Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

政権は交代。そしてサンガも変わったぞ。 8.30 柏レイソル 0-0 京都サンガ FC

2009-09-15 | 京都サンガ J-League

8月30日、もうこの日のシナリオはずっと前に決まっていたのかもしれない。
麻生政権が発足以来常に“解散”が毎日叫ばれ、解散後は常に“政権交代”の4文字がこの選挙の結果を暗示する既成事実を作り上げていた。
勿論私も国民の義務を果たすべく投票に行った… そして昼から降っていた小雨が止んだ午後、私は柏に向かった。 
夏休み最後の日曜日、もう子供は大きくなり家族よりも友人達と自分たちの世界を見つけていた。でもこの日は“24時間テレビ”の“イモト”の劇走と夏休みの宿題の仕上げに忙しかったようだ…

柏は千葉県だけど、私の住む埼玉からは近い“アウェーの地”であった。柏駅に到着すると少し小雨が。駅の規模は大きく前に来た10年前はこんなだったかなぁ…と駅名を確認したほどだった。 目の前に“総力戦”の文字が。

     

柏はこの時点で勝ち点 21で17位。降格圏内に低迷している。まだ残り試合が11試合あるとは言え降格を何度も経験してきたサンガサポーターはその気持ちは痛いほど解る。でもこの日は勝ち点を分けて欲しいとしか思わなかったなぁ…
駅から競技場に向かうバス停を親切なボランティアの人に教えて貰ったけど、今度はどのバスに乗れば良いのか解らない。そうしているうちに雨が降ってきた。すると同じ紫のレプリカを着た男性二人連れがやって来て同じようにバスを探している。 結局その人達と一緒に黄色いレプリカを着ているバス停にいた人に競技場までの行き方を尋ねた。彼も長い間バスを待っていたらしく、

“歩いても大したことないのでこのまま歩きましょうか?”
と云ってくれみんなで歩いて行く事に。 道中お互いサポートするチーム事情を話し合った。こういう交流は本当にうれしいし貴重だ。特に移籍したばかりの李忠誠の事に話が及ぶと、サンガサポ達と
“本当にあんないい選手を出すだなんて、何でサンガフロントはその情報をキャッチできなかったんやろう?” “そうですね。大剛が今シーズンあかんから、是非欲しい選手だったんですけど…”

柏サポも寝耳に水だったらしく、ショックだったと語っていた。
“我々は彼をチュソン、っていうんですけどどうも監督が替ってから…” “北京五輪予選はハノイまで観に行ったんですけど、あの時の李はすごかったですね。日本代表も近いと思ったんですけど….” “でもあのベトナム戦だけですよ。“ ”北嶋はどうです?高校は市船でしたよね。すごい選手になると思ったんだけどなぁ…” “ 彼の全盛期はそれこそ市船時代でしょう。“ 
確かに李忠誠は21節から3試合出場機会が無かった。それは監督がネルシーニョに替ったからか? でももっとショックだったのはサンガサポから

“知ってはりますか?ヤナギもパウリもこの遠征には参加してないんです。” 
“えぇぇぇぇぇぇ~。FW無しで試合するんかいな?” 
“タケとソンヨンでしょう。”

確かに前節は林丈統と柳澤の2トップで59分にヤナギに替って入った金成勇の逆転ゴールでアウェー初勝利を挙げたのだけど、この二人がいないとなぁ…. どうやらヤナギは体調不良との事だった…
競技場に到着しても小雨は続いていた。ここまで連れて来てくれたレイソルサポの方に御礼を言って別れ際に
“今日はお手柔らかにお願い致します。”と言ったら。“いえいえ、それはこちらがお願いすることです。”と言われてしまった。

サンガサポの二人と競技場に入る。ここのサポーター席は文字通りゴール裏。 手に取るようにゴール前の攻防がよくわかる。 そういえば柏の前身の日立製作所時代はJSLの試合を観戦にここに来た記憶はないなぁ… それは1987年から2シーズン、そして1990-91 のシーズンに2部に落ちていたからかもしれない。観客席は黄色一色。 JSL時代は各チームCheer Girls を繰り出していたが日立の Cheer 達は黄色と黒のコスチューム。当時我々は“蜂の娘ガールズ”と呼ばれていた。 西京極ももっと紫一色ならないかなぁ…

    

