Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

蛇に睨まれた蛙 Adelaide United 0-2 Melbourne Victory

2009-09-20 | Aussie & Kiwi

蛇に睨まれた蛙。英語でどういうのだろう?直訳するとFrog stared at by snake 。何か良い英語表現は無いだろうか?この試合が終わってホテルの帰る道中そんな事を考えていた。

A-League 屈指の好カード、Adelaide United vs Melbourne Victory が第7節に行われた。 この対戦は昨シーズンの Grand Final の再現で今シーズンはこれが初めての対戦。
Adelaide United と言えば昨シーズン Asia Champions League で鹿島アントラーズを破り決勝ではガンバ大阪に敗れたもののガンバの“開催国枠”の恩恵で FIFA Club World Cup の出場権が回って来たことで日本でも名のしれた A-League のチームだと思う。ACL での鹿島戦での会心の勝利、Club World Cup でのガンバとの死闘は忘れられない。まだ A-League では優勝経験が無いが Grand Final 進出2回を誇る強豪である事は間違いない。
そしてGrand Final 優勝2回の Melbourne Victory はその Grand Final の相手が2度とも Adelaide United。擁するに Adelaide の前には Melbourne が大きく立ちはだかっているという事。2006/07 の Grand Final は Archie Thompson に5ゴールを決められ 0-6 で大敗している。しかしそれは Grand Final だけではない。レギュラーシーズンと Final シリーズを含めた通算対戦成績では Adelaide の5勝10敗3分け。得点は Adelaide 14 Melbourne はその2倍の28。 2007/08 の第15節で 0-1 で敗れて以来、対 Melbourne Victory 戦6連敗中だ。 
ここまで両チームは Adelaide が5位(勝点8)そしてMelbourne が8位(勝点6)となっておりこの直接対決で Melbourne が勝てば順位がひっくり返る。そして、 Adelaide には少しばかりの有利な材料もあった。 
第6節を終了し Melbourne の勝点6は A-League 創設からの5年間で最低の成績。ただ Melbourne が優勝したのは 2006-07, 2008-09 のシーズンで1シーズンおきに優勝しているので今年は成績が悪い年だと予想していたサポーターもいた。しかしそれでもこの数字は悪すぎる。前節はホームで Wellington Phoenix と引分けまだ浮上の糸口が掴めない…
Adelaide は前節好調の Central Coast Mariners を 1-0 で破り、シーズン前にはスポンサー問題でもめたが徐々に上昇気流に乗りかかっているところらしい。また Adelaide, Melbourne とは地理的に航空機で1時間20分と“比較的近い”ところにあるのでライバル意識も醸し出されるらしい。 したがってこの試合はお互いに負けられない。しかし A-League の Golden Card は Melbourne vs Sydney, Melbourne vs Adelaide と Victory がらみの試合ばかりか…

昼間少し冷たかった風は夜には止み、スポーツ観戦には良い気候となった。 United のホーム Hindmarsh Stadium はシドニー五輪の準々決勝戦で日本五輪代表がアメリカ五輪代表にPK戦で敗れた競技場だ。だからというわけではないがこの日は NAKAMURA のブルーのレプリカを着て観戦した。(あまり関係ないか??) 

      

スタンドはほぼ満員。バックスタンドの一角には Melbourne から遠征してきたのか Victory のサポーター達が。そしてその周囲には警官隊が。 何か起こるかもしれないなぁ…
Melbourne はこの試合からついに Kevin Mascut が復帰。彼のスタメンが伝えられると競技場からは一斉にブーイングが。そして Victory サポーターからは大歓声が沸く。 そして前節CBに入った Adrian Leijer がボランチに入り MF Grand Brebner, FW Ney Fabiano が外れ、 Nick Ward がスタメン入りし 中盤を Carlos Hernadez ( 真ん中 ) Tom Pondeliak ( 左 ) と組むことに。そして Archie Thompson がワントップ。

   

ホームの United は Paul Reid が累積警告で出場できないのが痛い。 昨シーズン ACL 決勝進出の立役者でもあった Paul Agostino はいないが重鎮 Travis Dodd , ブラジル人MF Cassio 北京五輪メンバーのボランチ Kristian Sarkies そして2005 FIFA U-17 のメンバーだった左サイドバックの Scott Jamieson ,Robert Cornthwaite そしてかつて Victory でプレーしたアテネ五輪メンバーの GK Eugene Galekovic らは健在。ただ Cornthwaite は昨年右サイドバックだったがこの試合はCBだった。 DF にはMark Rudan そして Iain Fyfe らかつて Sydney FC でもプレーした選手達が今シーズンから加入した。 

