Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

なでしこ ナデシコ NADESHIKO 撫子 貴女達が大和魂を見せてくれぃ 

2008-08-16 | 夏季五輪
8月15日。日本人の殆どが忘れえぬ日。そして忘れてはならない日。終戦記念日。第二次世界大戦で日本が連合国の無条件降伏を受け入れ敗戦が決まった日だ。 63年後のこの日、日本女子サッカー代表チームはベスト4進出をかけて地元中国代表と世紀の一戦に臨む。サッカーファンを30年以上続けていて試合前にこんなに興奮と言うか燃え上がるような感覚を覚えたことが無い。 

ノルウェーを撃破堂々の準々決勝進出

8月12日。夏季休暇の前日。三日前に海外出張から帰国し溜まりにたまった仕事を片付けようやく自宅に辿り着きテレビのスイッチをつける。信じられないスコアーが上隅に。日本がノルウェーを 4-1 でリードしているではないか??私の部屋にあるテレビは独身時代に購入したNECの14型。これが今でも故障なく稼働しているがこの時ばかりはスコアーが映し出されている部分を拭いて再確認をした。しかし間違いなく日本がリードしていた。そして数分後の83分カウンター攻撃を見せる。澤穂希からのミドルパスを右サイドで大野忍が受けるとマークに戻ったボランチの Ingvild Stensland を振り切り逆サイドから走り込んできた原歩にボールを送る。原はマークに入った DF の Gunhild Folstad を交わしてそのまま放ったシュートはGK Erika Skarob を破り止めの5点目が入った。残り時間を考えればこれで撫子のベスト8進出は決定的となった。それにしても何と言う勝負強さなのだろう……

  

2試合を終えて1分1敗。

初戦のNew Zealand 代表 Ferns とは2-2 の引分け。格下相手に白星を計算していたようだったが Ferns とてFIFAランクは24位だが平均年齢22歳のチーム。伸びしろはこのグループのどのチームよりも大きく試合ごとに強くなるのは想像し易い。対戦相手を比較すれば日本が一番勝ち星への“射程距離内”。その上大会直前の7月には一度中国入りして中国代表と2試合行う等準備も入念だった。ゲームはFW の Emma Kete にロングボールを入れる戦術(と言うよりもこれしかないか?)が功を奏してなかなか撫子も思うようにプレーが出来ない。その上ベテランGK Jenny Bindon が好セーブを見せる。37分にはくるぶしの負傷が伝えられていた Ali Riley が柳田美幸を右サイドで交わしてクロスを送るとそのクリアーを躊躇した近賀ゆかりの前をボールは通過。そこに走り込んだ Kirsty Yallop が押し込んで撫子はまさかの先制を許す。56分にはCKからのポジション取りから不可解な反則を取られ南アフリカ人の Deidre Mitchell 主審はPKを献上する。それを元 Arsenal ストライカーの  Amber Hearnに決められ2点のビハインドを背負う予想もしない苦しい試合展開。
しかし撫子は幸運なPKを Mitchell 主審から貰う。72分、2失点目と同じ様な状況で今度はAbby Erceg のプレーがファールにとられ日本にPKが与えられ宮間あやがそれを決め1点差とした。これは Ferns 2点目の補償か?そして86分にはFKのチャンスから澤穂希が決めてなんとか試合を引き分ける事が出来た。日本にとっては痛い引き分けだったが負けなくてよかったとも思った。この試合があった日はまだ私は New Zealand の首都 Wellingotn にいたが現地ではテレビ中継は行われずスポーツニュースで数分間のダイジェストをみただけであった。 

  

続くアメリカ戦は健闘はしたが0-1 で落とし早くも“崖っぷち”と報道されたが私はまだベスト8のチャンスは十二分にあると思った。ノルウェーが初戦のアメリカ戦で勝利を収めたことから2試合を終了して早々と決勝トーナメント進出を決めたので第三戦の日本戦はメンバーもモチベーションも落としてくるだろう。このノルウェー戦には勝機ありと思っていた。 運命のノルウェー戦。 ノルウェーは2得点の Melissa Link と1得点の Siri Nordby がスタメンから外れただけで残りはニュージーランド戦と同じメンバー。もっと駒を落とすと思ったのだが……
Norway は2003年ワールドカップアメリカ大会ではベスト8、昨年のワールドカップ中国大会ではベスト4の世界ランク5位の強豪でこの日のスタメンの中ではGK Erika Skarbo 以外は全てワールドカップメンバー。Solveig Gulbrandsen はベスト4となった1999年のワールドカップアメリカ大会にも出場しグループリーグの日本戦には途中出場を果たした。この試合では安藤梢、澤穂希、原歩、柳田美幸らが出場しているが試合はノルウェーが4-0 で勝っている。その他 Standeland Horpestad, Folstad Trinne, Marti Fiane Christensen そしてLene Storlokken らが2003年、2007年大会に出場し、 Ingvild Stensland, Marie Knutsen, Leni Larsen Kaurin そしてLene Mykjaland らが2007年大会のみに出場したメンバーだった。
日本は左サイドバックに柳田に替って矢野が起用された以外はアメリカ戦と同じメンバー。 試合は立ち上がりからノルウェーがロングボールを使って日本ゴールに迫るシーンが目立つ。欧州の選手との比較では男子以上にフィジカルの差が現れ、それはロングキックの距離にはっきりと見られる。

27分ノルウェーに先制を許す。 Stangdeland Horpestad のスルーパスに開始10分に Marie Knutsen に替って投入された Guro Knutsen に走り込んで決められた。池田、岩清水のCBがよく戻ったのだけど…..