小雨が降り続く中両チームの選手が入場し試合が始まった。サンガは林丈統と組む2トップの1人が柳澤でなく金成勇であること以外は前節の新潟戦と同じメンバー。アキレス腱の怪我で今季絶望の渡邉大剛に替り2列目右には安藤。ボランチにはシジクレイが入り佐藤勇介と組む。サイドバックは右に増嶋、左に中谷。 CBは韓国代表の李正秀と水本。岡田監督は水本をCBの代表候補に加えてくれぬか・・・

         11 林丈統    28 金成勇

  10 ディエゴ                16安藤

       3 シジクレイ      7 佐藤勇介 

   8 中谷   14李正秀   4 水本  24 増嶋

             GK 21 水谷

柏は前節のマリノス戦のスタメンから薩川がベンチスタートとなり小林慶行がベンチから外れ、村上が右サイドバックに、粟澤がボランチにそれぞれ入った。栗澤は前節は累積警告で出場停止だったらしい。

開始早々李正秀と栗澤がぶつかり栗澤が立てずに外に運び出され、ピッチの横で治療を受け頭に包帯を巻いて3分後に柏サポーター達の拍手を浴びてピッチに戻って来た。
       

開始から水本が攻撃参加をし、水本があがるとシジクレイが後方を埋める。 柏はポポがほぼ1トップで右に田中左に大津がフォローに入る。 ポポは左右に動いてサンガの天敵フロンターレのジュニーニョを思い出させる動きをする。
また前の対戦ではサイドの選手に結構やられたのでこの辺は要注意オだ。
10分38秒、後方からの浮球をFW田中順也が上手くトラップをしてシュートを放つがここは正秀がすばやくブロック。 その直後にはカウンターからディエゴがドリブルで上がるが戻った村上がスライディングタックルでシュートを撃たせない。
両チームともオフサイドが多いが、サンガはミドルパスを多用し柏DF陣は押し上げが早いのでトラップに引っ掛る。13分ポポのドリブルであがり正秀がマークに入る前に中に入れ、田中が決定的なショットを放つが水谷がファインセーブ。ほっと胸をなでおろすが、ポポのドリブルは脅威だ。 サンガDF陣はこういうタイプの攻撃を苦手にするのかもしれない。しかしこの雨脚でドリブルのスピードも鈍るだろうとも思った。 

15分今度はディエゴがドリブルで上がり金成勇にクロスを送りヘッドでおとしたところを中谷が撃つがここは力なくGK菅野の正面に。18分からは今度は正秀の攻撃参加が目につく様になった。しかし攻勢を見せるのは柏。特にポポのドリブルは脅威で自らもミドルを放つ。 また田中順也も21分40秒には浮球を利用して佐藤と水本をかわして中のフリーのポポに送る。しかしポポのトラップがやや大きくシュートを撃たれる前に正秀がクリアーしてくれた。田中は浮球の処理が上手く24分にも浮球を利用してシュートに持ち込むがここは正秀が身体を寄せてコーナーに逃れた。 
ポポが左右に動くたびに2列目もポジションを替えて前に出てくるのでちょっとマークがずれ気味。 前半はサンガサポーターが陣取るゴール裏を目指して柏が攻めてくるので何度もはらはらさせられた。 
30分過ぎから柏は両サイドバックが積極的に上がってくる。そして雨脚も強くなってきた。33分には小林が増嶋を振り切り左サイドを突破し入れたクロスに田中がヘッドで合わせる。 やられたっ、と一瞬叫びそうになったがここは水谷がまた弾き出してくれた。 村上(右)小林祐三(左)のサイドバックの攻撃に完全に後手に回ってしまっていた。
それでも38分サンガは左サイドを崩しこぼれたところを最後は正面から佐藤勇介がフリーで放つがGKの正面に飛ぶ。あぁ決定機だったのだけど… 
その後も柏は42分に村上が右から上げたクロスにポポと小林祐三がなだれ込むが水谷がストップ。 その直後にも右サイドの菅沼からポポにスルーが入るがここは中谷がクリアー。何度もはらはらするも何とか無失点で前半を終えてくれた。

     

