Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

やはり遠かった五輪 しかし灯は消さないでくれ……. 女子ハンドボール五輪最終予選

2008-04-06 | バスケ ハンド

空前のハンドボールブームがほんの一瞬日本列島を席巻した五輪再予選から2か月以上が過ぎた。男女ともに韓国の軍門に降ってからハンドボール人気はどうなるのだろうかと思った。 
2月17日イランで開催された男子アジア選手権では何と7位に終わり2009年の世界選手権の出場権をのがしてしまった。1勝1敗1分で迎えた予選ラウンド最終戦のカタール戦では前半終了時で 17-11 とリードしながら終盤でミスが続き31-32 で敗れグループ4位に終わり決勝ラウンドを逃し最後の順位決定戦で何とか中国を 38-35 で破り何とか7位に入ったがハンドボール人気を繋ぎとめる為にも世界選手権出場権は確保してほしかったが….. それでも3月15,16日に駒沢体育館で開催された日本リーグのプレーオフでは大観衆を集めたらしい。(俺も観戦に行きたかったけど。) 
女子に目を転ずると3月6日から3日間の日程で中国国際大会に臨み(vs 中国 24-28, vs 韓国 30-31, vs カザフスタン 28-24 ) 3月15日~25日はオランダで合宿を行い フランスで開催されるIHF 世界最終予選に臨む予定であった。
ところが3月20日のスポーツ仲裁裁判所の決定で女子の再予選が無効とされ急遽五輪最終予選の組み合わせが変更され日本はフランスで開催される第3グループからルーマニアで開催される第2グループにかえられ、3月28日からルーマニアのブカレストで地元ルーマニアとハンガリー、ポーランドと共に出場権を争う事となった。上位2カ国まで出場権が与えられるとは言ってもルーマニアは2007年12月にフランスで開催された女子世界選手権で4位。ハンガリーは8位。ポーランドは11位で日本は19位。相手は全て格上だ。もしグループ2だったなら世界選手権5位のフランスは別格としてコートジボアール、コンゴを相手にする事を考えれば…….

ブカレストはかつて駐在をしていたことがる。今から14年も前の事だ。当時アメリカでワールドカップが開催されハジ、ドミトレスク、ラドチョイ、ベロデヂッチらを擁してベスト8に進出した地元ルーマニア代表が勝利を挙げる度に街中が大騒ぎになった事を思い出す。まだ革命が起こって4年足らずで他の東欧諸国と比較しても遅れたところが多々あった。そんな中サッカーはブルガリアと並んで欧州でも上位に名を連ねていた。ハンドボールの方では恐らくサッカーの UEFA Champions League の様な大会であろう女子の試合を何度かテレビで観た事があった…

最終予選の開催されたブカレストの Polyvalent Hall 。どこにあるのだろう……いつ建てられたのだろう…. てな事を考えてしまう…….

3月28日のルーマニア戦、開始早々藤井、坂元の連続得点でリードし、 Maier に1点を返されたあと坂元、東濱の得点で 4-1 とする上々の滑り出し。しかし20分48秒に Neagu のシュートで同点にされ、続いて Balint のシュートで 11-12と逆転されるその直後早船愛子の同点シュートが決まるが、その後連続6失点を喫し、最後は 20-44 と惨敗を喫した。格上相手に敗れるのは仕方ないにしても24点差は以降の星取りに影響を与えるものであった。しかもこの試合で愛子姫こと早船が負傷。以降2試合欠場を余儀なくされる事になった。

それでも翌日のポーランド戦は見違えるような動きを見せ 29-27 と接戦をものにし最終日のハンガリー戦に望みを繋いだ。開始15分23秒まで小松、藤井、東濱のシュートが決まり 6-1 と主導権を握る。後半には青戸、小松が相次いで退場となり追い上げられるシーンもあったが最後は何とか逃げ切り格上から貴重な白星を挙げた。愛子姫はおらずとも五輪予選4度目の田中美音子の9得点そして小松真理子が7得点でチームの勝利に貢献した。そして翌日のハンガリー戦が非常に楽しみであった。

     

3月30日深夜。この五輪予選の試合を放映してくれたNHK衛星放送に敬意を払いながらテレビの前に。相手のハンガリーはシドニー五輪では銀メダル、続くアテネ五輪では5位、昨年の世界選手権では8位。その世界選手権のグループリーグ初戦では日本を 35-31 で降している。この五輪最終予選ではポーランドに 39-30 で快勝し日本が大敗を喫したルーマニアには敗れたとは言え接戦を演じ 29-31の惜敗。要注意選手はAnita Görbicz と Timae Toth 。昨年の世界選手権の日本戦ではGörbicz が10得点、Toth が5得点。この最終予選も Poland 戦ではGörbicz12点、Toth14点、ルーマニア戦ではGörbicz 、Toth共に8点ずつ決めており二人ともアテネ五輪メンバーで大会通算でGörbiczが17点、Tothが34点決めている。Görbiczは2005年の世界選手権のMVP選手。 その他 Bernadett Ferling と GK Katalin Palinger がアテネ五輪経験者。Palinger は銀メダルを獲得したシドニー五輪のメンバーでもあった。
一方の日本。世界選手権でハンガリー相手に4得点の早船は負傷でプレー出来ず、5得点の金城晶子はメンバーに入っていなかった。ここはハンガリー戦6得点で1月の韓国戦で7得点のの田中、そして韓国戦で5得点の184cmの谷口に期待したいとところだった。 世界選手権では敗れはしたが接戦を演じたのだから.....

