Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

イラク リベンジ Socceroos 砂漠の中で無失点記録ストップ

2008-06-12 | 夏季五輪
6月7日。この日はサッカー観戦三昧であった。と言っても競技場に足を運んだわけではないけど……

午後3時からは日産スタジアムで開催された中田英寿氏の登場したプラスワンフットボールマッチ。中田ヒデもさることながら WORLD STARS の監督を務めたモウリーニョ氏。そしてダービッツやセードルフらの面々。JAPAN STARS は釜本監督自らがピッチに立つなど久々に観ていて楽しい試合であった。

そして夜、午後10時からのワールドカップ予選、オマーン対日本、試合終了直後に始まったドバイでのイラク対オーストラリア戦、更に午前0時50分過ぎからは欧州選手権こと EURO2008 の開幕戦。あぁ日本対オマー戦の前には中国対カタール戦が…….. 更に4大会振りに五輪出場を決めた男子バレーボールの日本対アルゼンチン戦、最後はどうやって寝付いたかわからない。翌朝家内の不機嫌な“いいかげんにしてよ!!”の一言で目が覚めた。そうだった、テレビとパソコンが点けっ放しだった……….

6日前 Brisbane Suncorp Stadium で強敵イラクにアジアカップでのリベンジを果たした Socceroos 達は翌日イラクとのリターンマッチに臨むべく中東のドバイに旅立った。 最近の“インターネット時代”のおかげで日本にいながらもアジアの試合が楽しめる。本当にサッカーを取り巻く環境は“ありがたい”時代となっていく……….
ドバイの Al Ahli Stadium には黄色いシャツを着た集団もいたけど圧倒的に多かったのは“地元”イラクを応援するサポーター。おそらくイラク人だと思うけどその老若男女は現地在留のイラク人達なのだろうか?それともイラクからわざわざ“ホームゲーム”の為にわったって来た人々なのだろうか………
イラクのスタメンは Brisbane でのアウェーゲームと全く同じメンバーで同じポジション。考えてみれば試合内容はけっして押されていた訳でなくシュートミス等が無ければその決定機の多さから勝点を奪ってもおかしくなかった内容。Adan Hamad Majeed Al Abbasi 監督は同じメンバーでもう一度 Socceroos に挑戦と言ったところか……

一方のオーストラリア代表 Verbeek 監督。 Scot Macdonald, Mark Bresciano の二人を外し、前節途中出場の Carl Valeri, そしてDFの Christpher John Coyne が起用された。 Coyne はEngland 3部リーグに所属するColchester United の所属。 Coyne の起用は Lukas Neil が Partner ( 入籍をしていないらしくこう表現されていた。) 出産の為に中東遠征に参加出来なかった為とフォーメーションの変更から。守護神GK Mark=Schwarzer は かわらずもDFラインが4バックから Michael=Beachamp, A-League はNewcastle Jets 所属のJade=North そして Christpher=Coyne の3バック。そして Vince=Grella と Carl Valeri がボランチのポジションで中盤の両サイドには右に Brett=Emerton, 左にDavid Carney。しかし前半はこの二人は後ろにポジションを取る事が多く3バックを含め5バック気味となる時間帯も。前線は Harry=Kewell のワントップに Jason=Culina とLuke Wilkshire が2列目を形成。話題となっていた長身 190cm FW の Joshua=Kennedy はベンチスタートなったけど、何故 Kewell のワントップにしたのだろう?既に勝点7を挙げ最終予選進出に王手をかけている余裕からだろう。 しかしWilksher, Emerton から繰り出されるロングボールは精度が高いので Kennedy をベンチに置きその武器まで封印する事は得策だったか?? 

 

試合は一進一退。 両チームともなかなかシュートチャンスが訪れない。Brisbane のゲームとの大きな違いは観客の声援。 Suncorp Stadium では48,678人の観衆のほぼ8割が Socceroos を後押ししたがここでは入場者数この約8,000人程度だったらしいが反対にほぼ9割が“地元”イラクを後押しする。しかも声量と熱気は Suncorp での Socceroos へのサポートの質量を凌駕する。 エース Kewell にボールが渡れば Basem Abbas らがすばやくマークに付き自由を奪う。 Brisbane のゲーム同様 Younus Khalaf, Emad Ridha の2トップが中央から突破を図る。しかしこの日の Socceroos は守備的な陣容。心配された North そしてこの試合に抜擢された Coyne が安定した守備を見せ、また Carney, Emerton のサイドの選手達も Brisbane の試合後に指摘された“攻撃偏重”は自重しDFラインを助ける。 
イラクの攻撃はセットプレー以外からは脅威を感じさせられなかったがそのセットプレーから先制ゴールを挙げる。27分、ゴール正面やや左だったとはいえ30mほどの距離のある所でイラクはFKを得る。セットするのは Emad Mohammed 。Far Side にクロスを送る様に放物線を描いて蹴りあげたボールは Schwarzer を破り6試合連続揺らされる事のなかったオーストラリアゴールネットに吸い込まれた。 拡声器を使って中東独特のメロディーを流し続けイラクイレブンを鼓舞し続けて来たスタンドからは大歓声があがる。 
この得点シーン、昨年アジアカップでのイラク戦、22分の Nashat Ali の先制ゴールを再現させた。 どうもこの手の弾道は Schwarzer は苦手としているか?それともGKが最も取りにくいコースなのか? しかしオーストラリアサポーターとしては Schwarzer の出だしの最初の1歩が少し遅れた様にも感じたか……….