     

Melbourne のキックオフで始まったゲームは大歓声の中開始2分9秒に Sarkies が中央からドリブルシュートを放つ。 これはゴールポストの左側に外れていった。 Muscat が復帰しVictory DFラインはどう対応するのだろう.. 攻撃では立ち上がりは Thompson のボールキープが目立つ。 しかし6分8秒、あっさりと Melbourne に先制ゴールが生まれる。  ボランチの Leijer から逆サイドの Nick Ward にボールが送られるとそのままドリブルで前線に上がり中にセンタリング気味に放り込んだクロスがそのままネァーサイドのゴールネットに突き刺さってしまった。

      

GK Galekovic は全く反応していなかった。ゴール裏に陣取る United サポータ達が静まり返ってしまい、Victory サポータ達の歓声が良く聞こえた。 これが相性というものなのだろうか? Adelaide は対 Melbourne 戦4試合連続無得点中だ。 勝つためには先制点…と思っていたサポーターの多かっただろう。
8分6秒 Sarkies が倒されPAのすぐ外でFKを得る。 Cassio が直接狙うが壁に当たってしまった。 Adelaide は右の Dodd, 左の Cassio が結構ドリブル、ボールキープ良く上がってくるのだがワントップのガーナ人 FW Lloyd Owusu に繋ごうとするのが見え見えなので Muscat の戻った Victory DFラインにパスを読まれてしまう。
Owusu は2006年のワールドカップ候補であったが開幕1ヶ月半前の4月26日の VfB Stuttgart との親善試合で怪我をしてチャンスを逸してしまった。

     

Adelaide はショートパスが繋がらずそしてロングフィードを後方から見せるのだが正確さに欠け、何度もゴールラインを割って行った。観客からは落胆の溜息が。 Melbourne は前線のポジションチェンジが顕著だ。20分を過ぎると Thompson – Pondeliak の2トップにし2列目を Hernandez – Ward – Leija の3枚に増やし中盤からプレスをかける。 24分にはインターセプトから Vargas, Ward と繋ぎ Hernadez から入れられたセンタリングにフリーの Pondeliak が走り込むが空振り。完全な2点目のチャンスだった。
25分12秒。今度は Adelaide がチャンスを迎える。 Owusu が右に流れDFを引き連れたところをDodd がドリブルで右サイドから中に切れ込む。 一斉に観衆が立ち上がるが Dodd は右の Owusu にボールを出し、Owusu がそのまま Melbourne ゴールに蹴り込みゴールネットが揺れるが線審の旗が上がってオフサイド。ここは Dodd がそのまま撃ったほうが良くは無かったか…
これ以降も Melbourne の攻勢が続くが Mark Rudan, Cornthwaite らCB陣が必死の守り。37分には3連続CKのチャンスを掴むが得点に結び付けられない。結局前半地元サポーター達から歓声があがったのは40分29秒に Thompson のシュートが大きく外れた時と 23分に Muscat , 42分に Broxham にイエローカードが出された時。

       
そして44分にDoddo からのクロスに 197cm の Cornthwaite が惜しいヘッドを放った時だけだった。 それから前半途中でサポーター同士で小競り合いがあり警官隊が割って入った時かなぁ.....

     

ハーフタイムの間、屋内にあるバーに行ってみた歴代の著名選手達のサインと写真があった。2006年にここで4試合だけ Guest Player としてプレーしたロマーリオの写真は時間が無くて見つけられなかった。そして数人の Adelaide サポーター達と話す機会が。 昨シーズンACL で鹿島、ガンバと対戦したことから J-League の事を良く訊かれた。来年ACL に出場権を得ているのでまた J-League のチームと対戦するのが楽しみだとか。 J-League のサポーター達の応援はよくオーガナイズされて素晴らしいとも語っていた…

        