エンドが替って後半、今度はサンガがこちらに攻めてくる45分。何とか得点シーンを..と期待する。開始早々の46分、杉山が右サイドでディエゴの後ろからタックルに入りディエゴが倒れる。松尾主審の笛が鳴りカードが出される。杉山は 34分にもカードを受けておりこれで退場となった。ディエゴは一旦外に運び出されるが次のプレーが始まる前にピッチに戻って来た。

        

これで相手は一人少なくなった。ここは攻勢に出てくれると期待した。そのFK、丈統が入れ、ディエゴからシジクレーに渡りシュートに持ち込むがGK菅野がポストにぶつかりながらボールを弾き出しゴールはならなかった。 
しかし以降サンガも攻撃が続いた。柏は菅沼に替って大谷が投入された。 柏は後半から田中を下げてフランサを投入していた。何度か危ない目に遭わされた田中が下がってくれた事は吉報でもあった。
一人少なくなったせいか両サイドバックが上がってこなくなった。そして反対に増嶋、中谷のサンガの両サイドバックの攻撃参加が顕著となって来た。 
68分には安藤と増嶋のパス交換から大津、小林をかわして右サイドを突破。そして攻撃参加の佐藤勇介が最後はシュートを放つがポストの左に外れていった。
69分にサンガベンチは成勇を下げて中村充孝を投入。充孝は市立船橋高校の出身だ。柏ベンチにいる大先輩の北嶋秀朗はこの試合出てくるのだろうか? 
これでサンガは充孝とディエゴの2トップとなり2列目が左から安藤、佐藤勇介、丈統とフォーメーションを替える。安藤を左に置いたので対峙する村上が上がれなくなった。 
78分にレイソルベンチは近藤に替えて鎌田を投入する。おそらくこのまま守備固めか… それでも84分右からのクロスを受けたフランサが身体を反転させて惜しいシュートを放つ。 
そして85分、中央から右サイドにボールが出ると小林祐三を振り切った中村充孝がフリーで柏ゴールに迫る。サンガサポーターが一斉に立ち上がり充孝の足元を凝視する。しかしそこから放たれたショットは菅野が信じられない反応でセーブ。一斉に落胆のため息が上がった…… 市船OBの充孝よ、ここで決めていたら大変な“恩返し”になったんだぞ…
こうなると残り時間から勝ち点1を守るのか?勝ち点3を取りに行くのか… と思いながらピッチを見るとシジクレイが攻撃参加している。よしここは勝ち点3だ….と思うとカウンターからあっという間に中央を突破される。そして正面からポポがフリーで放つ。後ろに陣取る柏サポーター達の歓声が聞こえるが水谷がファインセーブでストップ。 今度はこちらがしゃがみ込んでしまった。そういえばサンガは良く試合終了間際に失点していたなぁ… 
ロスタイムが3分。 まだ得点のチャンスがあると必死に声援を送る。でも良く考えたらこの試合観戦は今シーズンは最後になるかもしれない。関東開催のゲームは10月にジェフ戦が残されているがおそらく仕事が入るだろうしなぁ….
今年はサンガの勝ち試合が見られないのかぁ….と思っていると試合終了のホイッスルが鳴った。 あぁ10人の相手にあれだけ攻めていながら……

挨拶にくるサンガの選手達に残り試合も頼むぞ!!と声を掛け雨の中競技場を後にした。 
帰りの電車の中で偶然に来る時競技場まで連れて行って頂いた柏サポの方に再会した。 
“1人少ない中タフに守りましたね。”
“えぇ。鎌田が入った時点でこりゃ引き分け狙いだなと思いました。”
“杉山ちょっとついていませんでしたね。あれはちょっとタイミングが遅れて後ろからのタックルになりましたね。”
“そうなんですよ。杉山はよく退場になるんですよ。”

そのサポーターとも別れ、家に着いた時はまだ“イモト”はゴールインしていなかった。 しばらくして選挙速報が入って来た。民主党が当選確実を増やす。あっという間に100にそして200に…… マスコミの先導通りに政権交代となった。 

遅い夕飯を食べながら家族で選挙の事、イモトの劇走そしてこの日の試合の事を話した。 充孝よあのシュート決めてくれていたらレッズを順位で抜いたのに….. でも次は決めてくれぃ !!

数日後、李正秀が韓国代表の一員として Soccoeroos との試合に臨んでいるのをテレビで観戦した。そしてその数日後サンガはホームでFC東京を破った。政権は交代したがサンガも変わりつつある事が良く解った。