Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

ウズベッ!!キスタァン!! ベスト8進出 !! Uzbekistan 3-0 China

2007-07-20 | Asian Cup
もう10年も経つのかぁ….. 1997年10月11日。ウズベキスタンの首都タシュケントで行われたフランスワールドカップ予選。前半に許したカンバラエフの先制ゴールを挽回出来ずに時間は刻一刻と過ぎついにロスタイムに。中継をしていたNHK のアナウンサーが “いよいよ苦しくなってまいりました。” と言ったのを聞いた私は本当に内臓がよじれる様であった。そして井原から上げられたロブを前線の呂比須がヘッドで合わせると、ウズベキスタンの GK は走り込んだ KAZU の動きに惑わされ一瞬ボールを取る動作を止めた。そしてボールはそのままウズベキスタンゴールに転がり起死回生の同点ゴールが生まれた。このゴールが無ければ日本のフランスワールドカップ出場は無かっただろうし、また KAZU のこのフェイントこそ修羅場と経験をいくつも積み重ねてきた選手だからこそここで出て来たものと今でも信じている。
そして2年前の9月に同じくタシュケントで開催されたドイツワールドカップ予選プレーオフのバーレーン戦。世紀の誤審と言われるPK取り消しの判定が原因で再試合となり、結局バーレーンがアジア地区5位の座を勝ち取りトリニダードドバコとのプレーオフに臨む事に(結局負けたけど。)その時の主審は日本の吉田氏であった。

ベスト8が次々と決まる中、いよいよ最後の2つ(正確にはイランがほぼ決定的だったので最後の1つか?)を争うゲームがウズベキスタンと中国の間で行われた。中国は三日前にイランと引き分けているのでウズベキスタンとは引き分けられる。しかし、日程が中3日のウズベキスタンに対して中国は中2日で1日短い。その上、李偉鋒と鄭智のDF選手二人が累積警告で出場停止だ。一方の勝たねばならないウズベキスタンは MF Inomov を累積警告で欠いているがその影響はどうなのだろう?
夕方から雨が降り出し、午後8時になっても交通渋滞が酷かった。競技場に到着したのは丁度キックオフの時間で競技場の外からでもキックオフのホイッスルと観客の歓声が聞こえた。 急いで着席をすると10分程度時間が経過していたが、まだ両チーム無得点でほっと一安心。この試合のあった Shah Alam Stadium は1996年3月、アトランタ五輪アジア地区最終予選が行われ日本がサウジアラビアを降して28年振りにアジアの壁を破った思い出の競技場だ。造りもなかなか立派で陸上競技トラックはあるが(ただ私はこのトラックが無いと寂しい)観客席の傾斜が大変見易い角度になっており、 Bukit Jalil National Stadium と並んでマレーシアでの競技場のレベルの高さを再認識した。決勝戦はあの見難かったインドネシア・ジャカルタの Gelora Bung Karno Stadium で開催されるが、何故決勝戦は AFC 本部のあるここマレーシアで行わないのだろう?と不思議でならない。

中国は出場停止のDFに替って杜威と張帥がDFラインに入っている。杜威は中村俊輔が Celtic 入りした後に Celtic にやって来たが数カ月で帰国した過去がある。また GKが1,2戦スタメン起用された李雷雷でなく楊君が起用された。一方のウズベキスタンは大勝したマレーシア戦で MF Inomov Islom が今大会2枚目の警告を受けて出場停止。スタメン3人を入れ替えて来た。立ち上がりは引き分けても良い中国が攻勢にでる。19分には周海濱のFKが直接ゴール枠に飛びGK Nesterov がパンチで弾きコーナーへ.。そのCKから邵佳一が頭で合わせるが僅かに外れる。イラン戦2得点の毛剣卿がこの日もよく前線でチャンスにからむが、毛へのマークは最初から厳しい。ウズベキスタンはややラインが引き気味でカウンター狙いだが、右サイドの Ibragimov Aziz のサイド攻撃が起点になる。 21分には Ibragimov が右サイドを突破し入れたクロスに Bakaev が頭で合わせるが孫継海が何とかコーナーに逃げる。26分にはその孫継海が倒されててFKを得る。中には毛剣卿と韓鵬が入るが中国の選手達は結構上背がある。まぁウズベキスタンもアジア系が多く、北欧の選手のように皆が長身と言うわけでは無いが。 30分を過ぎる試合が徐々に激しくなって来る。32分に Djeparov が韓鵬を倒せば、その後のカウンター攻撃から Djeparov が今度は邵佳一を倒す。やがてウズベキスタンが主導権を握る出す。34分に Ibragimov の入れたクロスの旦跳ね返りを Shatskikh がフリーで撃つが外れる。37分にも Djeparov のポストプレーから Shatskikh が撃つがシュートはゴロで力無く GK 楊君の正面に。39分にも Bakaev が右サイドを突破し中で受けた Shatskikh が体を反転させ左に送るがそこには誰も走り込んでいなかった。 試合前ウズベキスタンの選手はBukit Jalil と比較して Shah Alam のピッチ状態がいまいちだと言っていた。そして試合開始前から少量とはいえ雨が降り続いておりテクニックを駆使する選手には不利なコンディションだが、 Shatskikh はどちらのタイプの選手なのだろう? 40分にイラン戦2得点の毛剣卿 が王棟と替ってベンチに下がる。怪我でもしたのかな?その後もウズベキスタンの攻勢が続く。またも Ibragimov が右サイドを突破し Shatskikh へナイスクロスを送るが僅かにオフサイド。43分にはスローインをヘッドで落とし Djeparov が強烈なミドルを放つ。そして中国はウズベキスタンの猛攻を何とかしのいで前半を終えた。ちょっと中国は劣勢だなぁ…..