後半に入ると Vidmar 監督の指示でもあったのか2列目の選手の飛び出しが顕著になった。そして Sarkies, Adam Hughes と云ったボランチの押し上げも早くなった。 46分にはCKからのこぼれ球を Jamieson, Owusu がそれぞれ撃つが最後はGK Moss の正面に。 49分には左から Jamieson のクロスに Owusu がシュートを放つが Leijer がマーク。 54分51秒には左サイドを Cassio から Sarkies に渡り Owusu にスルーが入りドリブルで Melbourne ゴールに迫るところを Rodrigo と Sukha が挟み込むようにマークに入り Owusu が転倒するがホイッスルは鳴らず、スタンドからはブーイングが。
後半は攻勢に出る Adelaide だがリードされているとは言え時間的に必要が無いのに焦っている様に見える。こういうときはカウンターで失点しがちだ。 58分48秒には Hernandez のCK にファーサイドから走り込んだ 完全にフリーのLeijer が飛び込むが空振り。 まだまだツキは残っていると思われた。 
60分過ぎから Melbourne は Nick Ward を左サイドの高い位置に置き Dodd のマークにつける。 67分 Adelaide ベンチはボランチの Sarkies を下げて Cristiano を入れて2トップに。すると71分今度は Melbourne ベンチが動く。 Nick Ward を下げて前節ではスタメンだった守備的MF の Grand Brebner を入れる。73分14秒。スタンドに悲鳴が走る。 Cristiano がPondeliak と競りながら前線の Dodd にボールを送る。 フリーのDodd が放ったシュートはクロスバーを越えてしまった。絶好のチャンスだったのだけど…..
75分19秒、 Adelaide は主将の Lucas Pantelins を下げて 若い攻撃的MF Matthew Leckie を投入する。そして攻撃時には前線に左から Cassio, Owusu Hughes そして Leckie が並ぶ。こうなると本当にカウンターが怖くなるが76分27秒には Brebnaer のスルーパスが Thompson に通りシュートに持ち込まれるがここは Galekovich がファインセーブ。 
79分にはFKのチャンスに Owusu がヘッドで落としたところを Dodd が手でボールを止めてイエローが出される。まだ焦る時間でもないんだけど… 85分にCKのチャンスを掴む。フィールド選手の Cassio と Leckie 以外はすべてPA内に入る。このCKも得点に結び付かなかったが今度はGK Moss が遅延行為でイエローに。
Dodd もそうだけどシーズンはまだ続くのでつまらぬことでカードを貰わない方がいいのにと按じてしまう。 

       

もうロスタイムに入りという88分、 Adelaide ゴール側の右コーナーで Hernadez がボールキープをして時間を稼ぐそこに Adelaide の選手が駆け寄る。一端は Cassio がボールを取り返すが、そこを狙っていた Thompson がボールをかっさらってドリブルで Adelaide ゴールに迫りシュートを放つ。 GK Galekovic に当たったリバウンドが Brerbner の前に転がりそのままゴールに押し込まれ試合を決定付ける追加点が入った。目の前でのゴールに Victory サポーター達が狂喜乱舞する。

      

そして一斉に観客が立ち上がり帰り支度を始める。ロスタイムは3分。でも2ゴールを上げるにはちょっと不充分だ…隣の United サポーターと少し言葉をかわした。
そしてスコアーはそのままで Srebre Delovski 主審のタイムアップの笛が鳴り響いた。

これで Adelaide United は Melbourne Victory 戦7連敗。そして5試合連続の無得点。実力差はそうあるとは思えないのに… 
しかし、 Golden Card の割には大した試合内容でも無い気がした。まぁ勝負なんてそんなもんかもしれない。 来年、この両チームが ACL に出てくる予定であるがそれまでにまたメンバーが替るのだろうか… 


初めての室内競技場観戦…でもなかったか Melbourne 1-1 Wellington

2009-09-20 | Aussie & Kiwi

もう少し暖かくて風が無かったらここに住みたくなるだろうなぁ… 
Melbourne に来る度にそう想っていた。ここにはMelbourne Cricket Grand がありMelbourne Olympic Park もあれば Rod Laver Arena があり Etihad Stadium があれば更に新たな競技場が建設中だ。これらすべての施設は少し無理をすれば全て歩いて回れる範囲にある。
既に欧州シーンからの“引退”を決めた Mark Viduka の次の所属先は彼のホームタウン Melbourne の Victory か新しく創設が予定されている Hearts かと言う地元紙の記事も。街中を流れるヤーラ川沿いは良いジョギングコースになっている。最近は地球温暖化のせいか Melbourne でもそう凍える思いはした事がない。
この6月のワールドカップ予選、昨年、そして今回。しかしこんな街中なんか家賃は高いだろうなぁ… ここ数年は郊外にどんどんショッピングモールが出来ているらしい..