後半になると Verbeek 監督はメンバーチェンジを交えながらフォーメーションを“攻撃的”にシフトチェンジを。まず前半終了間際にイエローカードを貰ってしまったGrella を下げてBrett=Holman を投入しトップ下に。そして Wilksher を右サイドバックに置き4バックにしCarney, Emreton を高い位置に上げた。これで Kewell が孤立気味となっていた最前線にボールが回りだし、特に Holamn のサポートから前半より遙かに得点チャンスの気配が漂う。65分にDF Coyne が下がり遂に Josh=Kennedy が投入される。オーストラリアのDFラインはここでロングボールに定評のある Wilksher が中盤にあがり3バックに。71分には Kewell が下がり Glasgow Celtic の Macdonald が入る。 Carney とのパス交換からゴール前に迫るがイラクDF陣もタフ。さらに相手選手と交錯してもなかなか立ち上がらず Soceroo 達の焦燥感を煽る。結局オーストラリアは1点が返せず昨年9月 MCG でのアルゼンチン戦以来の黒星、失点そして完封負け。日本人の松村主審のホイッスルが鳴り響くや“地元”サポーターからは大歓声があがり大小のイラクの旗が打ち振られる。この試合前に中国が敗れた為にイラクが3位に浮上。そして最終予選進出に望みを繋いだ。 

 

試合後 Verbeek 監督は “Mark=Shcwarzer は2秒ほどポジションを誤った。Mohamme dが同じFKを100回蹴っても99回はそこへは飛ばないだろう。 Mark はこれまで何度も我々を救ってきた。それはありふれた事でそれが Football だ。前半の我々は殆ど試合をコントロールした。”と GK をかばいながらも “ 前半は守備的に。後半は我々が出来る事はすべて出来た。チャンスもつくれたし攻め続けた。Brett=Holman の決定機( Kewellのヒールパスからのシュート)は決めるべきだと思う。もしあの様な絶好機を逸してしまえば後悔するだろうが選手達のメンタリティーについては否定的な事はいえない。” ともコメント。そして ”次のカタール戦に向けて選手達の肉体的、精神的状態を注視せねばならない。“と次戦に対しての切り替えを示唆した。

6月14日ドーハで行われるカタール戦には Kennedy は夫人の出産の為に合流しない。そして同じく出産の為に 合流していなかったLukas=Neil は “中東で戦えるコンディションでない。” と言う Verbeek 監督の判断で6月22日の中国戦から合流。Grella が累積警告でカタール戦に出場出来ず守備に不安を残すがイラク戦の連戦を経たJade North がその試合ごとに戦術と他のDF選手達とフィットしてきている、と自信をのぞかせる。攻撃陣では Holman のスタメンが予想され Kewell のパートナーに。カタールは2月のメルボルンの試合が出場停止だったエース Sebastine Quintana そしてブラジル人帰化人選手Marcone Amaral, Fabio Cesar の攻撃陣が健在。“ドーハでも勝点1がとれればよしと出来る。そして最終戦(中国戦)はホームで戦える。” と述べているが………

最後に地元紙はドバイに渡った Socceroos ファンの災難を記事にしている。実際の価格の20倍でチケットを交わされたとの事。どうもイラクサポーターと Sooceroos サポーター達への販売価格が“二重構造”になっていたらしくイラク人達には 20から50 Dirhams (約500円から 1250円 ) で販売されオージー達にはUS$100 ( 約1万300円)で販売されたらしい。この試合のチケット管理はイラク協会に委ねられており、オーストラリア協会 FFA には知らされていたかったらしい。オーストラリアからやって来た男性4人組が Socceroos の練習を見学しているとイラク協会のスタッフに“チケットを買わないか?” 声をかけられ2時間待たされたあげく US$100 を請求されたとの事。また試合球での練習が認められたのは最後の2度の練習のみ。それがあの失点につながったか…….

思い出すのは15年前商用でブカレストを訪れた私はワールドカップ予選のルーマニア対ベルギーの大一番のチケットを入手し喜び勇んで会場の Steaua Stadium に知人達と向かったがなんと入場できない人々がわんさと。彼らはみなチケットを手にして“入れろ!! 入れろ!! ”の大騒ぎ。最後は警官隊まで出て来ての大騒ぎ。しかたなくホテルに帰ってテレビ観戦をしたのだった…………..

どうやら中国はまたも最終予選を前にしてワールドカップを断念せねばならない様だが…….オーストラリア、イラク、そしてカタールのいずれかが最終予選で日本と必ずあたるのか……. 今後の厳しい戦いを想像すると….. しかしまずその挑戦権を勝ち取らないと.