増村保造監督による昭和44年作品。肉体的欠損が別の感覚を過剰に刺激し、狂った世界に突入してゆくという設定は、江戸川乱歩得意のパターンだが、この映画はそのモチーフを映像面で全面展開している。
ヒロイン(緑魔子)が暗闇の中で視力を失い、盲目の男(船越英二)との“触覚だけの世界”に入り込み、やがて破滅してゆく過程は出演者たちの力演もあってかなりの迫力。目・鼻・口など、巨大な身体のパーツが壁一面に埋め尽くされ、中央に巨大な女体のオブジェが鎮座しているアトリエの造形は噂通り見事なものだ。
しかし、観終わっていまひとつ釈然としないのは、作者が主人公たちの行為を理屈(屁理屈と言ってもいいが)でしか考えておらず、真に彼らの感情(切迫した飢餓感)をえぐり出そうとはしていないためだ。ドロドロとした憤怒の情動の活写と異常な行為をもっと有機的に結びつけてほしかったが、何やら“コケ脅しの見せ物”に終わっている感もある。
ヒロイン(緑魔子)が暗闇の中で視力を失い、盲目の男(船越英二)との“触覚だけの世界”に入り込み、やがて破滅してゆく過程は出演者たちの力演もあってかなりの迫力。目・鼻・口など、巨大な身体のパーツが壁一面に埋め尽くされ、中央に巨大な女体のオブジェが鎮座しているアトリエの造形は噂通り見事なものだ。
しかし、観終わっていまひとつ釈然としないのは、作者が主人公たちの行為を理屈(屁理屈と言ってもいいが)でしか考えておらず、真に彼らの感情(切迫した飢餓感)をえぐり出そうとはしていないためだ。ドロドロとした憤怒の情動の活写と異常な行為をもっと有機的に結びつけてほしかったが、何やら“コケ脅しの見せ物”に終わっている感もある。