Melbourne Victory の本拠地 Etihad Stadium は街中の Southern Cross Station から陸橋で繋がっており徒歩数分で到着する非常に便利な場所にある。 濃紺の Victory のレプリカを着た多くの人が競技場に向かってる。この日の対戦相手 Wellington Phoenix の黄色いユニフォームを着る人もちらほら。 私は ALL BLACKS のジャケットを着ていたので Phoenix サポーター達の何人かに声を掛けられた。
ここは2階席がピッチレベルの1階席よりも値段が高いが迷った挙句に1階席のチケットを買った。 Aussie Football League の試合も行われるこの競技場は立ち見席を含めると 56,347 人の観客収容能力があるらしい。 そして屋根が開閉式になっており、この日は屋根が占められて屋内競技場状態になっていた。屋内競技場での Football 観戦は初めてになるなぁ…と述懐していたら20年前に一度東京ドームで観戦をした事を思い出した。 

     

昨シーズンの覇者 Melbourne Victory は前節迄の時点で1勝2分2敗で10チーム中7位と出遅れている。北京五輪メンバーで 2005年FIFA U-20 で日本と対戦をしたこともあるチームの中心選手 Billy Celesky も怪我で今季はほぼ絶望。 元 Socceroos で守りの要ベテラン Kevin Mascut は怪我でまだ今季プレーできない。更に追い打ちを掛ける様に中心選手の1人、かつて Manchester City でもプレーした Daniel Allsopp がカタールの Al Rayyan に移籍してしまった。 Allsopp と言えば A-League の Debut Season 以来の Victory 生え抜きの選手。 それだけに Ernie Merrick のみならず地元サポーター達のショックは小さくは無かった様だ。中東からの選手の引き抜きはここオーストラリア大陸にも…ただサラリーキャップがあり球団経営もまだまだ軌道に乗らない A-League からすれば中東からの Oil Dollars は無視できないのかもしれない。
Victory は急遽 Brisbane Roar でプレーしていた Robbie Kruse と契約を交わした。 2007-08 のシーズンに Roar で A-League デビューを飾り17試合に出場したが翌シーズンは怪我などもあり4試合の出場に留まった。そしてその翌シーズンにあたる今シーズンはプレシーズンマッチでMassiom Murdoccca が足を骨折した為 Short Term の契約を交わしたらしい。そしてシーズンに入り5試合に全て出場していた。 Merrick 監督は早速 Kruse をこの Wellington 戦に起用することを示唆するコメントを残したとの事。
一方のWellington Phoenix 、監督は New Zeland 代表 All Whites を率いる Rickie Herbert 監督。そしてメンバーには何人かの All Whites の選手を含むが9月9日にアンマンでヨルダンとの親善試合を行いメルボルン入りしたのが前日だったそうだ。 GK  Mark Paston、右サイドバックの Manny Mascat , 左サイドバックの Tony Lochhead, ボランチの Tom Brown そして FW の Leo Bartos。怪我でこの日ベンチ入りできなかった Ben Sigmund 。更に Victory のGK Glen Moss 。但し Moss は昨年11月のワールドカップ予選フィジー戦で退場になり、バーレーンとのプレーオフには出場できない。
代表と言えば Victory MF の Carlos Hermandez はコスタリカ代表でワールドカップ予選出場の為に Wellington 戦の前日に戻って来た。 アテネ五輪、ワールドカップドイツ大会にも出場経験がある。またこの日のメンバーを見ると Victory のボランチ Leigh Broxham 、ベンチスタートのMF Nick Ward らは北京五輪予選のメンバーで GK Glen Moss は昨シーズまで Wellingotn でプレー。右サイドバックの Surat Sukha はタイ代表。昨年は ACL で Chomburi のメンバーで Victory そしてガンバ大阪と戦った。
Wellington のMF Vince Lia, Michael Ferrante の二人は2007年まで Victory でプレーした選手達。 CBの Jon McKain は2001年FIFA U-20 アテネ五輪にオーストラリア代表メンバー。 両軍結構なタレントぞろいでお互いのチームでのプレー経験のある選手もおり因縁めいた感じもして興味が湧いて来た。スタンドの1階席はピッチレベルで選手達の動きが良く解るが全体のフォーメーションを見るには難があった。2階席の方が値段が高い理由が解った。 