試合は開始からToth、Ferlingの連続得点を喫する立ち上がり。東濱のシュートが止められ、飛田がTothのシュートを左足で止めた後の1分58秒、藤井紫織のパスを受けた坂元智子がポストプレーからシュートを決め、2分31秒にターンオーバーから藤井が遠めからのシュートを決めて 2-2 に。その後ハンガリーのTothのシュートを飛田が止め、攻撃に転じた日本は真ん中から田中がワンバウンドシュートを撃つがGKPalinger の正面をつき逆転のチャンスを逃した。
その後ハンガリーはFerlingが連続シュートを決め 2-4 とされるが、ハンガリーの4点目は日本が攻撃時にハンガリーゴール前でのミスパスを拾われてからの速攻から。格上相手に失点に繋がるミスは最小限にとどめたい。それでも日本はそこから藤井が連続得点を挙げ 4-4 に追い付く。2本とも180cm のFerlingのマークも何のそのとばかりの素晴らしいシュート。ハンガリーの攻撃も谷口がイエローカードを受けるほどの激しい守りでシュートを容易に討たさず、そしてGörbiczのシュートを飛田がブロックした後に同点にするなど良い流れを掴み掛ける。8分21秒にはターンオーバーから東濱がシュートを打つがここもPalinger にセーブされリードのチャンスを逃す。そしてFerlingにまたも連続得点を許し 6-8 に。先に7点目を取ってリードしていれば試合の流れも大きく変わっていただろうに......  
Toth、Ferlingは180cm 以上の長身選手。正面からどんどんシュートを決めて来る。日本はポストに田中が入ろうとするが体格に勝るハンガリー選手達が仕事をさせない。それでも 7-9 とされた11分54秒に小松が連続でシュートを決め三度同点に。8点目は谷口のカットから速攻に転じ、9点目は右サイドからGörbiczを振り切っての素晴らしいシュートであった。しかしここからまたもFerlingが連続得点そして Gabriella Szücs に決められどうしてもリードが奪えない。その間日本も藤井、田中がシュートを撃つがPalinger に止められるなど得点が伸びない。17分44秒に藤井が Szücs, Monika Kovacsicz の間からシュートを決めて 10-12 とするがそこから連続5失点を喫し10-17 と差を広げられる。 Orsolya Verten に決められたあと日本はパスミスが続きその上藤井が退場になるなど苦しい展開が続く中GK飛田がVertenのジャンプシュートを防ぐなど必死の防戦をするが長身の Szücs が上町のブロックをものともせずにシュートを決め、Görbiczがサイドハンドでスピードのあるシュートを叩き込む。ここで日本ベンチはたまらずタイムアウトを取るがその後もGörbicz、Vertenに連続ゴールを決められるが共にカウンターを許しての失点。本来なら日本がせねばならない攻撃であったが......
7点差とされた日本は24分19秒に田中からのパスを受けた坂元がポストからのシュートを決め、速攻から東濱が決めると今度はハンガリーベンチがタイムアウトを取る。タイムアウト明けも日本はしつこいマークでハンガリーにシュートを撃たさず、ポストに入った坂元が東濱のパスを受け撃ったシュートはゴール枠を外れるがその後のFerlingのシュートをGK勝田が止め東濱が正面からのシュートを決めて 13-17 の4点差に迫る。 上背のあるハンガリー選手を相手にマークがどうしても甘くなっていたのだがこの時間帯は前に前に出てマークにあたっていたのでハンガリーも容易にシュートが撃てなかった。このディフェンスを続けながら何とか得点を重ねて点差を詰めてほしかったが ポストに入ったZita Szamoransky がFerlingからのパスを受けてシュートを決められ、Tothに連続得点を許し前半は 14-20 で終わった。昨年の世界選手権では前半が終わった時点では 16-19 だった。 Ferlingに6得点、Toth、Vertenに4点ずつ喫した。Görbiczは2得点に何とか抑えたと言うよりもどちらかと言えば得点のお膳立て役に回ったと言った感じだった。そしてマークももっとタイトに行って欲しい気がしたが........