  

しかし4分後に撫子は追い付く。右サイド澤から安藤に繋いで坂口を経由して宮間に渡り、宮間が上げたクロスを走り込んだ近賀がボレーで叩き込んだ。近賀はニュージーランド戦で痛恨のミスを犯したがこのノルウェー戦は見事なパフォーマンスであった。

  

試合は後半に入ると開始からニュージーランドがロングボールを使って日本ゴールに攻め込む。しかし51分FKを得ると宮間がノルウェーゴール前に入れた所を一旦澤が左のエリア外にいた岩清水に出し、岩清水が再び中に入れると大野が受けて走り込んだ安藤に送る。そのスルーパスはマークに入った Folstad の足に当たりそのままノルウェーゴールに転がり込み逆転。

  

更にその1分後左サイドを宮間が永里とのパス交換で抜け出し前を走る大野へスルーパスを送る。そのパスを受けた大野はドリブルでゴール前に持ち込み Stangdeland Horpestad をかわして放ったシュートがノルウェーゴールネットを揺らし追加点。この2分間で2ゴールを挙げて一気に試合の主導権を握る事に。後半立ち上がり右サイドのポジションを安藤と近賀のポジションを前後に入れ替えたのが功を奏したか…..

  

しかしこの時間からノルウェーが攻勢に出る。1トップの Gulbrandsen に加えて2列目の Marie Knutsen そしてLene Stolokken が前線に出てくる。セットプレーになれば長身のDF Fiane Christensen が出て来る。しかしこの日の撫子はDFラインが安定し、澤、坂口も守備に戻り相手のチャンスの芽を摘み取る。70分には大野の突破から波状攻撃を見せ最後は澤がボレーで叩き込み 4-1 としこの試合をほぼ決定づけた。


   
それにしても何と言う決定力、そして土俵際の強さなのだろう……

大会前どれだけのマスコミが撫子達に注目したのだろう?専門誌でさえ対戦相手の分析記事など掲載しなかった。(それともただ調べる術が無かったのか??)この試合の翌日に1次リーグ最終戦を戦う男子のイレブンもこれで発奮してくれればと思ったのだけど…….. 準々決勝は中国が相手。かつては歯が立たなかった相手だけど今は日本の方がランキングが上だ。今年は1勝(東アジア選手権)1敗(女子アジアカップ)。 秦皇島オリンピックスポーツセンタースタジアムでは完全アウェーとなるだろうがそこに静寂をもたらす試合結果を期待する。



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1 コメント

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なでしこジャパン (中東の太鼓)
2008-08-16 02:06:52
さっき試合を見終えたばかりです。
まだ興奮を抑えられません。
追加点をあげた永里は私の地元の神奈川県厚木市の出身なので物凄く嬉しかったです。
また大野のキレのある鋭い動きはメッシのようでした。
宮間の技術は圧巻です。
そして沢に関してはもはや説明不要な偉大な存在です。
女子の国内リーグが「なでしこリーグ」と呼ばれる前から私は女子代表を応援をしているので戦力が充実した今回はひょっとしたら上位進出する可能性があると思いましたが、かつての苦しい時期を知っているので世界の4強入りなんてまだ実感が沸かないです。
近年のアジアの覇権は北朝鮮が掌握し、日本も中国に迫っているとはいえ開催国なので侮れませんでした。
また中国が日本より先んじて強化していたのでかつてはコテンパンにやられた時代を知っているので男子の韓国同様に少なからずコンプレックスがありました。
日本が第1回W杯出場権を獲得した1991年に福岡で開催されたアジア杯の決勝戦を0-5で完敗したのをまだ覚えているくらいですから。
五輪の舞台(しかも完全アウェー)で中国に完勝する日が来るとは感慨深いです。
日本が90年代の半ば頃に世界の有名選手が多数国内リーグに在籍して”世界最高峰のリーグ”と呼ばれてました。
ただ景気の悪化に伴い多くのチームが解散しリーグの存続する危ぶまれ、シドニー五輪の出場権を逃して更に苦境に追い込まれた辛い時期も知っています。
きっと選手たちはあの苦しい時期を知っているし、現在でも代表選手といえども働きながらプレーをしているのが大多数なのでプレーを出来る喜びをかみ締めていると思います。
今日の試合でも選手たちが試合終盤になっても疲れを知らずに歯を食い縛って走り続け、ボールを奪われても意地でも食らいついて奪い返し、パスが相手に渡りそうになると体を投げ出してでも阻止する姿は見ている者の魂を揺さぶり感動を覚えます。
彼女たちが気迫のこもったプレーから代表選手としての自覚と使命感を明確に感じます。

今回のなでしこジャパンの快進撃は男子代表の体たらくぶりを忘れさせてくれる感じでした。
「言い訳だけは世界一」のあの不快な連中の事は語るに値しませんですから・・・
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