いよいよキックオフと云う時に歌声がだんだん近づいてくる。黄色いユニフォームを着た Phoenix のサポーター軍団だった。私が座ってたのは Phoenix のサポーター席だった。そして座っていたすぐ横の通路を歩いてくる。私が立ち上がって右手を差し出すと各自がハイタッチをする。だんだん手が痛くなり最後の数人とは握手にしてもらった。その様子を見ていた他のサポーター達におおいに受けた。そして私の着ていた ALL BLACKS のジャケットを見て“もっとこっちに来い、一緒に応援しよう…” てなことを言われたがあまり下に降りると試合が良く見えないのでここに留まる事にした。 頭上にはモニターがあり、これと併用して試合観戦をすることにした。

Phoenix サポーター達はここにいる観客の割合からすると 1% にも満たない。それでも Victory サポーター達を煽るようなコールを繰り返すのでそれに呼応する Victory サポーター達の大音量のコールが帰ってくる。多勢に無勢とはこのこと。でもそれだけに Wellington を応援したくなった。今シーズンはこれまで Victory と同じ勝点。こんなことは今まで無かったからなぁ…
試合開始直前に観客席を見ると “ FAREWELL ALL$OPP. AMATE HAS COME – WE’LL KRUSE TO THE TOP “ という横断幕が Allsopp のS が $ となっていると事が移籍の真実を語っているようだった。注目の Robbie Kruse はベンチスタートだった。 

開始2分45秒、Victory FW Ney Fabiano がドリブル突破をはかるところを Phoenix のボランチ Lia が倒してFKを与える。ゴール正面の絶好のポジションだ。 大歓声の中 Hernadez がボールをセットする。そして直接狙ったFKは GK Paston も届かずそのままゴールネットに吸い込まれた。 

    

更なる大歓声が湧きあがる。試合前から気勢の上がっていた Phoenix サポーター達の一気に消沈してしまい、彼らに向かって“それ見た事か”とばかりに Victory サポーター達がこちらに歓声を降り掛ける。
   
    

Melbourne は FW Archien Thompson のボールキープが良く、この日のブラジル人 FW Fabiano とポジションを替えながらドリブルで切れ込んでいく。 出場機会は無かったが2006年ワールドカップのメンバー。 Brown, Lochhead の左サイドを突いていく。彼らはヨルダン遠征から帰ったばかりでまだ Thompson の動きについていけないか….
17分2秒、劣勢だった初めて攻撃に転じる。England 人 FW Chris Greenacre が右サイドを上がり入れたクロスを中には走り込んだ Bertos がボレーを撃つが GK Moss がファインセーブ。またも大歓声が上がる。しかし Wellington の Herbert 監督は代表候補の Glen Moss のパフォーマンスには心中満足しただろう.
20分過ぎから Wellingotn は2列目の Bertos と Paul Ifill のポジションを替え Bertos が左サイドに Ifill が中に入るようになった。そして Bertos がサイド攻撃で起点を作り、Ifill がワントップの Greenacre のサポートに入る。これで Wellington の攻撃機会が増えた。それが功を奏したか30分 Ifill からボールを受けた Greenacre が右サイドに送りブラジル人 MF Daniel がゴールラインぎりぎりのところでクロスを上げる。
そして Ifill が中央から飛び込もうとするが上手くDF陣を二人引き連れスルー。左に流れたところを Tim Brown が 蹴り込んだショットは Moss でも止められず Wellington の同点ゴールが生まれた。 今度は数少ない Phoenix サポーター達が大歓声を上げる。 強豪相手に先制を許すもすぐに追いつくところ、今シーズンはちょっと違うぞと Victory サポーター達に思わせたか? 

    

34分にはCKから CB 182cm の Andrew Durante がヘッドを放つがここは Moss がファインセーブ。 この日の Moss は MVP級のパフォーマンスでこの時点で2失点を防いだ事に。 

    

それにしても Victory DF 陣、やはり Macsut がいないと統率がとれないか。 Wellington はBertos が左右に動いて起点となる。なかなか Wellington ゴール前に迫れない Melbourne は Thompson, Fabiano の2トップの後ろを左に Hernamdez 右にPordeliak を上げ、真ん中の Grant Brehner をもう少し高い 2トップもう少し近い位置に出した。これで少しは挽回できるようになり、40分32秒は Hernadez からのロビングを受けた Fabiano がシュートを放つ。これは Durante がブロックしCKとなりそのCKを再び Fabiano がヘッドで狙うが惜しくもポストの左に外れていった。 前半が終了しベンチに引き揚げる両軍の選手達。 そして歓声を上げる Phoenix サポーター達の歓声が響いた。

