメリカーナ杯王者への出場枠は一考の余地ありと思いますが UEFA 杯王者がこの大会にそれほど関心を示すかも問題でしょう。
オセアニア枠は撤廃すべきとは思いません。ニュージーランドとて1982年のワールドカップスペイン大会には出場し3連敗で敗退したとはいえ初戦の Scotland 戦では3失点のあとに速攻で2点を返したシーンは忘れられません。
今は他の大陸、地域とは差がついてしまいましたけどそのうちルーファーの様な選手が現れないとも言い切れませんし。ソロモン諸島からもメナビ、トトリといった選手だってレベルが低いわけでは無いと思います。
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