元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第12回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その4)

2015-04-04 06:53:19 | プア・オーディオへの招待
 今回のフェアの特別企画として、地元ラジオのDJであるTOGGY(トギー)を司会に迎えて“ハイレゾとは何れぞ?”と題した座談会が催された。パーソナリティは主催ディーラーの幹部と、ネットワークプレーヤー等を供給するメーカーの担当者だ。とはいえ、私はそのすべてを聞いておらず、後半部分を客席の後ろの方で立ったまま傍聴したに過ぎない。どうして全編聞かなかったかというと、ハイレゾ(ハイレゾリューション)音源自体にあまり興味が持てないからだ。

 前にも書いたが、ハイレゾ音源は所詮オーディオという狭い世界の中の潮流の一つに過ぎず、業界の市場全体を大きくするようなムーヴメントには成り得ないと思っている。何しろ、ハイレゾどころか従来型のCDも聴いたことが無い若年層が増えている昨今だ。



 ただ、終わり近くになってTOGGYが聴衆に向かって言ったセリフは印象的だった。彼は職業柄、現役ミュージシャンの新譜を逐一チェック出来る立場にあるが、会場を埋めた手練れのマニア諸氏に向かって“皆さん、最近のミュージシャンの音源は聴いていますか? ・・・・って、聴いてないですよねぇ。たとえば大昔の女性ジャズヴォーカルの「名盤」ばかりを何千回も繰り返し聴くのがオーディオマニアですから”というような意味のことを冗談交じりで述べたのだ。

 会場は笑いに包まれたが、そこには苦々しいものがあったことは否めない。ハイレゾだハイレグだ(?)何だと目新しいデバイスは取り沙汰されるが、オーディオマニアが聴くのは相変らず往年の旧盤ばかり。いくら最近の音源は音質面で劣るとはいえ、現在進行形の音楽のトレンドから目を背けていては、浮世離れするばかりだ。趣味のオーディオが斜陽化したのは、こういった既存のマニアの“保守傾向”にも少し原因があるのかもしれない。

 あと、TOGGYを起用したのは悪くないが、いまひとつ人選に工夫が足りなかったように思う。確かに彼は本職のDJであり、確かに司会もソツなくこなしている。問題は、オーディオ業界関係者以外の出演者が彼だけだったという点だ。もっと幅広い層をフェア会場に呼び込むように、少しでも一般的にネームヴァリューのある面子を追加で持ってくるべきではなかったか。



 地元テレビ局のキャスターやリポーターでもいいし、福岡よしもとの芸人でもいいし、HKT48LinQ等のローカル・アイドルグループのメンバーでもいい(地方のタレントならば出演料も高くないはず)。場を盛り上げて集客力が期待できるようパーソナリティを揃え、外部に対して情報発信できるような御膳立てをした方が良かった。とにかく、加齢臭の漂う既存のオーディオファン達(笑)とは異なる客層を掴むような努力をしないと、この業界に未来はないだろう。

 ホームシアターのコーナーでは、話題のドルビーアトモスのデモンストレーションが行われていたが、従来のサラウンドよりも立体感が増した音場が形成され、改めてこの分野は日進月歩であることを思い知らされた。とはいえ、関係者の話によるとヴィジュアル関連機器は頻繁にモデルチェンジが行われ、消費者側としては購入した機器がすぐに陳腐化してしまうらしい。まるで“598スピーカー”全盛時のようなことが、ホームシアターの世界で横行しているというのは、あまりユーザーフレンドリーな状況ではないと思う。

 最後に、本題と関係ないことをひとつ。会場の福岡国際会議場の近くに「麺屋 黒船 博多店」というラーメン屋があり、ここの塩ラーメンがとても美味しかったのだが、今回前を通ったらいつの間にか閉店していた(爆)。店を畳んだ原因は分からないが、豚骨ラーメンしかラーメンとは認めない福岡市民の嗜好性によるものだったのかもしれない。いずれにしろ、残念ではある(笑)。

(この項おわり)
コメント (2)
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