メンバーの交代無く後半に入る。 開始直後は Thompson のドリブルを起点に Victory が攻勢に出て49分51秒には Hernadez が右からのセンタリングの Brehner がミドルを放つがクロスバーを越えた。それ以降は Wellington が押す展開が続く。特に右からのサイド攻撃が多かった。51分56秒にはCKから Tim Brown が惜しいシュートを放つ。 
Victory のCB Adrian Leijer, RodrigoVargas らが必死の守りを見せる。CK等のセットプレーでは両チームとも上背のある CB の選手が出てくるので空中戦も見応えがある。  

       

59分Melbourne ベンチは FW Fabiano を下げて遂に大歓声に送られ Robbie Kruse が投入され Thompson と2トップを組む。 Kruse はその直後に Wellington ゴール前でボールを受け右から左にドリブルで流れ Thompson にスルーパスを送る。ここは Wellington のDF陣がマークに入りクリアーするがこのプレーに観衆から拍手が送られる。 しかし Wellington のCB Andrew Durante も Melbourne FW陣には厳しいマークでシュートを撃たせない。 70分過ぎから Victory は Thompson を2列目に下げ、 Kruse と Hernandez が2トップに。そして71分には Pordeliak を下げて Nick Ward を投入する。 Ward の投入で Wellington の攻勢が少し止められるようになった。
そこで Wellington ベンチは 76分に Daniel に替り Marco Rojas を入れ左サイドに置き Ward そして左サイドバックの Surat Sukha と対峙させる。 
Phoenix 相手になかなか2点目が奪えない試合展開にいらいらが募りだした Victory サポーター席からはついに発煙筒が焚かれだした。 

   

そんな中 Wellington は 右サイドバックの Manny Mascat が Vargas をかわしてシュートに持ち込むが Leijer がフォローに入りコーナーに。 89分にはカウンターから最後は Ifill が撃つがGK Moss の正面に。 そしてロスタイムが4分と表示される。 Wellington ベンチは CB の McKain を下げて MF の Michael Ferrante を入れる。もう1点取りに行くサインだ。 Phoenix サポーター達からは歓声があがる。92分には 右サイドから Brown が上げたクロスに Greenacre がヘッドを放つが惜しくもポストの右に外れた。 17,664人集まったスタンドからは安堵と落胆の溜息が上がる。 
そして94分に Craig Zetter 主審のタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。 
選手、サポーター達の様相は対照的。 強豪 Melbourne Victory とアウェーで引き分けた Wellington Phoenix のサポーター達は歓喜に満ちた表情だった。 

  

試合後 Victory の Merrick 監督はピッチの状態に言及していた。二日前に National Rugby League の Melbourne Storm の試合がここで行われた為ピッチコンディションがいまいちとの事だった…

一方の Rickie Herbert 監督は強豪 Adelaide United, Melbourne と連続して引き分けた事に満足しながらも “ここに来たのは昨シーズン迄の様にただ勝点を取る為だけではなかった。”とコメント。
“ゲームプラン通りに進められた事が非常に良かった。数人の選手は遠征の為に疲れていた様だったが良くやってくれた。特に Tim Brown, Vice Lia のボランチがいいコンビネーションを見せた。 またDaniel がトップコンディションに戻って来た事も大きい。 Paul Ifill が守備の面でもよくやってくれた。我々は良くやれたと思うがもう少しチャンスを作れるようにならねばだめだ。” とも語った。
試合終了後クールダンする Phoenix の選手達をサポーター達と見守り続けた。そして Herbert 監督がこちらにやって来て丁寧に各自と握手を交わし、記念写真にも快く応じている。 New Zealand に Football を根付かせようと言う思いが伝わってくる。私も一緒に写真を撮った。

   

“ Good Luck in November 。我々は既に予選を通過した。次は All Whites だ!! “ と彼に言うと回りの KIWI 達に大いに受けた。11月に28年ぶりに本大会出場を決めるニュースが聞ける事を祈っているとも言うと硬い握手をしてくれた。 
日本じゃ代表監督とこんなに話したり出来るなんて考えられないなぁ……

競技場からホテルに戻る途中、来る時にもいた Victory のレプリカを着たバグパイプを吹く女の子がまたいたので楽器ケースにコインを入れて写真を撮らせてもらった。彼女はScotland 出身なのか…. 一生懸命奏でているので声を掛けられなかった……