私が座っていた座席はウズベキスタン大応援団のまん真ん中。熱心に声援を送るリーダーに合わせてリズムよく声援を送る。訊けば殆どが本国からの応援ツアーとの事。面持ちを見ると結構アジア系の顔つきが多く親しみを感じてしまう。一方の中国は大応援団がバックスタンドに集っているのでイラン戦の様に両国の声援が入り混じる事は無いのが第三者としては少し物足りない。


後半、中国はどうやって勝点を確保するのだろう。そしてウズベキスタンは勝つためにどういう戦術をとるのだろう?開始早々今度も中国が攻勢にでる。53分には韓鵬がミドルが放ったミドルは GK Nesterov がセーブ。60分にはFKを孫祥が直接狙うがこれも Nesterov がコーナーに逃れる。このCKを孫祥が上げてこぼれたところを韓鵬が撃つが入らない。 前半もそしてイラン戦もそうだったが立ち上がりの中国は攻勢を見せて相手DF陣をゴール前に釘づけにするのだが得点が入らない。入っておればもっと楽な展開になったであろう試合がいくつあったのだろうか?ウズベキスタンもエース Shatskikh の決定力がもう少しあれば既に何点か決まっていただろう。 63分には Ibragimov からの右クロスを Djeparov が落とし Shatskikh が体を反転させて撃つがゴール枠を外れ、66分には良いクロスが入ったがシュートをだふってしまい、そのこぼれたところを Djeparov がフリーで撃つがヒットしなかった。
そして67分この試合の明暗を分けるシーンが。カウンターから左に展開した中国が最後は邵佳一が放ったシュートはゴール右上隅を直撃。それも内側に当たったでは無いか?あと数センチ奥に入っておればリバウンドボールはネットを揺らしていただろう。 69分に中国ベンチは董方卓が下がって趙旭日が入ったが、董方卓はイラン戦では途中出場。中国には4人の欧州でプレーする選手がおり董方卓はその中でもホープだったのだが….. 大会後 Manchester United でポジションを獲得できるだろうか?
71分ウズベキスタンがついに待望の先制ゴールを挙げる。左からのクロスに Shatskikh が頭で合わせる。GK 楊君が一旦はセーブするがそのこぼれ球は Shatskikh の前に転がり、そのまま押し込み、不振のエースがようやく貴重なゴールを決めた。大喜びのウズベキスタンサポーター達。後半はスタジアム見物を兼ねてウズベキスタンゴール裏にいた私の目の前では李鉄がそのシーンを静止している。彼の登場はあるのだろうか?



しかし78分にDF 張帥 に替って投入された FW は朱挺であった。 FWを増やした中国はようやく目が覚めたのかここから攻勢を見せる。 韓鵬が左から上げたところを邵佳一がヘッドを撃つが枠には飛ばない。82分には右から入ったクロスに邵佳一と Karimov が競り合い、こぼれたところを韓鵬が撃つがこれも外れる。孫継海、杜威もどんどん上がるが得点には至らない。バックスタンドの中国人サポーター達の声援が悲鳴に聞こえて来る。そして元の席に戻った私はウズベキスタンのサポーター達はウズベクの選手達が好プレーを見せる度に大声援を上げる。そして86分さらに歓喜が彼らを包む。右サイドで得たFKに Shatskikh が飛び込むがかぶってしまう。しかしそのこぼれ球を Kapadze が蹴り込んで2点差とした。もうウズベキスタンの応援席は大騒ぎだ。


ロスタイムが何分あるかわからないが、これから中国は2点を挽回出来るだろうか? 88分に韓鵬がミドルを放ち惜しくも右ポストを僅かに外すが、そのこぼれ球を韓鵬自らが拾いGKスポットにセットし、まだまだあきらめないと言うシグナルを送る。ロスタイムが4分と表示される。2点を取れない事は無い。右から上げられたクロスに韓鵬が飛び込むが合わない。そしてウズベキスタンDFと交錯したのか倒れて起きられない。しかし試合はそのまま進み、中国PAエリアの左サイドで後半から出場している Geynrikh が周海濱に倒されFKを与えられるが、韓鵬が倒れて起き上がれ無いので試合が止められる。韓鵬は遠目には全く動かない上に担架にも乗せられる気配がないので少し心配だ。しばらくするとウズベキスタンの応援団から China ! China !! の声援が飛ぶがこれは “早く試合を始めて勝利のホイッスルを”との督促だろうか?結局韓鵬が担架に乗せられ外に出され試合が再開になった時は後半54分になっていた。そして仕切り直しのFKを Geynnikh が蹴ると朱挺の下腹にもろに当たり朱挺が倒れる。そのリバウンドがそのまま Geynrikh の前に転がり再び Geynrikh がそのまま中国ゴールに叩き込み試合を完全に決定付けた。 しばらく朱挺は倒れて動けない。彼は3失点目をまだ知らないのではないか?ようやく立ち上がってキックオフのポジションに向かって走るが、そのキックオフから数秒後に試合終了のホイッスルが吹かれ、ウズベキスタンのベスト8進出が決まった。選手、役員、そして大サポーター達は狂喜乱舞している。アジアカップ2大会連続のベスト8。目標は1994年アジア大会以来のアジア制覇か?
一方の1980年大会以来7大会連続決勝トーナメント進出を果たした中国はベスト8入りならず。この試合もそうだがあの攻勢時のチャンスのどれか一つが決まっておればと思わせられる大会となるであろう。(まぁ中国の決定力不足は昔から日本以上だけど。)それでも中国イレブン達はサポーター達にしっかり挨拶をして控室に戻って行った。 そして私は翌日はバンコックに移動し、準々決勝が始まる前に帰国する事に…… さよならアジアカップの現場..



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