スタンドには在留邦人の方達か日本人方達の応援も数十人はいた様だった。私が駐在している時は大使館そして子供を合わせても在留邦人は150人もいなかった。今は何人いるのだろう。 ルーマニアはハンガリー系(マジャール系)も多くおり特に国境をハンガリーと接する北西部には多い。チャウセスク時代はマジャール系の人々は弾圧されたらしい。この日はハンガリーをサポートする観客が多いかと思っていたがそうでもなかった。

何とか先制点が欲しいかった後半の立ち上がり、田中からポストに入った坂元へのパスがカットされ速攻から Szamoransky に決められ 14-21 に。だがそこから連続得点で 16-21 にする。32分15秒に田中のパスを受けた藤井がこの日6得点目を決め、その後も速攻から小松が決めた。ハンガリーの守備陣形は 5-1 。そこでポストプレーを狙うが、そこは読まれているみたいだったが。16-22 の36分4秒、Kovacsicz が谷口へのファールで2分間退場になり日本に7mスローが与えられる。それを田中が決めて17-22 と5点差に。このチャンスに得点差を詰めかったのだがここもVertenに連続得点を許すなど逆に 18-25 と点差を広げられる。19-26 となった40分6秒には再びKovacsicz が今度は東濱へのチャージで2分間退場そして 7m スローを貰う。これを田中が決めて 20-26 。時間はまだ20分弱あるのでこのチャンスに何とか点差をと思うが、ここから決定的な連続6失点を喫する。41分にはこまつがエリア内ファールを取られGörbiczが 7m スローを決める。その後藤井のシュートがストップされた後左から右に流れた Görbicz に強烈なシュートを叩き込まれ 20-28 。このシュートを見せつけられた時私は“これはもうあかんわ....“と観念してしまった。
日本は谷口が攻撃に入るがマークがきつくてボールが手につかない。ドイツでプレーする184cmの谷口も欧州の選手達の間では体格は生かせないか..... 日本も攻撃に転じはするがハンガリーのプレスが厳しくない場面でもミスパスが目立つようになりそこから失点に結びついてしまう悪循環。そして藤井のシュートがバーに当たり東濱のシュートがセーブされるなど運も尽きて来た.......
Görbicz のロングパスを受けた Verten がこの日9得点目を決め20-32 と12点差がついてから長野を投入した日本が3連続得点を決め最後の意地をみせるが東濱のカットインからのシュートが決まり 23-32 となった時点で既に残り時間は10分を切っていた。
後はTothの連続得点やGörbiczのワールドクラスのアンダースローのシュートが決まる。日本も藤井が気を吐いてこの試合両軍最多の10得点目を決めるが勝敗には影響しなかった。59分57秒にはハンガリーゴール前のこぼれ球をGK に入ったOrsolya Herr がボールを拾わずタイムアップのホイッスルを聞いてからGörbicz と顔を見合わせ勝利と五輪出場権獲得を祝福し始めた。少しは期待したがこれは妥当な結果だろう。
しかし何度かチャンスはあったが結局同点に追いついてもそこから得点を挙げられる1度もリードを奪えなかった。そして相手選手の退場でチャンスをもらってもそれを生かせない、その勝負所を抑えるところはさすがハンガリーであった。
しかし日本はミスが少し多かったか.........

ボディコンタクトの多いハンドボールでは体格差は決定的な差をもたらしてしまう。それだけに機動力をもって対抗してもらいたいのだがハンドボールが欧州でプロ化して来てから欧州の代表チームも動きが速くなっているらしい。 この最終予選をテレビできっと多くの人が観て更にハンドボールに興味を持った人が増えたと思う。私もGörbiczの様なワールドクラスの選手をこの中継で知る事が出来た。Görbiczは身長 177cm だが体重は 55kg とモデル並みのプロポーションだ.........
4年後のロンドン五輪を目指して女子はアジア選手権、世界選手権そしてアジア大会とメジャーな大会をひとつずつこなして行って欲しい。涙にくれる日本選手を見てそう思った。 Poland 戦の勝利をそのスタートとして欲しい。
そしてテレビ局はもっともっと国際試合のスポーツ中継を放映して欲しい。くだらないお笑い番組やアイドル番組が蔓延するテレビ番組は不要だ。 

あぁ日本のスポーツ界をもっと根本から........

    

そして下記のニュースが

聯合ニュースは2日、韓国ハンドボール協会がアジア連盟(AHF)から科された罰金を支払う方針を固めたと伝えた。やり直しとなった北京五輪アジア予選に参加した日本と韓国に対し、AHFは1000ドルの罰金を科し、支払期限を5日としていた。

 韓国協会の鄭亨均副会長は「5日までに1000ドルを払う方向だ。韓国は男女が五輪出場という目標を達成したから、これ以上AHFと良くない関係を続ける必要はない」との考えを明らかにした。一方、AHFの東西分離案について、同副会長は「罰金を払うからといって、やめるのではない。6日に熊本で東アジア連盟会議を開き、詳細について論議する」と語った。

       おいおい。五輪出場権獲得出来たらそれで終わりかよ.......